2017年05月28日

歌詞和訳:"Soup Song" by Robert Wyatt


Robert Wyatt - Soup Song (* 歌詞和訳は最後に載せてます)

「Soup Song」は、1975年にリリースされた、ロバート・ワイアットの3rd.アルバム「Ruth Is Stranger Than Richard」のオープニング曲。ジャズバーでかかっていたら軽くステップでもして瞬時に和んでしまいそうな、ご機嫌でスウィンギングなトラック。いい具合に力の抜けた歌声と楽しげな演奏は、このアルバムの仕上がり具合を保障するアンティパスト的な曲としてもぴったりと合う。名曲・名演の多いワイアットだが、その中でもこの曲は特に好きで良く聴いてた。ワイアットのユーモラスな一面がよくわかる素敵な曲だと思う。歌詞を改めて見てみると、所々で韻を踏んでいるのもわかったりしてより面白さがわかった。ところで、この歌の主人公「僕(I)」っていったい何の野菜(具材)なんだろう? 黒焦げでも、パリパリして美味しくスープの隠し味になって、繊維質なものと言えば…と、思いつかず。
この曲、多分、プログレ・マニアのHPなどで和訳したものが一つくらいはあるだろうと思って、軽く検索してみるが、意外や訳詞は見当たらず。(誰もやってないのなら)早いうちにやってみよ、と思ってトライしてみた。ワイアットの他の曲でも和訳はあまりなかったんで、また別曲でもやってみよう。

このアルバムにはもう一つ大好きな曲「Song for Che」が入っているので、ついでに紹介しておきたい。インスト曲なので歌詞訳はできないし。「Song for Che」はA面(Ruth Side)の最後に入っている。チャーリー・ヘイデンのカバーで、タイトルどおり、チェ・ゲバラに捧げた曲。元曲は1969年リリースのチャーリー・ヘイデン「Liberation Music Orchestra」に収録されている。ヘイデンのアルバムでは、フリージャズ的なアレンジで9分近くもあり、けっこう長い演奏だが、どっぷりとラテンな世界へ誘ってくれる(同じくチェ・ゲバラに捧げ作られスタンダードになった「Hasta Siempre / アスタ・シエンプレ」のサビ部分が曲の後半にコラージュされていて幻惑的)。そして「Song for Che」にはもう一つ、オーネット・コールマンによる「Song for Che」もあって、これがまた素晴らしくいい。真っ青な空を突き破るような伸びやかなアルト・サックスと、緻密で緊張感あるリズム・セクション(ベースはもちろん C.ヘイデン)の対比に胸が熱くなる。これは1972年リリースの「Crisis」に収録。ただ録音は1969年3月で、ヘイデンのものよりも約1ヶ月早い。
ワイアットのヴァージョンはメロディアスに短くまとまっていて、4分弱の短い演奏。ヘイデンやコールマンの色彩感あふれる温情的な演奏とは対照的に、しみじみと静かで、むしろ沈痛さを帯びた楽器の音色。聴いていると、まるでレクイエムのようでもあって、ゲバラに対する深い敬意を感じさせる。ワイアットが「Song for Che」をカバーしていたことで、チャーリー・ヘイデンを知り、そこからフリージャズの世界にハマって、デレク・ベイリーやエンリコ・ピエラヌンツィ、ECMやINCUSなどに興味がいった。なので、このアルバムは僕にとってはジャズへの入口を開いてくれた思い出深いレコードなのだ。



ロバート・ワイアット「スープの歌」歌詞和訳

Robert Wyatt "Soup Song" - Lyrics ( songmeanings.com )
http://songmeanings.com/songs/view/3530822107858908859/
メロディに合わせた詞の改行・分断はせず、なるべく意味の通る一つの文になるようにした。
またコーラス・パートやサビのリフレイン等で歌詞が重複する箇所は省いてます。



There's a mushroom on my eyelid, there's a carrot down my back.
I can see in the distance, a vast quantity of beans.
To you, I'm just a flavour to make your stew taste nice. Oh my god, here come the onions and - I don't believe it! - at least a pound of rice.

まぶたの上にはマッシュルーム、背中には人参が転がっている。
遠くに巨大な豆の山が見える。君にすりゃ、僕はシチューの隠し味にすぎないのさ。
ああ、なんあてこった。ここで玉ねぎの登場だ(信じられない!)少なくとも、米1ポンドじゃないか。


* 1 pound = 約435g


There was a time when bacon sandwiches were everyone's favourite snack.
I'm delicious when I'm crunchy, even when I'm almost black.
So why you make a soup with me. I just can't understand, it seems so bloody tasteless not to mention underhand.

