2018年04月22日

最近読んだ本と読んでる本(2018年3-4月)

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「The Finger」ウィリアム・バロウズ
1989年に出版された短篇集「Interzone」から6篇を抜粋し収録した" Penguin Modern "シリーズのミニ・ブック〜2018年版〜。表紙カバーは「ナイルの水」カラーとアヴァンギャルド・フォントを使ったものでかっこいい。今回のこのシリーズはラインナップがめちゃくちゃ良くて、G.オーウェルの「Notes on Nationalism」はじめケルアックや、スーザン・ソンタグなどが出ている。
寝る前に一ページづつ訳しながら地味に読み進めているところ。この頃のバロウズは、さほど難解な文章ではなく、けっこう読みやすい。「Interzone」って邦訳が多分出てないんだよな。


「まるで天使のような」マーガレット・ミラー
これは評判どおりのいいミステリーで、すごくよかった。いや、ものすごくいい。買ったはいいものの二年ほど本棚に入れたままだったけれど、ふと急に手にとって読み始めたら止まらず、一日で読み終えた。
カジノですっからかんになった主人公クインが友人の車に同乗し、途中、知らない場所に降ろされてしまう。近くにあったのは<塔(タワー)>と呼ばれる新興宗教の修道院、そこに寝床と食事を求め入ったところ、ある修道女から人探しの依頼を受け、その人物を見つけようとするが…というはじまりで、プロット、話の展開、セリフ、等々何をとっても読ませてしまう魅力に満ちた文章。ここまでクオリティの高い小説は、そうそう出会えないので嬉しい収穫だった。舞台は冒頭の森の中の修道院から、誰もが顔見知りの小さな町「チコーテ」へと移り、閉鎖的なこの町で起こった過去の事件を掘り返すことになる。アンナ・カヴァンの「氷」とピンチョンの「インヒアレント・ヴァイス」なんかも彷彿させるところがあって、現実的なスリリングさと寓話性の混じったトーンにすごく緊張感があり、読んでいる最中にだれる箇所が一切なかった。ミュージシャンズ・ミュージシャンという言葉があるように、小説家が読む小説、といった感じの完成度の高さ。いや、ほんとすごい。


「謎解きゴッホ」西岡文彦
ゴッホの半生と、絵に秘められた謎を分かりやすく書いた本だが、充実した内容。ゴッホは、激情の感情を持った絵描きだというイメージを持っていたけれども、確かに性格面ではそういった要素があり、それが生き様と奇行エピソードにも現われてはいるが、絵に関していえば、実は超理論派であの激しいタッチの筆使いも厳密な色彩理論を忠実に守ることで生まれていたんだ、というあたりは意外な事実だった(プロテスタント育ちの環境がある種、言動の根っこになってもいた)。そういや本当の天才って、みな理論派で論理的なんだよな。ピカソにダリ、岡本太郎も、マイルスも。


「おもいでエマノン」鶴田謙二・梶尾真治
鶴田さんの絵につられて読んだコミック。原作は梶尾真治さんの小説らしいが、未読。でも、このコミカライズはきっと成功しているだろうなと思えた。旅と時空ものSFファンタジーがうまく混ざっていて、郷愁感と人間の存在って何? っていう哲学的なテーマが読後にじんわり広がり、そうした余韻がたまらない作品。何度も読み返したくなる。


「サンデーとマガジン」大野 茂
サブカルものの軽い新書だと思って、さらっと読むつもりがけっこう密度の高い内容でびっくりした。当時の社会状況、そして今に至る日本の漫画文化の形勢のされ方が、漫画作品とその背景と共に書かれていて、俯瞰すると日本人の嗜好性のようなものも垣間見えて面白い。互いに部数を競い合ういいライバル関係であったからこそ、数々の名作が誕生したのだと。
ぼくは小学校の頃はジャンプ派だったので、サンデーとマガジンはちょっとお兄さん的な存在がして、あんまり読みたいのがなかった記憶がある。この二冊、ジャンプより古かったのかと、いまさら知る。少年ジャンプや他青年誌が誕生する流れに時代が傾いていくあたりまで。


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2018年01月31日

ラヒリの新作短篇「The Boundary」が



The Boundary (The New Yorker)
https://www.newyorker.com/magazine/2018/01/29/the-boundary


ラヒリの新作短篇が「The Boundary(境界)」が、1/29付けのニューヨーカーにアップされていた。今回はイタリア、ラツィオとの州境に近いトスカーナの別荘で管理人として働く移民家族の物語で、十代の少女が中心になっている。ラヒリは、今回もイタリア語で書いてはいるが、英語翻訳は彼女自身が行っているようで、以前書いていたエッセイとの違いが少しある。そのあたりの心境の変化などは、同誌の別記事で語っている。


ラヒリの「The Conversations」を三つの言語で
http://tavola-world.seesaa.net/article/jhumpa-lahiri-teach-yourself-italian-translate.html


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2018年01月25日

ル=グウィン氏死去



サイエンスフィクションとファンタジーの作品を多く発表し、世界的に愛された米作家、アーシュラ・K・ル・グウィン氏が22日、死去した。


米作家アーシュラ・K・ル・グウィン氏死去

http://www.bbc.com/japanese/42799621


ル=グウィン、亡くなったのか。先週末、たまたま入った古本屋(何年か前に一度のぞいたことがあるくらいで、普段は行かないお店やった)で「所有せざる人々」の古いペーパーバックを見つけ、買ったばかりやった。この本、ずっとwant listに入っていて探していた一冊。でも、人気ある本だからなかなか手に入らなかった。ちょっと不思議なタイミング、大事に読も。

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2018年01月03日

処刑人

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Shirley Jackson "Hangsaman" / シャーリイ・ジャクスン「処刑人」


ペンギン・モダン・クラシックスのタイトル画像をながら見ていたときに、ふと目にとまった表紙があった。シャーリイ・ジャクスンの「Hangsaman」。1970年代ごろのアメリカにいたフォーク・シンガーみたいな名前だな、と思いつつカバーを飾る redhead でそばかすが似合う女の子のイメージが妙に印象に残って、ピンとくる。少し調べてみると、シャーリイ・ジャクスンはファンタジー色の強いミステリー・ホラーな物語を書いているみたいで、スティーヴン・キングが愛してやまない作家だとか。なもんで、無性に読んでみたくなってペーパーバックを手にしてみる。と、ここまでは良かったんだけど、この人、文章の切り方や(ミステリー作家だからか)代名詞関連がけっこう多く、難しい単語がないんだけれど難易度が高いように思えたんで、邦訳を一緒にみながら読んでくことにした。プロの翻訳家はこういう言い回しをどういう風に訳しているんだろう、というのもやっぱり知っておかなくちゃいけないな、とこのところ思い始めたのでちょうど良かった。タイトルの「Hangsaman / 処刑人」って、どこかサンソンを彷彿させる。

にしても、表紙のイメージが英語版と日本語版で似ているのは、物語にすごく明快なヴィジョンがある証拠だなと思う。もう少しで読み終わりそうなエリザベス・ベア「スチーム・ガール」の次にこれかな。

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2017年12月12日

J.G.バラードのテクノロジー三部作

JG.Ballard-Crash-Concrete-Highrise-trilogy.jpg
" Crash " (1973) / " Concrete Island " (1974) / " high-Rise " (1975)
バラードのテクノロジー三部作。「ハイ・ライズ」は2015年公開の映画化に合わせて文庫が復刊されたが「コンクリート・アイランド」の日本語訳だけは絶版のままなので、英語版で読むしかない。4th Estate版のペーパーバックは約170ページほどだからわりと短め。

上画像のフォントは、下記リンク先の" Arapey Regular (free font) " を使った。
● Fonts by Eduardo Tunni : https://www.fontsquirrel.com/fonts/list/foundry/eduardo-tunni



前にウィリアム・バロウズのカットアップ三部作のペーパーバックを紹介したのを機に、文学系の三部作を集めてみるのも面白いんじゃないかと思って、今回はJ.G. バラードの有名な三部作の一つ、テクノロジー三部作を選んでみた。

William S. Burroughs: The Cut-Up Trilogy(2017年09月21日)
http://tavola-world.seesaa.net/article/453615770.html


日本では「テクノロジー三部作」として知られている「クラッシュ」「コンクリート・アイランド」「ハイ・ライズ」の3作だが、海外では特にそういった呼び方をしている風でもなく、人の欲望が(1970年代頃の)現代社会とテクノロジーによる都市景観の中で、どのような精神・心理状態となり変わっていくのか、といった根底的なテーマを持った作品としてこの三作が括られている感じだ。なので、英語圏では「なんとかトリロジー」といったような固有の名称は存在せず、読者や評者がそれぞれ自分なりに考えた言葉で括り表現しているものが多い。まぁ言い方が微妙に違えども根本的な主旨は同じなので、和製呼称の「テクノロジー三部作」でも差し支えないだろうと思うし、もう日本ではそれで定着してしまったのだから、僕も馴染んだ「テクノロジー三部作」という呼び方を使っている。バラードも、呼び方こそ明言はしてないが、自身の作品とそれが持つテーマをカテゴライズし語っているので、公に三部作としてのくくりが存在する感じだ。「クラッシュ」の序文の中で、バラード自身がこの作品を評している文章があり、次なる2作へとつながる要素が感じられるので以下引用。


わたしが正しく、過去数年間の仕事によって自分の現在が回復されているならば、『クラッシュ』は近、極近の未来を舞台にした、過去の災害小説――『沈んだ世界』『燃える世界』『結晶世界』――の流れにつらなる、現在の災害小説としての地位を占めるはずである。

「クラッシュ」J.G.バラード(柳下毅一郎訳)、より(創元SF文庫・序文・p11)


また「クラッシュ」「コンクリート・アイランド」「ハイ・ライズ」は、三部作とはいっても続き物ではないため、それぞれに登場する人物に共通するものはほとんどない。「クラッシュ」は、交通事故を起こしたジェイムズ・バラードと妻のキャサリン、そして二人の前に現れた不気味な男ヴォーンを巡る性癖妄想譚。主人公のジェイムズはテレビCM制作会社に勤めている。「コンクリート・アイランド」は今(苦労しながら)英語版を読んでるところなので、途中までしかわからないが、ロバート・メイトランドという建築家の男が主人公。メイトランドは高速道路でジャガーを走らせいたが、ある日レーンを突き破って下方の土手に落ちてしまい、そこから出ようとするが…この先どうなるんだろう? 「ハイ・ライズ」はロバート・ラングという医学部の講師が、そこに住めば何でも揃っているという最新型高層マンションに居を移したことから始まる、密室空間サスペンス的な話。現実世界の社会ヒエラルキーが、マンションの階層とリンクして展開する。そして、この高層マンションを設計し、最上階に住んでいるアンソニー・ロイヤルという男が物語の鍵になっている。バラードがそれぞれの登場人物に好んでつける職業(医師、建築家、広告代理店など)に特徴があるという点では、共通項がなくはないかもしれない。
「クラッシュ」は、連作短篇集「The Atrocity Exhibition」の第12章「Crash!」を元にして長篇に書き直されたもの。賛否両論大きく分かれる作品でもあり、一般的な評価として「クラッシュ」はバラードの最高作だという意見も多いんだけど、個人的に「クラッシュ」は読むのが苦痛に思えた作品だった。もし、最初に「クラッシュ」を読んでいたら、他のバラード作品を続けて読む気がしなかったように思う。読む出会い、順番ってけっこう大事なんだよな。



「ハイ・ライズ」と「Disorder」

三部作から少しそれるが、でもちょっと関連した話。「ハイ・ライズ」はジョイ・ディヴィジョンのシンガー、イアン・カーティスが好きだった本の一つとして知られている。そして、彼らの1stアルバム「Unknown Pleasures」の冒頭を飾る「Disorder」という曲の歌詞は、「ハイ・ライズ」に相当影響を受けているのだということを書いているBlogがあるので紹介したい。歌詞の中に出てくる「10階」というキーワードが、バラードの小説「ハイ・ライズ」をなぞっていると指摘しているあたりは、これよく気付いたなぁと感心してしまう。

Disorder――イアン・カーティスとJ・G・バラード(1)(愛語)
http://blog.goo.ne.jp/mstshp/e/1116e150987cd956d0cdcdefb69776ff
予備:http://archive.is/fhxaz



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2017年10月06日

カズオ・イシグロの短編「戦争のすんだ夏」がネットで読める



ノーベル文学賞、今年はカズオ・イシグロなのか。
生まれと育った国が違って、オリジンの方ではない言葉で
生きていくってどんな感覚になるのか気になるところだけど、去年のディランといい、いわゆる典型的な「文学的」なものから、ちょっとずつ選考基準のなかにグローバルな今の社会状況なんかを反映させようとしているのかな、とか思ったり。


"Summer after the War" Kazuo Ishiguro
https://granta.com/summer-after-the-war/

(たまにのぞいてた)イギリスの文芸サイト?「GRANTA」に、カズオ・イシグロの短編が3つくらいアップされている。このサイト、有料じゃないと見れないのもあるけど、けっこういい作家の(収録されてないような)小説やレビューがあって、充実している。New Yorker にあると思ったんだけど、そっちにはなかった。


短編 "Summer after the War" は、小野寺健さん訳による「戦争のすんだ夏」という邦題がついて、1990年12月号の「エスクァイア(Esquire)」に掲載されていたみたいだ。多分、この短編小説、日本ではこの雑誌だけでしか収録されなかった作品だと思う。

カズオ・イシグロ
(翻訳タイトル・リスト)
http://ameqlist.com/sfi/ishiguro.htm



Kazuo Ishiguro, The Art of Fiction No. 196 (the Paris Review)
https://theparisreview.org/interviews/5829/kazuo-ishiguro-the-art-of-fiction-no-196-kazuo-ishiguro?_ga=2.37159971.202434243.1507214976-1146833179.1504634603
つっこんだインタビュー記事で知られる「パリ・レヴュー」のインタビュー。バックナンバーは途中まで読めるが続きは有料だったりする場合が多い。

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2017年09月28日

「侍女の物語」2018年に配信決定!で日本も Hulu える

M.Atwood-Paperback-VintageFuture.jpg
日本の新書とほぼ同サイズの Vintage Future版ペーパーバック。


先月、アメリカで話題になっているネット配信ドラマ「The Handmaid’s Tale 」と、その原作にとなったマーガレット・アトウッドのディストピア小説「The Handmaid’s Tale(邦題:侍女の物語)」の紹介をした。

世界が Hulu えたネット配信ドラマ (25 Aug. 20017)
http://tavola-world.seesaa.net/article/452933779.html


これはアメリカの hulu 制作によるドラマ・シリーズなんだけど、日本の hulu ではその手のオリジナル制作ものを取り扱わないとかいう話らしく、ああ見れないのか、なんてがっかりしていたところ、なんと日本でも配信が決定したというニュースが出てきたので、それを含め改めてもう一度紹介。配信開始の詳しい時期はわからないが、2018年からスタートするのは確か。また先週、エミー賞の発表があり、この「The Handmaid’s Tale 」がいくつかの部門で受賞した。これが日本での配信決定と直接影響しているのかは分からないが、なんとなくタイミングいい。

僕も原作を読みたくなったんで、一冊購入。日本版にするか英語版にするか迷ったけれども、Vintage Futureシリーズのタイトルの中にこの小説の名前があったんで、そっちを選んだ。この Vintage Future シリーズにはSF小説の名作、オルダス・ハクスリーの「Brave New World」や J.G. バラードの短篇集「vermilion sands」、他ザミャーチンの「われら」などがあるのは知っていたが、全部で 9つの作品がありトータル・デザインでパッケージングされていることは知らなかった。また、ブック・デザインにちょっとした仕掛けがあり、前からハクスリーのやつが欲しかったんだけど、そう急ぐものでもないしと思っていた矢先。アトウッドのこの小説がシリーズの中にあったのに気付き、ちょっと意外だったが、手にするいいきっかけになった。
このシリーズ、9冊を揃えそれぞれの裏カバーを繋げ合わせていくと、一つの大きなパターンが現れるというアイデアがあり、さらにスリットの入ったアセテート・シートが本の間に封入されている。このシートを表紙にかざし平行に動かすと絵が動いて見えるという面白いギミックになっている。このブックカバー・デザインについてはまた別に書きたいので、今回はさわりだけ。
それと、このペーパーバック本は一般的なペーパーバックとはサイズが異なっていて、一回りちょいほど小さくちょっとかわいらしい。日本の新書本とほぼサイズが同じだが厚みがある。「A-format(110mm×178mm)」というイギリスの規格サイズに当たるみたいだ(というよりも、新書のサイズがペーパーバックの版型に合わせて始まったようだ)。本のサイズが小さいからそれに比例し、文字もけっこう小さく、英語がびっしりと詰まっている感があって、意外とプレッシャーを感じたりもする。おそらく廉価版的な扱いっぽいので、序文その他の余計なものがなく、本文テキストだけしかない為に、けっこう素っ気無さもあるが、コンパクトにまとまった仕様はデザインを含め楽しめる。残り8タイトルも共通して同じスタイルなのかは不明だが、多分合わしているだろうと思う。

僕がアマゾンで購入したときには在庫が9点ほどあったが、日に日に売れていって一週間ほどで入荷待ちの状態になていた。多分、ドラマ化の効果があるからなんだろうけど、けっこうみんな買ってるんだなと実感。



第69回エミー賞の受賞作が9月17日に発表され、マーガレット・アトウッド『侍女の物語』を原作とする米国Huluオリジナルドラマ「The Handmaid's Tale(原題)」が、ドラマシリーズ部門作品賞、主演女優賞など8部門において受賞作に輝きました。
同ドラマは、日本でも2018年にHuluにより配信開始されることが発表されています。


エミー賞8部門制覇の『侍女の物語』ドラマ、Huluで2018年配信決定!
http://www.hayakawa-online.co.jp/new/2017-09-19-144911.html





 今年のエミー賞のキーワードは、「女性」と「反トランプ」、そして近年話題になることが多い「多様性」は、さらに一歩踏み込んだ形で受賞結果に顕著だった。最も強く打ち出されたのは「女性」で、4つの主要カテゴリーの作品賞は、すべて女性を主体とした内容だ。ドラマ部門は、女性が子供を産む機械とみなされるディストピア小説のドラマ化「ザ・ハンドメイズ・テイル」


第69回エミー賞は女性が勝利した年!反トランプ旋風吹き荒れる
https://www.cinematoday.jp/news/N0094629


追記:

このドラマ、海外では相当話題になっているので、もしかするとノーベル文学賞候補に名前があがってるんじゃないかと思って bookmaker の倍率なんかを調べていたら、今年の5月にアトウッドは、フランツ・カフカ賞(2006年に村上春樹が受賞して話題になった)を受賞していたニュースを見つけた。

Canadian writer Atwood to receive Franz Kafka Prize in Prague
http://praguemonitor.com/2017/05/30/canadian-writer-atwood-receive-franz-kafka-prize-prague


2017 Nobel Prize For Literature
https://sports.ladbrokes.com/en-gb/betting/tv-specials/specials/other-specials/2017-nobel-prize-for-literature/225689183/
アトウッドは現在村上春樹に次いで3位につけている(去年、リストに彼女の名前があったかな? あんま記憶にないけれど)。ドン・デリーロは去年よりぐっと順位が上がっていて、ピンチョンはけっこう下がった。

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2017年09月25日

ナボコフ「アーダ」が新訳で!

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『ロリータ』訳者の精緻な新訳により遂に全貌が明らかに!
ナボコフ最大の問題作!


〔新訳版〕『アーダ』ウラジーミル・ナボコフ/若島正訳
https://twitter.com/Hayakawashobo/status/910775948005449728


たまたま本屋さん行ったら、いきなり出てた。



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2017年09月21日

William S. Burroughs: The Cut-Up Trilogy

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ペンギン・モダン・クラシックスから出ているバロウズのカットアップ三部作。
表紙は Julian House というグラフィック・デザイナー(自身でレコード・レーベルを運営していてミュージシャンでもある)のコラージュ・イラストが使われている。


現在、バロウズの著作本で日本語訳を読もうと思ったら、デヴィッド・クローネンバーグによって映画化された「裸のランチ」と、処女作の「ジャンキー」他わずか2、3タイトルしか出てなくて、あとは絶版になったまま。中古本屋でも棚に入るとすぐに売れてしまうので、残っているものを見かけたとしてもたいていコンディションの良くないものばかり、だけど値段は相応に、とあって買うには二の足を踏む感じだ。特にバロウズの代名詞にもなってる「カットアップ三部作(ノヴァ三部作ともいう)」の3作品は、「ソフトマシーン」を年に一、二度見かけるくらいで、残り2作の「ノヴァ急報」と「爆発した切符」に関しては、僕は売っているところを見たことがない。今、この三部作を新訳で復刊したらきっと話題になると思うんだけど。

河出文庫の「裸のランチ」を読んでみると、確かにある程度意味はつかめるんだけど、どうも文章がめちゃめちゃで、いまひとつすっきりしないし、ページの進み具合もたどたどしい。これは決して翻訳が悪いというわけはなく、バロウズの文章を日本語に置き換えること自体に無理があるのだと、原文に目を通してみると少し分かってくる。スラングいっぱいだし、文法もよくわからないものが多い、だけども英語で読む方がすっと馴染む箇所もあったりして、意外と洋書で読んだ方が「言葉」の語感というか、バロウズの意図したことがわかるようにも思えたり。このカットアップものは一般的な小説のように、時系列に沿った明確なストーリーがあるわけでもないから、手に入る日本語訳でおおまかな意味をつかみつつ、ディディールは英語で、というのがわりと読みやすいんじゃないかと感じた。
小説に限らず、なんとか「三部作」っていうのは、けっこうそそられるものがあって、そのなかの一つをたまたま買ってしまうと(読んでしまうと)、どうしても三つ揃えたくなるもんだ。そして、三部作と名のつくものは他にもいろいろあって、なぜか名作になってるのが多く、またいくつか紹介してみたい。


REVIEWS OF WILLIAM S. BURROUGHS'S EARLIER BOOKS
http://www.nytimes.com/books/00/02/13/specials/burroughs.html
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2017年06月27日

New wave 好きにはたまらない二冊の本

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Amos Tutuola "My life in the bush of ghosts" and Penelope Farmer "Charlotte Sometimes"


いや、やっと届いた。エイモス・チュツオーラの「マイ・ライフ・イン・ザ・ブッシュ・オブ・ゴースツ」。一応イーノのファンだけに、この本はずっと読まなければ、と思ってはいたものの、絶版の邦訳本は復刊しそうな気配がなく中古本でも見たことがなかったんで途方に暮れていた。さすがにこのまま、ずるずると読まずじまいで終わるのもどうかと焦りはじめ、この際、いい機会だから英語で読むことにした。ただ、最近岩波文庫から処女作「やし酒飲み」に続いて「薬草まじない」も出ていたりもしているので、もしかしたら近いうちに復刊するのかも、なんて淡い期待を傍らに抱きつつ。

チュツオーラはアフリカ、ナイジェリアの作家。だから、てっきり彼の小説は現地(ヨルバ)語で書かれ、それを英訳しているのかと思っていた。ところが実際はそうではなく、チュツオーラ自身がヨルバ語を英語に置き換え、はじめから英語で小説を書いていたものなんだそう(邦訳本も重訳だと勘違いしていたり)。なもんでいわゆるネイティヴな英語ではなくて、ちょっと変なところがあって、それが1950-60年代に巻き起こっていた新世界文学の流れの中でうまくハマり、もてはやされるようになったとか。T.S.エリオットが出版に一役かっていたという話も意外だった(裏カバーのキャッチコピーより)。英文としては、少しカタコト的な移民文学にも似た感じがありそうだし読むのが楽しみ。最近、英語以外の言語を母語にし育った人が、英語圏で生活したり勉強したのちに、自分の表現言語を英語でどうやって組み立て、構築するんだろうか、というところに興味があって、そんな小説を読みたくなっている。チュツオーラはじめ、他ナボコフだったり、ジュンパ・ラヒリとか(ラヒリは、小説家になってからイタリア語の勉強をしてイタリア語でエッセイを書いている)。こうしたトランス・ランゲージ的なもので、かつ主要言語でないものから派生した文学って、ネットの時代の今、これから先の時代に合っているようにも思え、また新鮮なような気がする。
「ブッシュ・オブ・ゴースツ」を軽くつまみ読みすると、僕のような中学生レベルでもけっこう読めるところがあり、そうだったのならもう少し早くに読んでいればよかったなと少し後悔。やし酒飲みの方は、岩波文庫で読んでいた。森の中をさ迷い歩くところなど、二作の内容は少し似ていて、民話を現代にアレンジしたような話。

もう一冊は、ペネロープ・ファーマーの「シャルロット・サムタイムス」という本。これは、ザ・キュアーのヒット・シングルと同じタイトル。それもそのはずで、ヴォーカルのロバート・スミスがこの本を題材に曲を作り、また物語の一部を歌詞に取り入れている。ロバート・スミスはこの小説が好きらしく、あと2曲、この本から言葉を引用し曲を書いている。このあたりは、そのうち詳しく書くので今回はさわりだけ。ペネロープ・ファーマーは日本ではほとんど知られてないが、英語圏では人気のある児童文学の作家。「シャルロット・サムタイムス」は1969年に出版され、何年か前に40thエディションの記念版が出ていた。これも邦訳が出なさそうなので(昔一度だけ出版されていたがもちろん今は絶版)、勉強がてらチャレンジしようと思った。でも児童文学、向こうではローティーンの子供たちが読むような感じなので、けっこうやさしめな英語だった。寄宿学校を舞台にした物語で第一次世界大戦が背景にある。

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