2017年10月17日

木工ボンドのレコード


Wood Glue Record
最初は木工ボンドのレコードをどうやって作ったかの説明があって、1'05" からそれを再生している。


世の中、ほんと変わったことをする人がいるんだな。木工ボンドでレコードを作った人の動画があってちょっとビックリした。再生した音も意外と(想像してたのより)悪くなく、レコードの材料ってけっこう何でもいけるんじゃないかと思ったり。この人は、スタンパー(レコードをプレスするときに使う金型で、レコードは逆の凹凸になっている)をe-bayで落札し(しかも2枚=35ドルという破格値で!)、レコード・クリーニングに皆が使っていた木工ボンド・パックの動画を見たあと、スタンパーに木工ボンドを塗って剥がせば、レコードになるんじゃないかと思いついたみたいで、実際に木工ボンドを薄く4層ほどに重ね塗りしたあと、16フィルム用の缶ではさんで平坦にならし、「木工ボンドのレコード」を仕上げた。とか。

ひとつ気になったのは、スタンパーがオークションで売られていたこと。これさえあれば何枚でもレコード・プレスが可能になるわけだから(実際は金型が磨耗して音の劣化があるのだと思う)、スタンパーというものに著作権というか、そういった音源の管理・権利の概念がどれくらい含まれているんだろう? という疑問。構造上、スタンパー自体には音の再生能力はないわけだから、これがレコードやCD、カセット・テープのように音を記録したメディアとして認識されるものなのかを、考えてみるとなんか奇妙な気持ちになる。にしても、レコードが音の記録メディアとして主流でなくなった時代になって、こういったものが流出してしまうという哀しい一面と、これらが厳密に管理されていたからこそかつての巨大な音楽産業というものが成り立っていたという一面、しかもそれらが今個人で所有することができて、(技術の進化で)簡単な樹脂成形機さえあれば、オリジナルのレコードがプレスできてしまうという、なんとも複雑で、でも興味深い側面が今のネットメディアを通して見れ、色々考えることができ発想がいろんなとこに飛んでいきそうなのはすごく面白い。



posted by J at 09:00| Comment(0) | fav. - sound | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月17日

21世紀の「金ぴか時代」の歌



Moby & The Void Pacific Choir - In This Cold Place (Official Video)

少し経ってはいるけど、「Are You Lost In The World Like Me?」に続くMobyの新曲PV、紹介しとこ。今回のアニメーションも前作「Are You Lost -」と同じスティーヴ・カッツが担当していて、彼お得意のどこかでみたことあるようなパロデイ・キャラクターによるメッセージ色強いストーリー展開。

MVは、正義のヒーローに憧れる少年が、お楽しみのアニメを見ているうちに異変が起こる。空想世界であるはずのキャラクターたちが、現実世界のものと変わらない姿になっていって、いがみ合いや醜さにどんどん侵食されていく。そして希望をなくし、現実、空想の世界にも自分の居場所がなくなってしまうというもの。歌詞もまた前作の続編といった感じで、同じフレーズが使われていたり、繋がりがある。

posted by J at 11:00| Comment(0) | fav. - sound | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月30日

record killer



ある意味、「iPodの死」はひとつの時代の終わりである。

音楽といって思い出す記憶は、人によってはレコード屋でLPのジャケットを次々に引き出しながら選んだことかもしれない。CDを黒いCase Logic製のバインダーに几帳面に整理したことかもしれない。それと同じように、iPodは記憶のなかに残っているのだ。


人によっては、iPodが「アルバム」をいう概念を“殺して”しまったのだと言うかもしれない。自分でつくったプレイリストを楽しんだり、「シャッフルモード」で聴いたりすることが、音楽を聴くという行為そのものになってしまったのだから。

それは確実に「有償の音楽」の死を加速させた。


iPodが姿を消しつつあるいま、ちょっとでもいいから思い出してほしい。iPodが世界に何をもたらしたのか。そう、音楽を“解放”したのである。



iPodは「音楽」に何をもたらしたか──その功績を、販売終了を機に振り返る
https://wired.jp/2017/07/28/say-goodbye-to-ipod/