ベーコン・サンドウィッチがみんなのお気に入りスナックだった頃があったね。
僕はパリパリしてるときが美味しいんだ。真っ黒焦げだとしてもね。
だからさ、なんで君は僕をスープの具材にするんだろう?
まったく理解できないよ。内緒にするわけじゃないけど、本当不味いと思うよ。



Now there's no hope of getting out of here.
I can feel I'm going soft, dirty waters soak my fibres.
The whole saucepan's getting hot, so I may as well resign myself make friends with a few peas, but I just, I can't help hoping that a tummy ache will bring you to your knees.

どうやら、ここから脱出する見込みはないようだ。
にごったスープが僕の繊維に染みこんで、フニャフニャになってる感じがするぞ。
ソースパンがまんべんなく熱くなってきた。もうエンドウ豆と仲良くするのは諦めたほうがいい。
こうなったら、腹痛になって君が降参するのを願うばかりだ。


* bring someone to one's knees : 〜を屈服させる、ひざまずかせるという意味。
最後の一文の直訳は「腹痛で君が屈するのを期待するしかない」になる。




「Soup Song」のピール・セッション

RobertWyatt-PeelSessions.jpg
ロバート・ワイアットの「ピール・セッションズ」のジャケ。*画像は discog.comから。
12インチ(左側)は1987年に、CD(右側)は1989年にリリース。

「Soup Song」はピール・セッションズでも演っている。鬼気迫るピアノの伴奏と(多分)メロトロンのバッキング・サウンドが、スープの具材になった悲哀を擬人化した歌詞と妙に合っていて、シンプルな演奏だけど聴きごたえがある。これは1974年9月10日に録音された音源。そして同月26日に最初のラジオ放送があった。「Ruth Is Stranger Than Richard」のレコーディングが1974年10月に始まったので、約1ヶ月前に初披露目されたもの。アルバムのアレンジとを比較してみると、まだ前作「Rock Bottom」のサウンドを残している感があって興味深いものがある。




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2017年05月23日

50年経っても溶けない氷

AnnaKavan-Ice-PenguinBooks50th.jpg
“Ice” Anna Kavan (50th Anniversary Edition) / * 画像は出版社HPより


いや、これビックリ! アンナ・カヴァンの「氷」が初刊行から50周年を記念して、今年の11月14日にペンギン・クラシックスから発売になるそう。つまりもう、古典として扱われるようになったってことになるのか。しかも、序文がジョナサン・レセム(Jonathan Lethem)という、僕的には偶然のタイミングが重なって何とも不思議なつながり(こないだ買ったばかりのペーパーバック、ヘッズの「33・1/3」シリーズ「Fear of Music」を書いた人だった)。表紙デザインがやっぱりちゃんと上品なペンギン・フォーマットになっていて、なんかいい。それにしても半年前に告知するのって早すぎるような気がするけど、こういうもん? 発売日がくる頃にはうっかり忘れてしまいそだ。
そして、来年2018年はカヴァン没後50年にあたるから、なにかちょっとしたリバイバルみたいな盛り上がりがあるといいな。


Anna Kavan now stands alongside Virginia Woolf as one of Britain’s great twentieth-century modernists.

https://www.peterowen.com/shop/anna-kavan/julia-and-the-bazooka
現在カヴァンのタイトルの多くを出しているPeter Owen Publishers(ピーター・オーウェン出版)のHPでは、20世紀を代表する英モダニズム作家のひとりとしてヴァージニア・ウルフと並ぶまでになっていると紹介されている。



Ice (50th Anniversary Edition) By Anna Kavan
http://www.penguinrandomhouse.com/books/557977/ice-by-anna-kavan/9780143131991/


2017年05月22日

最高にキラキラーでごめす


Selena Gomez - Bad Liar (Audio)

セクシーなサムネイルにつられてクリックしたセレーナ ・ゴメスの新曲。聴いてみると、出だしからいきなりトーキング・ヘッズ「サイコ・キラー」のベース・リフをサンプリングしてたんで、思わずびっくり(この話題、当のメンバーも大歓迎してるとか)。マライアの「ファンタジー」をはじめて聴いたときと同じような驚き。ニューウェーブ好きにはちょっとたまらないものがある。こんだけメジャーなシンガーがヘッズ・サウンドを取り入れてるなんて、不思議な気がする。MVもたのしみ。


I really like the song...and her performance too.

DavidByrne.com
https://twitter.com/DBtodomundo/status/865266207305367553


posted by J at 11:00| Comment(0) | TrackBack(0) | - Memo - | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする