2017年04月27日

世界の鉄道:雲上の駅を目指すスノードン登山鉄道(ウェールズ)

Csp-SnowdonMountainRailway-Wales.jpg
* 下動画からのキャプチャー画像


湖畔を走る鉄道があったらきっといい光景だろうなと思って、そんな動画を探していた。深い山の緑と遠くにかすむ山の稜線を背景に列車が走り、その姿が鏡のような湖面にも写って二重の世界が見れたりすると、とても絵になるなぁ、なんて思い浮かべながら。そうしたイメージに合うものは見つからなかったが、ウェールズにあるバラ湖鉄道がなかなか風情があってよかった。豊かな緑の中をゆっくりと走る鉄の塊、相反する二つの要素だけれども、歴史を経ているせいかこの場所では意外と馴染みがいい。そして、ウェールズには蒸気機関車が未だ多く走っていることも知る。なんでもウェールズは地下資源が豊富で、石炭もその一つ。産業革命のエネルギー源として潤った地域だということで、蒸気機関車が現役の交通手段として活躍しているのも納得いった。そこから、ウェールズの鉄道動画をいろいろ見始める。バラ湖鉄道は雰囲気あるんだけど、ちょっと地味な感じがしたので、もう少し新鮮な鉄道風景を求めていくうちにスノードン登山鉄道の動画に行き当たった。スノードン山は標高1,085mほどの低い山だが、煙を吐きながら尾根をのろのろと走るここの登山鉄道の光景は、時間を忘れて楽しめる何かがある。標高1,000mちょっとってどんなもんだろう? 僕の知ってる山で照らしてみると、金剛山(1,125m)や桜島(1,117m)よりわずかに低いくらいでなんとなく高さの見当がついた。

さらにもう一つ。ウェールズの蒸気機関車は「機関車トーマス」シリーズのモデルになった事で有名だそうで、確かにナロー・ゲージのこじんまりとした蒸気機関車たちは、それを思わせるシルエットをしている。「機関車トーマス」は、ウィルバート・オードリー牧師が書いた物語「汽車のえほん」を元にして制作されたイギリスのテレビ番組。そこから絵本やアニメの人気シリーズになって現在に至る。僕も子供の頃に読んだか、見た記憶があってちょっと懐かしかった。「スノードン登山鉄道」も「汽車のえほん」第19巻「山にのぼる機関車(原題:Mountain Engines)」に登場。本の中では「カルディーフェル登山鉄道」として描かれている。


Snowdon Mountain Railway 2016 Drone Footage


「機関車トーマス」の原作になった「汽車のえほん」シリーズとそのモデルになった鉄道

W.Awdry-MountainEngines-book.jpg
* 画像は下記リンク先より
Mountain Engines : http://ttte.wikia.com/wiki/Mountain_Engines
山にのぼる機関車:http://ja.ttte.wikia.com/wiki/%E5%B1%B1%E3%81%AB%E3%81%AE%E3%81%BC%E3%82%8B%E6%A9%9F%E9%96%A2%E8%BB%8A


TalyllynRailway.jpg
Talyllyn's No1 Talyllyn shows off new 2015 livery( *画像は下動画より)
https://www.youtube.com/watch?v=V4Xk5Cgw7lQ
タリスリン鉄道は輸送量の減少から1940年代後半に廃線になったが、イギリスの鉄道ファンらがこの鉄道の保存を望み1951年に一部再開、その後ボランティア活動によって残されることになった世界で最初の保存鉄道となった。「汽車のえほん」を書いたウィルバート・オードリー牧師も当時、物語の執筆という形でこの保存運動に手を貸す。オードリー牧師は、廃線危機に見舞われたこのタリスリン鉄道を題材に、汽車のえほんシリーズ第10巻「四だいの小さな機関車」を書き発表した。


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2017年04月11日

世界の鉄道:サンタクルーズのビーチを走る列車(アメリカ・カリフォルニア州)

