2018年01月25日

ル=グウィン氏死去



サイエンスフィクションとファンタジーの作品を多く発表し、世界的に愛された米作家、アーシュラ・K・ル・グウィン氏が22日、死去した。


米作家アーシュラ・K・ル・グウィン氏死去

http://www.bbc.com/japanese/42799621


ル=グウィン、亡くなったのか。先週末、たまたま入った古本屋(何年か前に一度のぞいたことがあるくらいで、普段は行かないお店やった)で「所有せざる人々」の古いペーパーバックを見つけ、買ったばかりやった。この本、ずっとwant listに入っていて探していた一冊。でも、人気ある本だからなかなか手に入らなかった。ちょっと不思議なタイミング、大事に読も。

LeGuin-Dispossessed-paperback.jpg
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2018年01月24日

海外記事訳:「ペンギン・モダン・クラシックスのデザイン史(3)」

PenguinModernClassics-Calvino-Carrington.jpg
ジム・スタッダートの手によって新しいデザイン・フォーマットになったペンギン・モダン・クラシックス。
左が2007年〜2017年まで展開していたシルバー文字のもので、右が2017年に「 eau-de-nil(ナイルの川)」という名称のペパーミント色に変え新しくなったバージョン。この新デザイン・フォーマット、確かに、今の時代にあったシャープなグラフィック・ヴィジュアルをしていて、つい欲しくなってしまう。シルバー文字バージョンは、やや重厚さを感じるものだったが、新しいペパーミント色の色使いは軽快感があってさわやか。だけども上品さがきっちりとあってエレガントな印象。
・カルヴィーノの初期短篇集を収録した「Numbers in the Dark」:イタリア語からの英語翻訳。前半が「寓話と小説」のパートで1943-1958に書かれたもの、後半が1968-1984年にかけての「物語&対話」を集めたもの。おそらく日本では未訳の作品が収録された一冊だと思う。
・レオノーラ・キャリントンの「The Hearing Trumpet(邦題:耳ラッパ)」




全3回のシリーズでアップされていた「ペンギン・モダン・クラシックス」のカバー・デザインについての記事
の第三弾、そしていよいよその最終パート。今回は10年前のリニューアルからはじまり、2017年にマイナーチェンジを行った最新版のデザインがどうなっているかについて。

過去記事:「ペンギン・モダン・クラシックスのデザイン史(1&2)」からの続き
http://tavola-world.seesaa.net/article/penguin-modern-classics-design-history.html
http://tavola-world.seesaa.net/article/penguin-modern-classics-design-history-2.html




■ 「ペンギン・モダン・クラシックスのデザイン史(3)」 ( 2007 - 2017 )
Designing Penguin Modern Classics (Part 3)

Japanese translated by Tagong-Boy ( Original text from Penguin HP )
(元記事はこちら) http://archive.is/OOPYH
・直リンクでなく「archive.is」で保存したアドレス。元ページは上リンク先に表示されています。


ペンギン・モダン・クラシックスのデザイン史についての最終部では、ペンギン・クラシックスのクリエイティヴ・エディター、ヘンリー・エリオットが2017年のシリーズに向けた新しい「オウ・ディ・ニル(ナイルの川)」の外観を紹介する。


現アート・ディレクター、ジム・スタッダートは、2007年9月にペンギン・モダン・クラシックスの大部分を新たに作りなおした。 裏カバーは銀色を残したが、本はマットになった。 背はフロント・カバーの上部分と下部に沿う細い白の帯に合わせ白くなった。カバーは、「アヴァンギャルド(フォントの名前)」を用いた大きな銀と白のレタリングを上に置き、別な方法で完全にアートワークで占められた。
The current Art Director, Jim Stoddart, gave Penguin Modern Classics its latest major makeover in September 2007. The back covers remained silver, but the books were now matte. The spines became white, matched by narrow white bands along the top and bottom of the front covers, which were otherwise completely filled by the artwork, superimposed with large silver and white lettering in Avant Garde.



「アヴァンギャルド」はタイポグラファーのハーブ・ルバリンによってデザインされた。 それは「アヴァンギャルド」というNYの雑誌のロゴから作ったものだ。 この雑誌はセクシャルなイメージと露骨な言葉、そして際立って美しいグラフィックで有名だった。 雑誌は3年で廃刊になった。ヌードモデルを使ったアルファベットのスペルを紙面に載せ、編集者が刑務所行きになったあとに。しかしルバリンのロゴは人気だったので、彼はその後すべての書体を仕上げ、1970年に発表した。
Avant Garde was designed by the typographer Herb Lubalin. It developed from the logo of a New York magazine called Avant Garde, which was famous for sexual imagery, crude language and strikingly beautiful graphics. The magazine folded after just three years, when it printed an alphabet spelled out by nude models and the editor went to prison; but Lubalin’s logo was so popular, he subsequently worked it up into a full typeface and released it in 1970.