「有償でしか聴けなかった音楽」を殺したツールが役目を終え、市場から姿を消すってのは、音楽のソフトとハードの歴史をさらえ考えてみると象徴的だな。
レコードやCDは、ただ「持ってること」だけで偉いと思われていた頃があったし、モノとして存在していたから物流の関係で、いかに早く手に入れるかみたいな競争みたいなのもあった。今は、検索ワードを入れれば数秒でほとんどのもののが聴けてしまうし、手にいれられる。これは音楽にかぎったことでもなく、コンテンツ作品全般に言えること。音質にこだわって、レコード一筋なファンもまだ沢山居るけれど、音質うんぬんは楽しむための要素の一つにすぎないし、聴きかたをわざわざ自分から狭める必要もないようにも思う。それよりも、再生機器の変遷によって、(ポピュラー)音楽のスタイルがどんなふうに変化していってきたのだろう? みたいな興味の方が僕にとっては面白く思える。


Home built mechanical sound recorder

CDをカッティングしてレコードにする機械を自作している人の動画。ユーチューブをみていると、海外ではこういうのをやってる人がけっこういる。
( 3'12" までがカッテイング工程。そのあとに音を再生している)






posted by J at 13:00| Comment(0) | TrackBack(0) | fav. - sound | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月21日

才能は見えない香りで引き寄せ合う。


Perfume Genius - 'Queen' (Official Video)

なんだか不思議なMV。「Perfume Genius」というのは、マイク・ハドレアスというシンガーのソロプロジェクト名だそう。見た瞬間、あ、そっち系の人だなと分かるんで、若干怖いものみたさ的な目線で映像を見ていたんだけど、こういうシュールな世界ってイメージがいろんなところに飛んでいくから面白い。クラウス・ノミの終末悲壮観とキューブリック的な暴力性、デヴィッド・リンチの断片的夢世界がごっちゃになったような感じは、アメリカのパラノイアというか、そういう人たちの内面世界とうまく符号しているような。

最近、クラリッセ・リスペクトールという作家を知って、彼女のことを調べているうちにパフューム・ジーニアスに流れ着いた。多分、海外の文学に詳しい人でもリスペクトールを知ってる人は相当少ないように思う(少なくとも日本では、長編1冊しか邦訳本がなく、それも二十年くらい前のもので現在は絶版)。まず、日本語では情報が全くないんで、結局英語圏のサイトに飛んでいくことになるんだけれども、それでもやっぱり情報としては少ない。彼女は経歴が面白く、ウクライナ生まれだけど、第一次大戦とロシア内戦の影響で、幼少のころに親とともに南米ブラジルに移住している。カフカ以来の重要なユダヤ人作家だとも評されていたり、一方ジョイスやウルフばりの「意識の流れ」を多用した作風でとっつきにくという意見もちらほらとみかける。まぁ、これは代表作「The Passion According to G.H.」についてのものだから、デビュー作「Neat to the Wild Heart」はまた違うのかも、読んでみてのお楽しみ。ちなみに原書はポルトガル語だがペンギンから英語訳が出ている。

で、その調べているときに日本語のサイトで引っかかったのが、ネットフリックス系のドラマ「The OA」の
記事だった。去年末にスタートし、少女失踪から謎に満ちた展開が話題になっているそうで、確かに面白そう。このドラマを制作し、また主演もしているブリット・マーリングが役作りの際に参考にしたのが、リスペクトールの小説とパフューム・ジーニアスのMVだったという。これで3つがつながった。そして、リスペクトールに関する話題は今のところこうした間接的なものくらいしかない。

GIF-PerfumeGenius-Queen.gif
http://tagong-boy.tumblr.com/post/163211556576/


『The OA』謎に満ちたヒロインを演じるブリット・マーリング、
役作りはジブリ映画のあのキャラを参考に?

http://dramanavi.net/news/2016/12/the-oa.php

ClariceLispectorNearToTheWildHeart.jpg
クラリッセ・リスペクトール「Neat to the Wild Heart」
ジョイスの「若い芸術家の肖像」の一節から引用したタイトル。彼女は処女作を出版後、ナポリでブラジル軍看護婦として働いていたりし、イタリア滞在中に詩人を介しデ・キリコと交流があって、キリコ作による肖像画も残っている(なので彼女のブック・カバーにはキリコの絵が使われている)。これこそまさに「若き小説家の肖像」だな。


posted by J at 13:00| Comment(0) | TrackBack(0) | fav. - sound | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月15日

Bad LiarのMV


Selena Gomez - Bad Liar

やっぱりMVキタ! 音だけしかない静止画音源が長く続いていたので、もしや映像は作らないのかと心配したけれども、ついに「Bad Liar」のオフィシャルMVが公開だ。曲のリリース直前にネットで一部出回ってたちょっとフェティッシュな映像とは違っているし、期待していたそういう方向のものとも全然違う、(一人何役もこなした)学園ものパロディなMV。最後にComing soon - Fetishって字幕が出るから、もう一つ別なバージョンのが近いうちに出るのかも。わりと新しいプロモーションの仕方だなと思って興味わく。

それにしてもこの曲「Bad Liar」は、僕の中では今年一番の曲になってしまった。最初聴いたときは、何というかスカスカした音にささやき声が絡んでるだけの、何か寂しい、未完成な音のように思え、ただふうんって感じだったけど、二度三度聴くうちにじわじわメロディが頭の中にこびりついて、しまいには中毒っぽく一日中これを聴いていたり、何か不思議な魅力があった。で、何でそんなにいいんだろう、と思って調べているうちに、Lordeの「Royals」とこの曲の共通点を指摘する記事があって、なるほどそうかと納得いった。そう、この曲はとにかく音数が少ないんだ。トーキング・ヘッズ「サイコキラー」のベースラインのサンプリング、そしてハンドクラップとベルの音、打ち込みのリズムが入ってくるものの、あとはセレーナ・ゴメスのヴォーカルコーラス。ほぼこれだけで作られていて、聴くほどに、すごく声の魅力にはまっていく感じ。そして、このヴォーカルとリズムトラックだけで出来た、やたらと記憶に残っている音があるなぁと、頭の中の引き出しを二つ三つ開けてみると、目当てのその音楽を思い出した。そう、まさにPILの「Flowers of romance」なんだよ。

posted by J at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | fav. - sound | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月06日

モリッシーのマトリックス・メッセージ、2017

TheSmiths-BoyThorn-ep-Matrix-2017.jpg
* 画像は右リンクから:http://tagong-boy.tumblr.com/post/160302523301/


ザ・スミスは4月22日の今年のレコード・ストア・デイに未発表トラック2曲を収録した7インチをリリースしている。

この7インチはUKのみでのリリースとなっているが、レコードの盤面には「Trump Will Kill America(トランプがアメリカを殺す)」とエッチングされているという。



ザ・スミス、新発売の7インチに「トランプがアメリカを殺す」と記されていることが明らかに
(NME.jpより)http://nme-jp.com/news/37182/


レコードを大雑把に外周から見ていくと、音の刻まれているギザギザした細い溝(グルーヴ)があって、その次に「デッドワックス」と呼ばれる黒い平坦な部分があり、そして紙の貼られたレーベル面、最後に盤の中心の穴「センターホール」とおおよそこの4つのパートに分けられる。その中の余黒部分「デッドワックス」のわずかな隙間にはレコード盤に関する色々な情報が刻まれていて、たいてい暗号のようなアルファベットや数字が並んでいる。この記号・数字の配列は「マトリックス・ナンバー」と呼ばれるもので、解読すると、そのレコードがどの工場で製造され、どの型(スタンパー)を使って何回目にプレスされたものなのか? またさらに、誰がカッティングしたかという事までがわかるようになっている(カッティング・エンジニアの腕によって音質が変わるため、ここにあるエンジニア名サインを重要視しこだわるマニアやコレクターは多い。当然レコードの取引価格にも影響してくる)。レコードの出生証明書みたいなもの。本でいえば、版や刷、編集者や印刷所等々の情報が記されている奥付にあたるところだ。