SCBG-Beach Train-Pacific Avenue-Santa Cruz.jpg
* 下動画からのキャプチャー画像


SCBG 2641 Leads The Beach Train Across Pacific Avenue, Santa Cruz, CA

海岸線を走る鉄道はけっこうあると思うけど、ビーチのウォーキングエリア、そのど真ん中を突っ切って走る列車って、今まで見たことが無かった。場所は、カリフォルニア中部にあるサンタクルーズというビーチ・リゾート(サンフランシスコの約100km南)で、The Santa Cruz - Big Trees and Pacific Railway という鉄道会社が観光用に走らせているもの。路線は山あいのフェルトン(Felton)という場所から海辺までの約13kmをつないでいて、通称ビーチ・トレインと呼ばれているみたい。椰子の木を背景に大きな列車がぐんと現れるのは何か奇妙な光景だ。このどでかいディーゼル・トレイン、車輌中ほどには乗客を沢山収容できるオープンスペース的な荷台みたいなのが連結されている。ちょっとアトラクション的要素もあって、確かに(何でもありな)観光列車なんだけどインパクトでかいというか、ビーチに列車は似合わないというか。


スピーダーという電動トロッコみたいな乗り物
Speeders-SantaCruz.jpg
Speeders Hit The Rails In Santa Cruz(画像は下記リンク先の動画から)
https://www.youtube.com/watch?v=kHQAO9y8rbU

上ビーチ・トレインの動画をいくつか見ているうちに、とある小さな乗り物が線路の上を走っているサムネイルが目に止まった。トロッコのような、あるいはゴーカートの鉄道版のような、変なシルエットをした車両がびゅんびゅんとレールの上を滑っている。調べてみると「スピーダー」という電動の乗り物で、軌道自転車(Draisine)の一種だとか。ピックアップトラック等の車体を一部流用し製造しているそうだ。レールバスの小型版みたいな感じで何かカワイイ。これに乗るとフェルトンからサンタクルーズまでを一気に走っていける。山から海までを満喫できて楽しそうだな、これ。

Speeder - wiki
https://en.wikipedia.org/wiki/Speeder

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2017年03月24日

世界の鉄道:マンションの中に駅がある! 重慶のモノレール(中国・重慶市)

Chongqing-Liziba-China-TheGuardian-Mar.2017.jpg
Best photographs of the day (The Guardian, 19 March 2017)
https://www.theguardian.com/news/gallery/2017/mar/19/best-photographs-of-the-day-st-patricks-day-parade-and-kolkata-taxis


「世界の鉄道」シリーズも今回で10回目。これまでは面白そうなキーワードや興味ある言葉などから検索して、自力で動画や画像を探したものをピックアップしていたけれど、今回はニュース記事から知った情報。最初見たときはすごいびっくりした。
英サイト、ザ・ガーディアンの「今日のベスト・ショット」というコーナーがあって、週末あたりにわりとよく見ている。このコーナーは、その日、世界中で撮られた写真(フォトエージェンシー等から編集部に送られたもの)の中から、エディターの人たちがこの日の出来事を最も良く現しているものをセレクトしたもので、その写真の数々を見ていると、同じ一日の中、世界にはすごい瞬間がこんなにもあったんだなと思ってしまう。写真の選び方から、ザ・ガーディアンの方向性が垣間見えたりして、そういう意味でも面白かったりする。
https://www.theguardian.com/news/series/ten-best-photographs-of-the-day

そのコーナーの3/19付記事にあった一枚の写真に目が止まる。19階建てのマンションの中から列車が出てくる写真(6階から8階をぶち抜いて中に駅がある)。ややくたびれた建物の外観からアジア圏、多分中国のどこかだろうとは想像はつくが、これまで見たことのないシチュエーションと構図だったので、瞬間的にこの場所がどこなのかという事とその詳細を知りたくなった。ガーディアン記事のキャプションにはアルファベット表記の「チョンチン(重慶)」とだけしかなく、情報として物足りない。なのでそこから調べてみるが、ヒットした他のネット記事なんかも同じような情報か流用写真だけしかなく、重慶のどのあたりにあるのかは具体的には載ってなかった(ガーディアンに載ったこの写真が発端になっていたのかどうかはわからないが、その翌日あたりにまとめ記事や動画がいくつかあった)。仕方ないんで、まず重慶のメトロの路線図を探し、同時に動画を見ながら地形と路線図の合いそうな箇所を付き合わせ、そこから予想した駅名を検索ワードにして、調べていく内にどの場所かが絞れた。始めの頃に見ていた動画の中で川沿いの風景がちらっと映っていたのが幸いし、闇雲に探す手間は省けたがそれでも10分弱はかかっている(ほんと、こういうのはも少し詳しく書いてくれよと思いつつ、けっこう重慶に行く気満々になって探している自分もいたりして)。それにしてもマンションの中に駅があるなんて、SF映画のようだ。その建物に住んでいれば、一歩も「外」の空間に出る必要なく生活が出来てしまうという、J.G.バラードの「ハイライズ」にも通じる世界。

ここは、重慶モノレール2号線の「Liziba(李子坝 / *ba は簡体表記: "土へんに貝")」という駅。けっこう複数の路線が交錯する中心部にあったので驚いた。重慶は中国でも大きな都市のひとつだし、人口も多いはずなのに、何で今までこれが話題にならなかったのか不思議な気もする。Lizibaという場所が分かってからは、もう少し別な動画も引っかかってきたりして、撮ってる人はやっぱりいた。ただ、Youtube上にある動画はどれもあまりいいものがなく、またいいのが見つかりそうな予感もないんで深く探すのはやめた。駅名を割り出すのでけっこう時間かかったもんね。wiki によると、この2号線は2005年に開通、事業工費の約半分が日本からの融資(円借款)だそう。

重慶軌道交通の路線図(画像は下記リンクより)
RouteMap-ChongqingRailTransit-Large.jpg

RouteMap-ChongqingRailTransit-Liziba.jpg
CRT's Route Map : http://www.chongqingtrip.org/transportation.htm



重慶軌道交通二号線 (1) Chongqing Rail Transit Line 2
* 0'30" あたりからマンションの中にある Liziba駅に到着する。


Train goes through the centre of a 19-storey block of flats in China's 'Mountain City'. A special railway station was built into the block of houses, set into the sixth to eighth floors. Residents can hop on Chongqing Rail Transit No.2 at their own Liziba station.
https://www.youtube.com/watch?v=BAOQb6I3Qf8


重慶軌道交通(Chongqing Rail Transit)- wiki
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8D%E6%85%B6%E8%BB%8C%E9%81%93%E4%BA%A4%E9%80%9A



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2017年03月18日

世界の鉄道:陸のタグボート「パナマ運河の船舶牽引機関車」(パナマ)

PanamaCanalTrain-Mule.jpg
下動画のキャプチャー。


Panama train

パナマ運河の両岸で、ちょこまかと走る小さな機関車を見つけ興味をもった。この機関車、短距離運搬用小型電気機関車の意味を持つ「Mule」とも呼ばれている(wikiによると、川崎重工製の車両に三菱重工製の駆動用ギアなど、日本製のものが使われているとか)。「Mule」は極一般にラバのことだけど、他運び屋なんかを指すこともあるようで、こき使われてもそうへこたれない、ちょっとタフなイメージがあったりするのかな。陸のタグボートみたいだ。

パナマ運河はパナマ地峡を開削して造られたもので全長約80km。太平洋と大西洋側(カリブ海)をつなぐ重要な場所、ということは改めて書くことでもないだろうけど、一応確認。運河全長、約80kmのうち43kmちょいが「ガトゥン湖」という人造湖になっていて運河航路の半分を占めている。この湖は海抜高度が26mあるため、(海抜ゼロ地点となる)運河の入口と出口に閘門という大きな水門をいくつか設けて、段階的に水位を上げ下げし船の浮位置をコントロールしている。そしてパナマ運河の閘門で仕切られた水路(閘室)を通るとき、船は(エンジンを止め)自力で航行できないので、前に進むためには何かに引っぱってもらわなければならず、その牽引用の動力源として船舶牽引機関車が大事な役目を果たしている。このパナマ運河のMuleは、ラック式鉄道(歯軌条鉄道)というちょっと特殊な方式が採用されていて、レールの中央に歯車がかみ合うもう一本のレールが敷かれている。これがあるために機関車の牽引力が増し、船を引っぱったり、上動画にもあるように急勾配(約27度)をも一気に上れるということだ。


PanamaCanal-Locomotive.jpg
Panama Canal Locomotive Electrics "mulas" (7'12"-)
https://www.youtube.com/watch?v=wfwPpMGfbiA
Muleがタンカーを引っぱっている動画のキャプチャー(上リンクより)。


The Falkirk Wheel (Scotland)

高低差ある水位間で船などを移動させる方法は閘門以外にもいくつか方法があるみたいで、その中でもスコットランドにある「ファルカーク・ホイール(Falkirk Wheel)」という回転式ボートリフトが、未来的なデザインでめっちゃカッコイイんで、鉄道とは少し話それるが運河繋がりということでついでに紹介。

wiki-FalkirkWheel-halfwayround.jpg
上画像は「ファルカーク・ホイール(wiki)」より
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%AB


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2017年03月09日

世界の鉄道:ゲージ610mmのビルマ鉱山鉄道(ビルマ・シャン州)

cap-Burma-MinesRailway-Namtu-Lopah.jpg
下動画のキャプチャー。


Burma Mines Railway, steam train from Namtu to Lopah, Myanmar


世界で最も乗り心地の悪い鉄道、あるいは世界最悪の鉄道と称され、二度と乗りたくない鉄道の筆頭に挙げられるビルマの鉄道だけれども、それはいわゆる旅客営業路線での話。中国雲南省に接するビルマ北東部、シャン州にある「ボードウィン(Bawdwin)鉱山」を走る鉱山鉄道の路線景はなかなか魅力的だと思う。


ビルマの鉄道は英国が統治していた1877年に建設された。この当時ビルマは、インド総督の支配下にあり、鉄道はインドの技術の元で進められていた。インドではメーターゲージからより大きな広軌へのグレードアップが行われているところだった。そうなると、以前のメーターゲージ用のレールが大量に余ってしまう。そこで、その古い鉄道資材をビルマへ運び込み、再利用することで解決させた。

● 参照・要約:「世界の鉄道旅行案内」櫻井寛(講談社現代新書・p172-173)



建設当時は旅客運輸というよりも資源資材の貨車輸送が主だったろうから、きっと線路さえ伸びていれば大きな問題はないというぐらいで、乗客の快適さは二の次だったんだろうと思う。これはビルマだけでなく、インドとビルマの間にあるバングラデシュにもいえ、当時イギリスが南アジアの範図をどのように区分けしていたのかが鉄道のゲージから見て取れる。バングラデシュでは首都ダッカを境に、東部地域(ビルマ側)がメーターゲージ路線で、西部地域(インド西ベンガル州側)がインドと同じ広軌幅のゲージが敷かれている。


ビルマ第二の都市「マンダレー」から雲南省方面へ向かう途中に、「ラーショー」という温泉で有名な町があり、そこを中継地として北西50kmの方角に「ナムトゥ(Namtu)」という小さな町がある。ここが「ビルマ鉱山鉄道」の起点となって、ボードウィン鉱山までの線路が伸びている。マンダレー・ラーショー線の「ナミャオ(Namyao)」で分岐して、ナムトゥ経由で終点のボードウィンまでの全長約80km。
この路線、今の時代とは到底思えないというか、一世紀以上も時間が経過してないようなたたずまいがあってノスタルジー感を誘う。動画を見ているうちにも、まるで20世紀初頭にタイムスリップしてしまったのかと錯覚してしまったり。ビックリなのが、この鉄道のレール幅。ゲージが 610mm で、これはダージリン・ヒマラヤ鉄道と同じ狭さ。どこかおもちゃの線路(車輌)っぽさを感じたのはきっとそのせいだ。そして、この鉱山鉄道にはもう一つ面白い場所がある。途中、立体スパイラルになった場所があり、蒸気機関車がここで立体交差する瞬間なんかすごく絵になりそう。勾配があるために、機関車の前部に砂がどっさり積んであって、搭乗員がコレを線路に撒きながら車輪がスリップしないようにしている。

BurmaMinesRailway-Namtu-26.Nov-2009.jpg
The Burma Mines Railway in Namtu: The Wallah Gorge Spiral
上写真は右リンク先より: http://farrail.com/


「ナムトゥ」への行き方はちょっと面倒だ。ヤンゴンからならば、まずマンダレーまで行き、マンダレーからさらに温泉で有名な町「ラーショー」へ行く。そして、そこから北西約50km先に進んでやっとの到着となる。ビルマの交通事情の悪さは、鉄道、道路ともに相当なものだから、こうして想像するだけでも疲労感がまず真っ先に頭をよぎる。チェンマイ〜マンダレー便があるのなら、そのルートで入った方がきっとよさそう。と、わりと真剣にルートのシュミレーションをしてしまったり。このナムトゥ、旅情報ではあまり出てこない地名だから今回、初めて知った。標高は約560m。熱帯の地域だけれども朝晩は霧が出たりして寒そう。上動画の最初の部分はナムトゥ駅周辺のマーケットの様子が映っていて、見ているとなんだか行きたくなってくる。近年は民主化と合わせて、解放政策が進んでいて以前は入域禁止だったこの場所も入れるようになったおかげで、この鉄道のいい写真や動画がけっこう見れるようになった。


Burma Mines Railway - wiki
https://en.wikipedia.org/wiki/Burma_Mines_Railway

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2017年02月26日

世界の鉄道:海の上を走る列車(インド/タミル・ナードゥ州)

Cap-PambanBridge-India.jpg
下動画のキャプチャー。


Mother Of All Bridges Pamban 1

インド南端とスリランカ(北西部)は地理的に非常に近くもう目と鼻の先ほど。両先端部だけを見てみれば距離にして約30kmほどしかない。インド側からスリランカ方面に向かって、まるでモッツアレラを伸ばしたように、か細く伸びた砂洲と浅瀬の地があって、そこはアダムスブリッジと呼ばれている。かつて、このアダムスブリッジは海には没しておらず、インドとスリランカの間を歩いて行き来できたとか。日本の天橋立を思い出すような地形で、この地で語られる伝説もまた同じように神や王、天女に姫にまつわるもの。
スリランカは内戦が長期化していた為に、北部エリアへの入域は長らく困難だった。しかし、2009年にスリランカの内戦は終結、そう簡単に紛争の爪痕が消えることはないだろうけれど、現在は観光産業を含めた復興事業が進んでいるところ。インド〜スリランカ間の最短航路も、この内戦の影響で閉ざされたままだったが、不定期的に船の運航はあるみたいだ(水深が浅いので大型船の航行はできないみたい)。インドからスリランカへ航路で行く場合は、「パーンバン橋」を渡って海の中洲のような「ラメスワナム島」へ行き、そこから船に乗り、アダムスブリッジを船上から望みながら、スリランカのマナー島(Mannar Island)へと行く。

上画像 & 動画は、インド大陸とラメスワナム島とをつなぐパーンバン鉄道橋。全長は2,065mで、海上すれすれにある線路、その上を走る列車は海の中を走っているように見える。晴れた日は青い海がきれいで、錆びた橋、くすんだ車輌とのコントラストが絵になる(ちょっと海が荒れたときなんかは運行できないような気もするがどうなんだろう?)。その辺を押さえた丁度いい動画がなかった(天気よく、構図や画質も良くて、適度に短く編集されているもの)ので、構図優先で選んだ。また、この路線、ラメスワナムのもう一つ先にある「ダナッシュコディ」という町が本来の終着駅になっているが、1964年に巨大サイクロンがこの地を襲いダナッシュコディは廃墟と化し、現在はラメスワナムが終点になっている。
パーンバン橋は船が通れるよう、跳ね橋になっている。正確には「バスキュール橋(=天秤ばかりの意)」というらしく、跳ね橋という日本語訳だと本来の意味に適した言葉じゃないとか。

バスキュール橋
http://asait.world.coocan.jp/kuiper_belt/canal2/bascule_bridge.htm


ダナッシュコディの地図とアダムスブリッジの航空写真(wiki より)
Map-Dhanushkodi-AdamsBridge-wiki.jpg
Dhanushkodi - wiki https://en.wikipedia.org/wiki/Dhanushkodi
Adam's Bridge - wiki https://en.wikipedia.org/wiki/Adam's_Bridge



1964年、巨大サイクロン襲来で廃墟と化した「ダナッシュコディ」の町。

「パーンバン橋」の先にはラメスワラムという駅があって、現在のところここがパーンバン〜ダナッシュコディ支線(Pamban–Dhanushkodi branch line)の終着駅。本来はもう一つ向こうにある「ダナッシュコディ」が終点になるのだけれども、ダナッシュコディは1964年のサイクロンの影響で津波被害にあって、この小さな町は壊滅的な被害を受け廃墟となった。現在もほぼ当時のまま放置されている。
という、悲しい歴史がある場所なんだけれども、絵的に見ると、真っ青な海と白砂、その中にたたずむ廃墟の建物(教会のシルエットなど)は、どこか不思議な感じがあって、時間がぴたりと止まった空間みたいだ。デ・キリコの形而上絵画を思わせる夢の中の世界。もし、僕が映像や映画監督だったら、ここをロケ地にした映画を作ってみたい。カフカの短篇小説「流刑地にて(* 青空文庫でも読める)」を下敷きにしたストーリーで、シュールな映像作品が出来そうな気がする。場所にインスパイアされて、何か作品が出来るってのもきっと面白いだろうな。

Cap-Dhanushkodi-India-May-2016.jpg
Dhanushkodi, INDIA, Aerial Video https://www.youtube.com/watch?v=IdhkmXS5qKo
上リンク先から取ったキャプチャー画面。

Dhanushkodi railway station
https://en.wikipedia.org/wiki/Dhanushkodi_railway_station
RouteMap-Dhanushkodi-wiki.jpg

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2017年02月19日

世界の鉄道:L字に曲がるシカゴの高架鉄道(アメリカ・イリノイ州)


CTA Junction 12 in winter timelapse.

シカゴの街中、ビルとビルの合間を走る高架鉄道「シカゴ L」。これ、けっこうビックリしたのがジャンクションの走り方。遠目から見ると線路がただ直線交差しているだけように見えるが、実際に列車がやってくるとそうじゃない、ここで車輌が90度直角に曲がって進路をとる。こんな急な角度を横転せずに、よく曲がれるな。この強引さ、アメリカっぽいか。広い土地のあるアメリカなんだから、何もこんな建物の並ぶ場所に線路を引かなくてもいいのに、なんて思いながら、もしかすると鉄道を敷いた後にビルの建設ラッシュがあったのかな? と調べてみると当時からすでにビルは建っていた。街と鉄道の密接具合はディストピアSF映画に出てきそうな雰囲気あるし、どこかアジア的な雰囲気もあって、この光景見ていてなんか居心地がいい。
この「シカゴ L」、開業したのは1892年と古く、日本最初の鉄道(新橋〜横浜間)が1872年の開業だから、当時はやっぱり欧州やアメリカが鉄道先進国だったんだなと。

ChicagoL-1900s.jpg
Historic photos of The Chicago  '​ L ' (写真は下リンクより)
http://monovisions.com/historic-photos-of-the-chicago-l-line/


Cap-ChicagoCTA-Loop-Junction.jpg
上動画のキャプチャー。

BirdView-ChicagoCTA-PinkLineL-Junction.jpg
http://tagong-boy.tumblr.com/post/157188787731/


シカゴ・L - wiki
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%AB%E3%82%B4%E3%83%BBL

The Loop (CTA) - wiki
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Loop_(CTA)
https://en.wikipedia.org/wiki/Adam%27s_Bridge
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2017年02月13日

世界の鉄道:サトウキビ鉄道と牛車(インド)


Sugar Cane Railway in India

はっきりしない記憶がふとよぎる。以前何かで見た、ボルネオ島のサトウキビ鉄道の写真。旺盛に茂ったサトウキビ畑の中を、小さな機関車が走っている色褪せたカラー写真とそれに関する web ページだったような。それがボルネオ島だったということも確かではなく、ただ日差しの具合や空の感じ、写真に写っているものから見てとって、それがボルネオだったと思い込んでいただけなのかも。まぁ、そうした小さなきっかけがあるだけで十分なわけで、僕が探して見たかったのはサトウキビ列車の動画だった。記憶にあるその写真と同じような光景が見れることを期待して。そしていろいろ見ていくうちに、ボルネオのサトウキビ列車がさっぱりと見当たらず、もしかすると頭の中で違う何かと何かが結びついただけだったんじゃないかと思えてきた。でも、各国のサトウキビ鉄道関連の映像でいいものがいっぱいあったので、結果満足。こういったプランテーションでの交通インフラがどんなふうにして敷設され今に至っているんだろうという、次の興味への入口になる。

フランスのドコービルという会社が、簡易で安価な狭軌・軽便鉄道技術を、当時のヨーロッパの植民地などに輸出していたらしく、今もその時代の車輌が使われ現役で活躍しているのなら、百年近く経っていることになって、時代を経たなにかどっしりしたものがきっとあるんだろうと、また想像広がる。

上の動画は、インドのサトウキビ鉄道。列をなす牛の荷車と蒸気機関車(前後ろ逆に連結してるけど、こういう使い方をするみたい)や、塵で鈍く濁った空の色などの構図が、どうにもインドっぽくて、こののんびりとした空気はイギリスが統治していた時代とさほど変わってないんじゃないかと思えたり。サトウキビ鉄道はその場所に合わせて敷設されているからバリエーション多く、いい動画がたくさんある。

