2017年09月30日

Do ya know Bone Record?

BoneMusicExhibition-Moscow-2017.jpg
*画像は下記リンク先のギャラリーHPより。


もう会期が終了間近になってしまったんだけど、現在モスクワですごくいい展覧会をやっているので少し紹介。以前見たニュースでは、9月に開催で年内しばらくはヨーロッパのいくつかのギャラリーを巡回していく、みたいなことを書いてた記憶があったので、そのうちに書いておこう、なんて思っていたら実は8月から始まっていた。

「BONE MUSIC」あるいは「BONE RECORD」と呼ばれているマテリアルがある。日本では「ろっ骨レコード」という名前で呼ばれているもの。ソ連時代、1940年から1960年にかけて、連邦内では西洋の音楽が禁じられていた。聴くことも、当然音楽を記録した媒体(当時はレコードだった)を所有することも禁じられていて、もしそれらが見つかった場合は逮捕され、どこかの収容所送りになってしまう。だから、人々は当局の監視の目を逃れ、こっそりと音楽を聴いていた。こうした環境の中で、どうにか音楽を聴けないものかと、編み出されたのが「ボーン・レコード」という私家製の海賊盤。廃棄されたレントゲン・フィルムに(手づくりの機械で)音楽を刻み、人は簡易的なレコードとして楽しんでいた。もちろんこれも違法行為だから、聴くのにも勇気がいった。見かけはソノシートのようだけど、レントゲン・フィルムを使っている為、人の身体の一部が写っていてちょっと不気味でもある。この奇妙な見かけが、「BONE RECORD」「ろっ骨レコード」の由来になっているわけだが、何か想像力を働かせる要素を沢山もっている。

この展覧会を企画したのは「X-Ray Audio Project」の中心人物、ステフェン・コーツとポール・ハートフィールドの二人。彼らの活動歴はわりと長く、これまでにも「BONE MUSIC」絡みでいくつかの展示などを行っていたが、今回はその集大成といえるほどの規模になっていて、長年下ならしをしていた成果もあってか、メディアも大きく取り上げ話題になっている。今は音楽を聴くのはすごく簡単だけれども、半世紀前には、音楽を聴いただけで刑務所に連れて行かれるという恐ろしい世界が確かにあって、そのときに聴いていた一曲と、今手の平に納まる小さな端末機械で聴く一曲の重みと意味の違いって、とてつもない差があるように思える。国家による厳重な規制と、技術の進歩によって音楽再生機器が変遷してゆく過程で生まれたこの不思議なレコードは、いろんなことを考えさせてくれる。

「BONE MUSIC」については、近くまた書きます。今回はこの展示の紹介を会期中にしておかなきゃと。


"Bone Music" Exhibition at Moscow, 17 Aug. - 05 Oct. 2017
http://garagemca.org/en/exhibition/bone-music


Bone Machine Movie from The Real Tuesday Weld on Vimeo.

「ボーン・レコード」をプレーヤーに乗せ、その音楽を聴かせてくれる動画。


X-Ray Audio / Bone Record Bootleg
ただでさえレコードプレーヤーを持っている人は少ないだろうから、78回転のレコードプレーヤーなんて持っている人は、そうはいないだろうと思う。だけど、そこはひと工夫。上動画は「ろっ骨レコード」を一般的な45回転のプレーヤーで再生、録画したものをデジタル処理で早回しをして78回転にしている。

posted by J at 12:00| Comment(0) | - ARTS & MUSIC - | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Pink Bikini

PinkBikini-Sep-2017.png
Pink Bikini
(Sep. 2017 / 210 x 297mm) Ink, Watercolour on paper and Digital Effects

画像大きめ版:
(PNG - 4.1MB) http://tagong-boy.tumblr.com/post/165863682196/

posted by J at 07:00| Comment(0) | ■ Drawings | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月28日

「侍女の物語」2018年に配信決定!で日本も Hulu える

M.Atwood-Paperback-VintageFuture.jpg
日本の新書とほぼ同サイズの Vintage Future版ペーパーバック。


先月、アメリカで話題になっているネット配信ドラマ「The Handmaid’s Tale 」と、その原作にとなったマーガレット・アトウッドのディストピア小説「The Handmaid’s Tale(邦題:侍女の物語)」の紹介をした。

世界が Hulu えたネット配信ドラマ (25 Aug. 20017)
http://tavola-world.seesaa.net/article/452933779.html


これはアメリカの hulu 制作によるドラマ・シリーズなんだけど、日本の hulu ではその手のオリジナル制作ものを取り扱わないとかいう話らしく、ああ見れないのか、なんてがっかりしていたところ、なんと日本でも配信が決定したというニュースが出てきたので、それを含め改めてもう一度紹介。配信開始の詳しい時期はわからないが、2018年からスタートするのは確か。また先週、エミー賞の発表があり、この「The Handmaid’s Tale 」がいくつかの部門で受賞した。これが日本での配信決定と直接影響しているのかは分からないが、なんとなくタイミングいい。