ザ・スミスのレコードは、デッドワックス部のマトリックス・ナンバーのすぐ近くに、モリッシーによる短い英文がいつも刻まれていて、この隠れたメッセージを読むのがファンの間ではちょっとした楽しみだったりした(ザ・スミス以外にも、レコードにこのマトリックス・メッセージを刻んでいるミュージシャンはわりといる)。例えば、ザ・スミスの「Shakespeare's Sister」という曲の12インチでは "HOME IS WHERE THE ART IS(home is where the heart is のもじり。安らげる場所は自分の中にある、の意。誰かの引用なのかな?)" だったりと、直接曲と関連しているのかいないのか良くわからない意味深なものや、初期シングル「William, It Was Really Nothing」のマトリックス・メッセージのように、ちょっとここで書けない類の英国人らしいきついジョークもあったりする。

さて、先月4/22に「レコード・ストア・デイ」という全世界同時開催のレコードの祭典的なイベントがあった(2007年に創設、2008年からスタートし以来毎年やってる)。毎年4月の第三土曜日がその日らしく、この日に限定のシングルやアルバムなどが一斉に発売され、年を追うごとに知れ渡り賑わってきているみたいだ。


レコード・ストア・デイで販売されたアイテムの中には既にネット・オークションに出品されているものがあり、なかには200ポンド(約28000円)の値を付けているものもあるという。


と、上記事の中にもあるように、この日発売されたレコードたちはさっそく売りに出され、プレミアが付いてより大きく話題になるなど、今の時代だなぁなんて思ったりする(もちろん大部分はファンたちのレコード棚にちゃんと収まっているのだろう)。ザ・スミスは1985年にリリースしたシングル「The Boy With the Thorn in His Side」に収録していた2曲の未発表音源を、レコード・ストア・デイ限定盤として発売。これもすぐさまネット・オークションに出ているものがあって、直後は50ドル前後まで値が付いていたが、今は落ち着いて30-40ドル前後の間で取引されている。元の販売価格は8.99ポンド(約1,300円)だった。わずかながらのプレミア価格があることは、未だ根強いファンがいる確かな証拠だし、プレス枚数が求める人の数に追いついていない表れでもあって、オークションでのせめぎ合い(入札数)を見ていると、ファンの熱量みたいなものが冷静に数値化されているようで面白いものがある。こうして売り買いしていくうちに、変動幅が少なくなって適正な価格帯に収斂し、最もふさわしい値段として定着していく。そういう瞬間を目の当たりにできるのもまた貴重に思えたり。
ザ・スミスは、オフィシャル・リリースとしての未発表音源が少なく、彼らはリミックス・ヴァージョンなども嫌っていたため、レコード・アイテム的に極端なレア物というのがあまりない。なので今回のリリースはファンにとってはすごく嬉しいもので、僕もちょっと反応してしまった。A面タイトル曲のデモ・ヴァージョンは、さほど違いのないものだったが、B面収録の「Rubber Ring」(Early Drone Studios Version)は、ストリングスが少し生々しく(ラフで)けっこう良かった。
今回ザ・スミスが話題になっていたのはプレミア化したレコードじゃなく、シングル盤に刻まれたモリッシーのトランプ大統領に関するマトリックス・メッセージだった。モリッシーは、以前にも「Margaret on the Guillotine(マーガレット・サッチャーをギロチン台に)」というような曲をいくつか書いているから、さほど驚くこともないが、こうした姿勢の変わらなさの方にかえって驚異を感じてしまったり、若干僕の方が変わってしまったのかな? なんて風に思った。僕も若いときは、モリッシーのメッセージやインタビューなんかを読んでずいぶんと共感したし、きっと若い人は同じように自分の好きなアーティストやミュージシャンたちから無条件的に影響を受けるんだろうとは思うが、政治や経済の仕組みを少しづつ理解していくほどに、世の中そう単純に二元化し、切り分けて考えていいものなんだろうかと思うようにもなる。塩化ヴィニールに彫られた短いメッセージは、前世代のツイートみたいなもので、トランプのやっているTweeterといい勝負かも。