そいや、ビルマに行ったとき、ビルマで初めて口にしたのがサトウキビの茎から搾りだしたジュースだった。空港からヤンゴンの中心部へと走り、降りた場所がどの辺りなのかさっぱりとわからない状態でうろうろしていたときに、喉を潤してくれた飲み物。まだ軍事政権で外国人旅行者は少なく、現地の人が投げかける視線と人波に酔い、強い日差しを浴びて気力が弱まっているときだった。ガラス製ビアマグに注がれた、淡い麦わら色の濁った液体は甘く、力が湧いた。


ドコービル - wiki
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%AB

SugarCainRailway-India.jpg
上動画のキャプチャー。
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2017年02月04日

世界の鉄道:嵐吹き荒れるダウリッシュの防波堤線路(英国)


Dawlish Sea Wall - Monday 4th February (2014)

英国南西部、ダウリッシュという街を走る海岸線路は、世界で最も危険な鉄道路線の一つとして有名で、毎年嵐の吹き荒れる季節になると、たびたびニュースになっている。映像や写真で見る、波しぶきが海岸線の線路一帯を直撃し、その中を果敢にも列車が走ってゆくロケーションはけっこうドラマティック。これ、中に乗っている人たちはどんなふうな光景を目にしてるんだろうとすごく興味わく。この海沿いの線路、嵐がなくても海風が強く、海水にも浸されているようだから、レールの腐食は相当早く進みそうでメンテナンスが大変そう。先日、ロイターでニュースになっていたのを見て思い出した。


英南西部で暴風、通勤電車に叩きつける荒波(ロイター)
http://jp.reuters.com/news/picture/giant-waves-smash-british-commuter-train?articleId=JPRTX2ZCER

Dawlish-Seawall-Storm-England.jpg
上動画のキャプチャー。


Spectacular Seas Pound The Royal Duchy. Dawlish Sea Wall. 23rd Sept 2012
https://www.youtube.com/watch?v=FENr4Ak9AQA
蒸気機関車がダウリッシュ駅から発着する動画。こっちの方が絵になるかな?
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2017年01月28日

世界の鉄道:火力発電所を背景に走る保線車両(中国遼寧省・阜新)


China - Fuxin 11 - Maintenance train - November 2012

以前、バングラデシュやインド、ベトナムに行って、各国それぞれの特徴をもったレンガ工場の写真を撮っていた。視界に広がる砂地と赤レンガの色世界は、どこか現在とはちがう中世の時代へタイムスリップした感があって、そこで造られたレンガひとつひとつに人間が持つ原始的なパワーが閉じ込められているように思えた。それらを撮ったあとしばらくは、何に関してもあまり興味がもてずにいた。そうした中で次は何を撮ろうかと色々考えていたとき、中国の炭鉱や露天掘り鉱山や、ビルマの宝石採掘に興味が湧いてきた。今度はそうした場所が持つ黒っぽい世界も絵・構図的に面白く思えた。近代的な産業が生まれた頃の原風景はきっとこんな風だったのかも、と自分なりに思い描いてイメージを膨らませるも、結局実際に撮りに行くところにまで至らなかった。中国経済が成長する中で押し進む不動産開発が、古い町並みを壊し次々と近代的な(味気ない)建物にかわってゆくのを報道などで知っていくほどに意欲が反比例し、興ざめしていくようになったから。こんな風に、何かぼんやりと撮るテーマが定まらず二の足を踏んだりしていた。

撮影の候補地として調べものをしていたとき、中国の炭鉱地帯として知られた場所がいくつかあり、その一つが阜新という街だった。このエリアは古い蒸気機関車が未だ現役で走っているということも調べていくうちにわかってくる。また阜新は内モンゴル自治区と近いため、荒涼とした鉄道風景があったり、記憶の片隅にこの街の名前をちょこっと置き去りにしたまま、すっかりと忘れていたんだけど、またひょんなことで思い出す。

上動画は、阜新にある火力発電所そばの線路で保線車両が走っている風景。列車のカラーリングや線路景、背景にみえる建物や発電所の煙突? の色合い、撮影時の天候などがいい具合にかみ合わさってどうにもコダクロームの色合いを思わせる動画になっている。20世紀初頭に撮られたような、レトロ未来感の強い映像をみている感覚になる。


cap-MaintenanceTrain-Fuxin-China.jpg
上動画のキャプチャー。

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