New York Magazine "Avant Garde"
NY-Magazine-AvantGarde-issue1-Ja.1968.jpg
Avant Garde Magazine Issue Number 1 – January 1968
http://celfcreative.com/blog/avant-garde-magazine-issue-number-1-january-1968

雑誌「アヴァンギャルド」を紹介しているサイト。グラフィックを主体にした雑誌の先駆けみたいなものだったみたいだ。 画像は上下リンク先より。

http://avantgarde.110west40th.com/

Magazine-AvantGarde-NY.jpg


* an alphabet spelled out by nude models : 複数のヌードモデルを使って、AからZまでの人文字アルファベットを描き写真作品にしたもの。エド・ヴァン・デル・エルスケン(「セーヌ左岸の恋」で有名な)が撮影をしている。今見ると、さほど驚くものでもないけれど、当時は相当過激だったんだろうな。
以下リンク先に該当ページのアーカイヴ画像がある。
"Nude Alphabet" by Chris Nelson (hint fashion magazine): http://archive.is/Ena8t





2011年2月、ペンギン社は「ペンギン・モダン・クラシックス」の50周年を記念し、50タイトルの「ミニ・モダン」を選集した。これは、短篇とこのシリーズを通して集められた中篇小説を抜粋している小さなフォーマットだった。これらのミニ・ブックは白い背表紙とつや消しシルバーの表紙で、新しいデザインフォーマットを反映した。また単独でも、ボックスセットでも入手できた。
In February 2011, Penguin marked the 50th anniversary of Penguin Modern Classics with a selection of 50 ‘Mini Moderns’: small format extracts, short stories and novellas drawn from titles across the series. These mini books reflected the new design format, with white spines and matte silver covers, and were available singly or in a boxset.



Mini Moderns
Penguin-MiniModern-LittleBlackClassics.jpg
ペンギンは小さなフォーマットで2種類のペーパーバックを出している。一つが上記事にもある「ミニモダン・クラシックス」、そしてもう一つが「リトル・ブラック・クラシックス」という主に古典作家の短篇を載せたもの。二種共に、日本の文庫に近いサイズのかわいいペーパーバック本で、60 - 80ページ前後のボリューム。サイズ比較のため新潮文庫を並べてみた。いきなり、短篇集やぶ厚いコレクテッド・ストーリーズを買うには躊躇するけれども、試しに少し読んでみたいときなんかにちょうどいい。
・ E.M.フォースターが1909年に発表したSF短篇「ザ・マシン・ストップス / 他一篇収録」: 邦訳は絶版で現在入手困難。
・ マーク・トウェインのミニ短篇集「The Stolen White Elephant(邦題:盗まれた白い象)」。全四作を収録: 表題作と「The Celebrated Jumping Frog of Calaveras County」は、柴田さん訳の新潮文庫「ジム・スマイリーの跳び蛙」に収録されている。村上春樹の短篇「象の消滅」をちょっと彷彿させる感じもあって、面白い。

"The Machine Stops" by E. M. Forster (1909)
https://en.wikisource.org/wiki/The_Machine_Stops
アメリカではパブリック・ドメイン適用なのでテキストは読める。





2017年、このシリーズは最新の一歩を踏みだす。 ジム・スタッダートは2007年に自身がデザインしたものを新たな装いにした。 バックカバーと背表紙、ペンギンロゴの丸囲み、そしてそしてカバーの文字はすべて、「 eau-de-nil(ナイルの川)」を意味する色調の淡いブルーグリーンに変わった。 この色はシリーズのオリジナル・パレットと、短命に終わった「20世紀クラシックス」用ブルーグリーンを具体化したものと関係がある。
「eau-de-nil」という色は、流行の装飾や服、女性の化粧と結びついて19世紀後半に現れた。 この100年で、「eau-de-nil」はよりペパーミント風になった。フォートナム・メイスンやローラ・アシュレイ、ハンター・ウェリントンを含めた伝統的なブランドに幅広く使用されている。また、ケンブリッジ・ブルーに良く似ている。
大胆なイメージと、伝統的な色使いの前衛的なフォントを用いたこの組み合わせは、モダンクラシックスの不変的ではあるが先駆的な精神をまとめ上げたものだ。
新たな装いのスタートをきるにあたり、リストの幅広さと深さを表す 50 作品が選ばれた。これらは「ナイルの川」色が表紙になった最初の本だ。そして来月以降さらに続いてゆくだろう。
In 2017, the series takes its most recent step forward. Jim Stoddart has given his own 2007 design a new livery: the back covers, spines, Penguin roundel and cover text have all turned a pale blue-green, a shade known as ‘eau-de-nil’, ‘water of the Nile’. This colour is a reference to the series’ original palette and its brief blue-green incarnation as Twentieth-Century Classics.
The colour ‘eau-de-nil’ emerged in the late 19th century, associated with fashionable decor, clothing and ladies’ toilettes. Over the last hundred years it has become more peppermint, and is widely used by ‘classic’ brands including Fortnum and Mason, Laura Ashley and Hunter wellingtons. It resembles ‘Cambridge blue’.
This new combination of bold images and avant-garde font with a classic colour sums up the enduring yet radical spirit of the Modern Classics.
To launch the new look, fifty titles have been selected to represent of the breadth and depth of the list. These are the first books to be given eau-de-nil covers, and more will follow over the coming months.



モダンクラシックスは、時代の精神をどうにかして捉え、古典がどうあるべきかという私たちの理解に挑戦しようとする偉大な作家を常に披露してきた。 このシリーズのデザインは、目録の雰囲気を反映するために発展し、次の50年もきっと成長が続くだろう。
Modern Classics have always showcased the greatest writers who manage to capture the spirit of the age and challenge our understanding of what a classic can be. The design of the series has evolved to reflect the flavour of the list and will no doubt continue to develop of the next fifty years.

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2018年01月22日

面白いインタビューみつけた。



------「わかりやすさ」という点では、どうですか。

貝澤 わかりやすさと面白さが根本的に矛盾するとは思っていませんが、私自身は、どちらかというと長い文章の方が好きなんです。吉田健一、石川淳、金井美恵子などの息の長い文体にむしろ魅力を感じる。普通、大学で研究論文を書くときもそうですが、文章を学んだり訓練をしたりというときには、それこそ「わかりやすく」とか、「論理的に」とか、「余計なことを入れずに、なるべく短く文章を切れ」などと言われるわけですが、これが自分の好みには真っ向から反しているわけです(笑)。なぜそうなるかというと、文学的な論理性、それぞれの作家が持っている論理性というのは、普段われわれが使っている合理的な論理とは違うと思うんですね。(中略)ナボコフの場合は、ある言葉が出てくると、勝手にそれに引きずられて出て来る次の言葉があって、そこで幾多の脱線や紆余曲折を経て、最後は元にふっと戻ってくると。そのジェットコースターのような感覚が面白いわけです。

いま大学などで教えられている文章術のノウハウは、やたらと「短くしろ」の一点張りです。私の大学でもそういうコースがあって、入学してすぐ「文章を短く切れ」と教えられ、実は文章が下手糞になってしまう。(中略)問題は長いか短いかではないのに。


------そういうふうに言葉を情報化してしまうと、一義的に表した表面的な意味以外の隠れたニュアンスが見えなくなりますね。コミュニケーションは、ディスコミュニケーションへの配慮があって初めてコミュニケーションになるという、当たり前の前提が伝わりません。

貝澤
 ええ。小説を読むことの大切さは、そういうことの中にもあります。言葉は情報伝達以外の拡がりを持っていて、それって我々の日常生活でも大事なわけですね。井戸端会議なんて、内容のないことをただ喋りあっていて、それが楽しいわけでしょう。一方で、ラインなどで使われている言語は疑似的な言文一致みたいな省略を重ねて、短くなる一方で、外の者にはほとんど通じない。


〈あとがきのあとがき〉100年前からもうポストモダン!? 
唯一無二の作家、ウラジーミル・ナボコフの不思議な魅力 『偉業』の訳者・貝澤哉さんに聞く
より
http://www.kotensinyaku.jp/archives/2017/01/006644.html




ナボコフの小説は、ロシア語で書かれているものや、ロシア語で書いたものを後に英語に訳し直したもの、あるいは最初から英語で書かれていたり、英語への翻訳を本人がやっていたり別な人だったりして、とにかくすんごいややこしく、何がオリジナルなのか? や、原題と翻訳後のタイトルとの一致がいまひとつわからなかったり、けっこう混乱してしまう。ちょっとそういうのを調べていたときに見つけた上のインタビュー。ロシア語翻訳者でナボコフの小説を訳している貝澤さんが答えていた。これ、けっこう面白い。

本屋や図書館に行けば、「上手な日本語の書き方」だとか、「小説の文章を磨くために」みたいな新書やソフトカバー本はいっぱいあるが、どれをみても書いてあることはほぼ同じで(一応ぱらぱらっとめくっては見てみる)文章を短くして、キレ味を出してみよう、みたいなことしか書いてなくて、まぁ主語と述語にあと二三言葉を足せば、短くはなるしたしかに分かりやすくなるだろう。が、はたしてそれで文章そのものが面白くなっていくんだろうか? と疑問に思ってしまう。僕の場合、短い文章が何十ページと続けば、もう途中で飽きてしまって読む気すら起こらなくなる。日常会話的な、特に長い言葉を要しないものであれば、それで十分だけれども、人の頭のなかで考えられている複雑なプロセスを言葉に置き換えるのに、短い言葉だけでは絶対に足りないだろうと思う。もしわずかな言葉で、十分相手に伝えられたと実感したのなら、まぁ、よっぽどつまらない頭をしてるんだなぁとしか思えなかったりして。
posted by J at 12:00| Comment(0) | 文体観測 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする