2017年10月14日

名曲で歌われる紅茶のアイデンティTea




 独立戦争以降のアメリカでは、紅茶はイギリスの圧制と束縛の象徴とされ、人々はコーヒーを飲むようになっていたが、ここに面白い逸話がある。
 イギリス本国で茶の減を進言した三代目リチャード・トワイニングの息子、トーマス・トワイニング(初代トーマスの曾孫に当たる)はアメリカ初代大統領のジョージ・ワシントンに面会したことがあった。(中略)
 そして面談の後、退出しようとしたトーマスに、ワシントンは今晩茶を共にしようと誘った。残念なことにトーマスは他に約束があり、これを辞退してしまったのだが、ワシントンに面談できたことと、彼に茶に誘われたことを、栄誉として記している。
 かつて茶税をかけたことから戦争になり、イギリスから独立したアメリカの大統領が、イギリス屈指の茶商と茶を共にしていたら、どんな会話がされていただろうか。

「一杯の紅茶の世界史」磯淵猛、より

(第六章 イギリス人、紅茶を飲み続ける / 文春新書・p101)


上の本は紅茶の歴史、世界各地の紅茶についてをコンパクトにまとめた新書で、ときおり紅茶にまつわるこぼれ話も混じっているので、読みやすく、またこれ一冊で結構しっかりと紅茶のことを知れ、すごくいい本だと思った(茶馬古道やビルマの茶についても載っている)。世界史(とくに近代)の中で、紅茶が交易商品として果たした役割、またそうした流れを知っていると、次はもっとディープな紅茶(&お茶)の世界へ入っていけるだろうし、お茶の世界には、ただ「美味しいね」と言って済ませない魅力がやっぱりあるようにも思う。

アメリカでコーヒーが主流になった理由が、アンチ・イギリス、紅茶に由来するんだというのは知らなくて、興味をひいた。そこに住む人たちのアイデンティティって、食文化から起因し形成されることもあるんだな。そう考えると、アメリカで誕生したスターバックス(メルヴィルの「白鯨」にでてくる登場人物が名前の由来)が、ヨーロッパを意識したブランディングでつくられているのは、何か旧大陸に対する懐古的郷愁のようなものが、スターバックスの設立時にアメリカで醸成されていて、それが支持され、結果今みたいに大きなコーヒーショップとして成長できたのかな? とか思ったり。そしてスタバのネーミングルーツになった「白鯨」という物語は、(ヨーロッパに比べ)歴史が浅いアメリカにとっての現代神話みたいな捉えられ方をしているから、その点を合わせてみると、もう少し面白く読み解けそうな気もする。

紅茶とコーヒーの比較とくれば、スティングの有名なあの曲、「Englishman In New York」を思い出しメロディを口ずさむ人も多そうだ。歌詞の冒頭「僕はコーヒーは飲まないんだ。紅茶を飲むからさ」と始まり、自分のこだわりを少し披露しながら、最後に「僕はNYにいるイギリス人なんだ」とくくり、「僕は外国人、合法的に入国した外国人さ」と歌う。この歌でも自分がイギリス人であることを強調するために、紅茶がその象徴として扱われ、それに対するコーヒーがアメリカの象徴になっている。スティングはよっぽど紅茶派なのか、ポリス時代にも「Tea in the Sahara」という曲を書いている。ただ、この曲はポール・ボウルズの小説「シェルタリング・スカイ」にインスパイアされたもので、曲名もその小説の章のタイトルそのまんまだから、あまり関係ないのかもしれない。ちなみに、「シェルタリング・スカイ」はモロッコが舞台の物語。なので、ここに登場する「Tea」というのは紅茶ではなく、緑茶とミントを煮出して砂糖をたっぷりと放り込んだモロカン・ミント・ティのことかもしれない。シェルタリング・スカイは昔、映画の方を観た記憶があるんだけど、どんな内容だったかもうさっぱりと覚えてなくて、確かなことは言えないけど。


Sting - Englishman In New York


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2017年10月13日

一年前に避難

shelter-sketch.jpg
*画像は下記リンク先より。

去年のちょうど今頃、 ポーター・ロビンソン & マデオン「シェルター」のMVが世界にさきがけ渋谷モディの街頭エキシヴィジョンで公開されて話題になっていた。僕は二ヶ月遅れで知ったんだけど、最初観たときはほんと驚いた。音楽の良さ、と約6分間のオリジナル・アニメーションの物語、そしてその映像の完成度に。MVというよりも、まるで映画のようなクオリティだった。出来上がった音楽にただ割り振りしたアニメーションを付けただけじゃない、のは観てすぐにわかったし、調べていくうちにひとつのプロジェクトとして制作されたとても丁寧な映像作品だったんだなというのもわかった。
このMV、いまだに人気があって、そのおこぼれがあるせいか、当時歌詞訳含めて少し書いたうちの記事にもよく飛んできてくれる。で一年ぶりということもあって、ひさびさに調べてみると、この「シェルター」のMVの制作エピソードを載せた記事が見つかって、メイキングの様子やポーター・ロビンソンとどんなやりとりをしながら映像を作りあげたのかが詳しく書いてあった。

読んでいると、アニメーション制作が進行するなかで、ポーターは自分のヴィジョンを明確に伝え、リクエストを言ったりしながらも、アニメ・クリエーターたちの創る世界観に呼応するように、作った元曲の長さやアレンジを変えたりして、有機的にヴィジュアル・ワールドとサウンド・ワールドを融合させていたんだなと。



ミュージックビデオって、ただ見るだけのものや、抽象的なものが多いじゃないですか。だから、最初はそちら寄りのインパクト重視なものも考えていたんです。でもポーター本人が、ちゃんとストーリーがあるものを作りたいというイメージを持っていたことが大きかったと思います。

なぜアニメMV『SHELTER』は、世界を席巻できたのか?
A-1 Pictures制作陣が語る、音楽と美術をつなぐ魔法
(2017.04.11)
https://www.fuze.dj/2017/04/a1-pictures-shelter.html



YOUTUBERS REACT TO SHELTER MUSIC VIDEO (Porter Robinson & Madeon)

https://www.youtube.com/watch?v=0C4jonGA4jY

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2017年10月10日

月葉ルナ

LunarLeaf-Luna-Oct-2017.jpg
"Lunar Leaf" Luna (月葉ルナ)
(Oct. 2017 / 210 x 297mm) Ink, Watercolour and Coloured Pencil on paper


画像大きめ版: (JPG - 1.8MB) http://tagong-boy.tumblr.com/post/166178333121/



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