僕も原作を読みたくなったんで、一冊購入。日本版にするか英語版にするか迷ったけれども、Vintage Futureシリーズのタイトルの中にこの小説の名前があったんで、そっちを選んだ。この Vintage Future シリーズにはSF小説の名作、オルダス・ハクスリーの「Brave New World」や J.G. バラードの短篇集「vermilion sands」、他ザミャーチンの「われら」などがあるのは知っていたが、全部で 9つの作品がありトータル・デザインでパッケージングされていることは知らなかった。また、ブック・デザインにちょっとした仕掛けがあり、前からハクスリーのやつが欲しかったんだけど、そう急ぐものでもないしと思っていた矢先。アトウッドのこの小説がシリーズの中にあったのに気付き、ちょっと意外だったが、手にするいいきっかけになった。
このシリーズ、9冊を揃えそれぞれの裏カバーを繋げ合わせていくと、一つの大きなパターンが現れるというアイデアがあり、さらにスリットの入ったアセテート・シートが本の間に封入されている。このシートを表紙にかざし平行に動かすと絵が動いて見えるという面白いギミックになっている。このブックカバー・デザインについてはまた別に書きたいので、今回はさわりだけ。
それと、このペーパーバック本は一般的なペーパーバックとはサイズが異なっていて、一回りちょいほど小さくちょっとかわいらしい。日本の新書本とほぼサイズが同じだが厚みがある。「A-format(110mm×178mm)」というイギリスの規格サイズに当たるみたいだ(というよりも、新書のサイズがペーパーバックの版型に合わせて始まったようだ)。本のサイズが小さいからそれに比例し、文字もけっこう小さく、英語がびっしりと詰まっている感があって、意外とプレッシャーを感じたりもする。おそらく廉価版的な扱いっぽいので、序文その他の余計なものがなく、本文テキストだけしかない為に、けっこう素っ気無さもあるが、コンパクトにまとまった仕様はデザインを含め楽しめる。残り8タイトルも共通して同じスタイルなのかは不明だが、多分合わしているだろうと思う。

僕がアマゾンで購入したときには在庫が9点ほどあったが、日に日に売れていって一週間ほどで入荷待ちの状態になていた。多分、ドラマ化の効果があるからなんだろうけど、けっこうみんな買ってるんだなと実感。



第69回エミー賞の受賞作が9月17日に発表され、マーガレット・アトウッド『侍女の物語』を原作とする米国Huluオリジナルドラマ「The Handmaid's Tale(原題)」が、ドラマシリーズ部門作品賞、主演女優賞など8部門において受賞作に輝きました。
同ドラマは、日本でも2018年にHuluにより配信開始されることが発表されています。


エミー賞8部門制覇の『侍女の物語』ドラマ、Huluで2018年配信決定!
http://www.hayakawa-online.co.jp/new/2017-09-19-144911.html





 今年のエミー賞のキーワードは、「女性」と「反トランプ」、そして近年話題になることが多い「多様性」は、さらに一歩踏み込んだ形で受賞結果に顕著だった。最も強く打ち出されたのは「女性」で、4つの主要カテゴリーの作品賞は、すべて女性を主体とした内容だ。ドラマ部門は、女性が子供を産む機械とみなされるディストピア小説のドラマ化「ザ・ハンドメイズ・テイル」


第69回エミー賞は女性が勝利した年!反トランプ旋風吹き荒れる
https://www.cinematoday.jp/news/N0094629


追記:

このドラマ、海外では相当話題になっているので、もしかするとノーベル文学賞候補に名前があがってるんじゃないかと思って bookmaker の倍率なんかを調べていたら、今年の5月にアトウッドは、フランツ・カフカ賞(2006年に村上春樹が受賞して話題になった)を受賞していたニュースを見つけた。

Canadian writer Atwood to receive Franz Kafka Prize in Prague
http://praguemonitor.com/2017/05/30/canadian-writer-atwood-receive-franz-kafka-prize-prague


2017 Nobel Prize For Literature
https://sports.ladbrokes.com/en-gb/betting/tv-specials/specials/other-specials/2017-nobel-prize-for-literature/225689183/
アトウッドは現在村上春樹に次いで3位につけている(去年、リストに彼女の名前があったかな? あんま記憶にないけれど)。ドン・デリーロは去年よりぐっと順位が上がっていて、ピンチョンはけっこう下がった。

posted by J at 09:00| Comment(0) | - 書籍 - | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする