2017年02月26日

世界の鉄道:海の上を走る列車(インド/タミル・ナードゥ州)

Cap-PambanBridge-India.jpg
下動画のキャプチャー。


Mother Of All Bridges Pamban 1

インド南端とスリランカ(北西部)は地理的に非常に近くもう目と鼻の先ほど。両先端部だけを見てみれば距離にして約30kmほどしかない。インド側からスリランカ方面に向かって、まるでモッツアレラを伸ばしたように、か細く伸びた砂洲と浅瀬の地があって、そこはアダムスブリッジと呼ばれている。かつて、このアダムスブリッジは海には没しておらず、インドとスリランカの間を歩いて行き来できたとか。日本の天橋立を思い出すような地形で、この地で語られる伝説もまた同じように神や王、天女に姫にまつわるもの。
スリランカは内戦が長期化していた為に、北部エリアへの入域は長らく困難だった。しかし、2009年にスリランカの内戦は終結、そう簡単に紛争の爪痕が消えることはないだろうけれど、現在は観光産業を含めた復興事業が進んでいるところ。インド〜スリランカ間の最短航路も、この内戦の影響で閉ざされたままだったが、不定期的に船の運航はあるみたいだ(水深が浅いので大型船の航行はできないみたい)。インドからスリランカへ航路で行く場合は、「パーンバン橋」を渡って海の中洲のような「ラメスワナム島」へ行き、そこから船に乗り、アダムスブリッジを船上から望みながら、スリランカのマナー島(Mannar Island)へと行く。

上画像 & 動画は、インド大陸とラメスワナム島とをつなぐパーンバン鉄道橋。全長は2,065mで、海上すれすれにある線路、その上を走る列車は海の中を走っているように見える。晴れた日は青い海がきれいで、錆びた橋、くすんだ車輌とのコントラストが絵になる(ちょっと海が荒れたときなんかは運行できないような気もするがどうなんだろう?)。その辺を押さえた丁度いい動画がなかった(天気よく、構図や画質も良くて、適度に短く編集されているもの)ので、構図優先で選んだ。また、この路線、ラメスワナムのもう一つ先にある「ダナッシュコディ」という町が本来の終着駅になっているが、1964年に巨大サイクロンがこの地を襲いダナッシュコディは廃墟と化し、現在はラメスワナムが終点になっている。
パーンバン橋は船が通れるよう、跳ね橋になっている。正確には「バスキュール橋(=天秤ばかりの意)」というらしく、跳ね橋という日本語訳だと本来の意味に適した言葉じゃないとか。

バスキュール橋
http://asait.world.coocan.jp/kuiper_belt/canal2/bascule_bridge.htm


ダナッシュコディの地図とアダムスブリッジの航空写真(wiki より)
Map-Dhanushkodi-AdamsBridge-wiki.jpg
Dhanushkodi - wiki https://en.wikipedia.org/wiki/Dhanushkodi
Adam's Bridge - wiki https://en.wikipedia.org/wiki/Adam's_Bridge



1964年、巨大サイクロン襲来で廃墟と化した「ダナッシュコディ」の町。

「パーンバン橋」の先にはラメスワラムという駅があって、現在のところここがパーンバン〜ダナッシュコディ支線(Pamban–Dhanushkodi branch line)の終着駅。本来はもう一つ向こうにある「ダナッシュコディ」が終点になるのだけれども、ダナッシュコディは1964年のサイクロンの影響で津波被害にあって、この小さな町は壊滅的な被害を受け廃墟となった。現在もほぼ当時のまま放置されている。
という、悲しい歴史がある場所なんだけれども、絵的に見ると、真っ青な海と白砂、その中にたたずむ廃墟の建物(教会のシルエットなど)は、どこか不思議な感じがあって、時間がぴたりと止まった空間みたいだ。デ・キリコの形而上絵画を思わせる夢の中の世界。もし、僕が映像や映画監督だったら、ここをロケ地にした映画を作ってみたい。カフカの短篇小説「流刑地にて(* 青空文庫でも読める)」を下敷きにしたストーリーで、シュールな映像作品が出来そうな気がする。場所にインスパイアされて、何か作品が出来るってのもきっと面白いだろうな。

Cap-Dhanushkodi-India-May-2016.jpg
Dhanushkodi, INDIA, Aerial Video https://www.youtube.com/watch?v=IdhkmXS5qKo
上リンク先から取ったキャプチャー画面。

Dhanushkodi railway station
https://en.wikipedia.org/wiki/Dhanushkodi_railway_station
RouteMap-Dhanushkodi-wiki.jpg

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2017年02月19日

世界の鉄道:L字に曲がるシカゴの高架鉄道(アメリカ・イリノイ州)


CTA Junction 12 in winter timelapse.

シカゴの街中、ビルとビルの合間を走る高架鉄道「シカゴ L」。これ、けっこうビックリしたのがジャンクションの走り方。遠目から見ると線路がただ直線交差しているだけように見えるが、実際に列車がやってくるとそうじゃない、ここで車輌が90度直角に曲がって進路をとる。こんな急な角度を横転せずに、よく曲がれるな。この強引さ、アメリカっぽいか。広い土地のあるアメリカなんだから、何もこんな建物の並ぶ場所に線路を引かなくてもいいのに、なんて思いながら、もしかすると鉄道を敷いた後にビルの建設ラッシュがあったのかな? と調べてみると当時からすでにビルは建っていた。街と鉄道の密接具合はディストピアSF映画に出てきそうな雰囲気あるし、どこかアジア的な雰囲気もあって、この光景見ていてなんか居心地がいい。
この「シカゴ L」、開業したのは1892年と古く、日本最初の鉄道(新橋〜横浜間)が1872年の開業だから、当時はやっぱり欧州やアメリカが鉄道先進国だったんだなと。

ChicagoL-1900s.jpg
Historic photos of The Chicago  '​ L ' (写真は下リンクより)
http://monovisions.com/historic-photos-of-the-chicago-l-line/


Cap-ChicagoCTA-Loop-Junction.jpg
上動画のキャプチャー。

BirdView-ChicagoCTA-PinkLineL-Junction.jpg
http://tagong-boy.tumblr.com/post/157188787731/


シカゴ・L - wiki
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%AB%E3%82%B4%E3%83%BBL

The Loop (CTA) - wiki
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Loop_(CTA)
https://en.wikipedia.org/wiki/Adam%27s_Bridge
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2017年02月13日

世界の鉄道:サトウキビ鉄道と牛車(インド)


Sugar Cane Railway in India

はっきりしない記憶がふとよぎる。以前何かで見た、ボルネオ島のサトウキビ鉄道の写真。旺盛に茂ったサトウキビ畑の中を、小さな機関車が走っている色褪せたカラー写真とそれに関する web ページだったような。それがボルネオ島だったということも確かではなく、ただ日差しの具合や空の感じ、写真に写っているものから見てとって、それがボルネオだったと思い込んでいただけなのかも。まぁ、そうした小さなきっかけがあるだけで十分なわけで、僕が探して見たかったのはサトウキビ列車の動画だった。記憶にあるその写真と同じような光景が見れることを期待して。そしていろいろ見ていくうちに、ボルネオのサトウキビ列車がさっぱりと見当たらず、もしかすると頭の中で違う何かと何かが結びついただけだったんじゃないかと思えてきた。でも、各国のサトウキビ鉄道関連の映像でいいものがいっぱいあったので、結果満足。こういったプランテーションでの交通インフラがどんなふうにして敷設され今に至っているんだろうという、次の興味への入口になる。

フランスのドコービルという会社が、簡易で安価な狭軌・軽便鉄道技術を、当時のヨーロッパの植民地などに輸出していたらしく、今もその時代の車輌が使われ現役で活躍しているのなら、百年近く経っていることになって、時代を経たなにかどっしりしたものがきっとあるんだろうと、また想像広がる。

上の動画は、インドのサトウキビ鉄道。列をなす牛の荷車と蒸気機関車(前後ろ逆に連結してるけど、こういう使い方をするみたい)や、塵で鈍く濁った空の色などの構図が、どうにもインドっぽくて、こののんびりとした空気はイギリスが統治していた時代とさほど変わってないんじゃないかと思えたり。サトウキビ鉄道はその場所に合わせて敷設されているからバリエーション多く、いい動画がたくさんある。

そいや、ビルマに行ったとき、ビルマで初めて口にしたのがサトウキビの茎から搾りだしたジュースだった。空港からヤンゴンの中心部へと走り、降りた場所がどの辺りなのかさっぱりとわからない状態でうろうろしていたときに、喉を潤してくれた飲み物。まだ軍事政権で外国人旅行者は少なく、現地の人が投げかける視線と人波に酔い、強い日差しを浴びて気力が弱まっているときだった。ガラス製ビアマグに注がれた、淡い麦わら色の濁った液体は甘く、力が湧いた。


ドコービル - wiki
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%AB

SugarCainRailway-India.jpg
上動画のキャプチャー。
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2017年02月04日

世界の鉄道:嵐吹き荒れるダウリッシュの防波堤線路(英国)


Dawlish Sea Wall - Monday 4th February (2014)

英国南西部、ダウリッシュという街を走る海岸線路は、世界で最も危険な鉄道路線の一つとして有名で、毎年嵐の吹き荒れる季節になると、たびたびニュースになっている。映像や写真で見る、波しぶきが海岸線の線路一帯を直撃し、その中を果敢にも列車が走ってゆくロケーションはけっこうドラマティック。これ、中に乗っている人たちはどんなふうな光景を目にしてるんだろうとすごく興味わく。この海沿いの線路、嵐がなくても海風が強く、海水にも浸されているようだから、レールの腐食は相当早く進みそうでメンテナンスが大変そう。先日、ロイターでニュースになっていたのを見て思い出した。


英南西部で暴風、通勤電車に叩きつける荒波(ロイター)
http://jp.reuters.com/news/picture/giant-waves-smash-british-commuter-train?articleId=JPRTX2ZCER

Dawlish-Seawall-Storm-England.jpg
上動画のキャプチャー。


Spectacular Seas Pound The Royal Duchy. Dawlish Sea Wall. 23rd Sept 2012
https://www.youtube.com/watch?v=FENr4Ak9AQA
蒸気機関車がダウリッシュ駅から発着する動画。こっちの方が絵になるかな?
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2017年01月28日

世界の鉄道:火力発電所を背景に走る保線車両(中国遼寧省・阜新)


China - Fuxin 11 - Maintenance train - November 2012

以前、バングラデシュやインド、ベトナムに行って、各国それぞれの特徴をもったレンガ工場の写真を撮っていた。視界に広がる砂地と赤レンガの色世界は、どこか現在とはちがう中世の時代へタイムスリップした感があって、そこで造られたレンガひとつひとつに人間が持つ原始的なパワーが閉じ込められているように思えた。それらを撮ったあとしばらくは、何に関してもあまり興味がもてずにいた。そうした中で次は何を撮ろうかと色々考えていたとき、中国の炭鉱や露天掘り鉱山や、ビルマの宝石採掘に興味が湧いてきた。今度はそうした場所が持つ黒っぽい世界も絵・構図的に面白く思えた。近代的な産業が生まれた頃の原風景はきっとこんな風だったのかも、と自分なりに思い描いてイメージを膨らませるも、結局実際に撮りに行くところにまで至らなかった。中国経済が成長する中で押し進む不動産開発が、古い町並みを壊し次々と近代的な(味気ない)建物にかわってゆくのを報道などで知っていくほどに意欲が反比例し、興ざめしていくようになったから。こんな風に、何かぼんやりと撮るテーマが定まらず二の足を踏んだりしていた。

撮影の候補地として調べものをしていたとき、中国の炭鉱地帯として知られた場所がいくつかあり、その一つが阜新という街だった。このエリアは古い蒸気機関車が未だ現役で走っているということも調べていくうちにわかってくる。また阜新は内モンゴル自治区と近いため、荒涼とした鉄道風景があったり、記憶の片隅にこの街の名前をちょこっと置き去りにしたまま、すっかりと忘れていたんだけど、またひょんなことで思い出す。

上動画は、阜新にある火力発電所そばの線路で保線車両が走っている風景。列車のカラーリングや線路景、背景にみえる建物や発電所の煙突? の色合い、撮影時の天候などがいい具合にかみ合わさってどうにもコダクロームの色合いを思わせる動画になっている。20世紀初頭に撮られたような、レトロ未来感の強い映像をみている感覚になる。


cap-MaintenanceTrain-Fuxin-China.jpg
上動画のキャプチャー。

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2017年01月21日

世界の鉄道:ティラナ駅のディーゼル機関車(アルバニア)


HSH T669 1041 Treni nr. 18 Tiranë - Durrës in Tiranë
Albanian Railways 28.5.2013


サムネイルにあるカラフルなビル群が目をひいて飛んでいった動画。これてっきり、どこかの田舎駅だと思っていたんだけど、アルバニアの首都、ティラナの鉄道駅だった。アルバニアって鉄道網があんまり発達してないんだな。にしてもブルーグレーの空下に色鮮やかなビルが立ち並ぶ光景と、草が生え放題の線路、その中で無骨な姿の機関車がぽつんとたたずむ構図は、ちょっと別な惑星にさ迷いこんだ錯覚になる。


Albania-TiranaStation.jpg
上動画のキャプチャー。

ChME3 - wiki
https://en.wikipedia.org/wiki/ChME3
チェコスロヴァキアの「ČKD」社製のディーゼル機関車だそうで、ロシアやベラルーシ他、バルカン半島、旧ソ連圏の国々で主に走っている。

Diesel Locomotive Technology
http://www.railway-technical.com/diesel.shtml


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2017年01月16日

世界の鉄道:橋ですれ違う貨車(ウクライナ)


Electric locos meet on a bridge / Электровозы встречются на мосту


夜中静まり返った頃、何気に、列車がただ走っているだけの鉄道動画が見たくなって、(知らないローカル線や地図にはない路線が見つかりそうな)ナローゲージを検索ワードにして探し見ていると、ウクライナにいいロケーションの線路風景がけっこうあることに気づく。起伏のない緑豊かな丘陵地帯に伸びた線路を走る、いかにも時代風の貫禄をした列車車輌はどこか絵になる。そういえば、何年か前に話題になった、木々に包まれた緑のトンネル("the Tunnel of Love")も確かウクライナだったよなと思い出す。改めて調べ直すうちに、中国の南京市江寧にもほぼ同じような緑のトンネルがあったという話題を見つけたり(もちろんウクライナの Tunnel of Love の情報が広まったあと、中国の人らが自国にそっくりな場所がることを知ってそこが人気スポットになったとか)、ネットの情報の伝播の早さと広がり方はほんと距離や人種を問わないんだな。


ElectricLocosMeetOnABridge-Capture.jpg
上動画のキャプチャー。このロケーションはほんといい、こんな場所が近くにあったら、おにぎりと水筒を鞄に詰めて毎日通ってしまいそう。



the Tunnel of Love (恋のトンネル)
ポーランドとベラルーシに近い、ウクライナ北西部の街「クレーヴェン」と「オルツィヴ(Orzhiv)」の間を結ぶ鉄道路線。この約5kmほどの区間が木々にすっぽりと囲まれて(夏の時期は)緑のトンネルになっている。Google Mapにも固有名称として載っているし、「恋のトンネル」として日本語でのwikiもあるくらいだからもうすっかり皆知ってはいるだろうけど一応、画像貼っておこう。話題になるきっかけになった記事は、僕の記憶ではたしか以下のものだったと思う。
Ukraine-TunnelOfLove.jpg
*画像は下記記事より。

Just the ticket for popping the question:
The tree-lined romantic 'tunnel of love' railway line that's so beautiful
it's beyond be-leaf (just watch out for the train)

http://www.dailymail.co.uk/news/article-2142736/

ウクライナの鉄道は、日本のJR各社のように地域ごとに事業分割され、計6つの会社で運営されている。「恋のトンネル」のある路線は西部地域を担う「Lviv Railways」の管轄だった。

Lviv Railways
https://en.wikipedia.org/wiki/Lviv_Railways







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