レコード鑑定の基礎知識「How to identify vinyl records?」
http://zauberflote.squares.net/record/record.html


The Smiths - Rubber Ring (Early Drone Studios Version 7" Rip)
posted by J at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | fav. - sound | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月04日

きっかけは社会の先生のひと言だった



『ストップ・メイキング・センス』ほど、不気味な始まりかたをする映画はない。


この作品に対する賞賛の多くは、もちろんトーキング・ヘッズに向けられたものである。彼らは当時、アルバム「スピーキング・イン・タンズ」と、ヒットシングルである「バーニング・ダウン・ザ・ハウス」の成功が高く評価されていた。

しかし、その映像の素晴らしさの大部分はデミに由来するものだ。彼がバーンとつくりあげたライヴ映像は、それまでのものとはまったく違っていた。そして、それ以降のものとも。



追悼、ジョナサン・デミ──ライヴ映画『ストップ・メイキング・センス』の“魔術”が残したもの
http://wired.jp/2017/05/02/jonathan-demme-stop-making-sense/


先月末、映画監督のジョナサン・デミが亡くなった。僕は数日経ってこのニュースを知る。それも、ネットで調べものをしていたときにヒットした、全く知らない人のBLOG記事をいくつか見ていたときだった。ネット時代の偶然だなぁとか思いながら、デミが監督したライヴ・ドキュメンタリー映画「STOP MAKING SENCE」を初めて観たときのことを思い出した。
映画はリアルタイムで見たものではなかった。学校でたまたま社会の先生と音楽の話をしていたときに、話の流れで先生が「いい映画があるから今度ビデオを貸してあげるよ」といって渡されたのがこのトーキング・ヘッズの「STOP MAKING SENCE」だった。数日後だったか、一週間後だったかは忘れたけれど、先生は意外と早くにビデオを持ってきてくれた。そして、この映像作品の素晴らしさを熱っぽく語りながら、でも、このビデオは永久保存版やから大事に扱ってくれよと、いかに自分がこのマテリアルを大切にしているかということも最後に忘れなかった。このひと言は先生の思い入れの強さを表しているようで、何か僕の中でひっかかるものがあって、ああ相当ヘッズが好きなんだろうな、と思った。当時僕はトーキング・ヘッズにあまり興味がなく、せっかく貸してくれたのはいいんだけど、どうも積極的に観よう! なんて気にはならず、でも借りた以上は返すときに感想を言わなきゃいけないから、ちゃんと観ないといけないよなぁ、困った。なんて少し気の重さを感じつつ家に持ち帰る。
そんなわけで、夕食後、全く期待もせずにビデオを再生する。僕は、自分の聴きたいレコードがあったので、まぁさらっと観て終わらせよう、だいたいライブの映像なんて、ステージにミュージシャンが写って演奏している姿を撮っているだけだから、どれも同じだろうし。そういう先入観があった。半信半疑、気持ちの中では四信六疑ぐらいだった。だから、いざこの映画が静かに始まると、映像の持つ緊張感というか(それがデミ作品の特徴なのだと数年後に観た「羊たちの沈黙」で分かった)独特のライブ映像世界に、何か今までに無い異質なものを感じ、一気に引き込まれていった。先生が熱く語っていたとおり、いい意味で予想を覆された。
はじめはヴォーカルのデヴィッド・バーンだけがステージに登場し、ラジカセのリズムに合わせて初期の代表曲「サイコ・キラー」を歌う。それが終わると、ベースのティナ・ウェイマスが現れ、今度は二人でアコースティックなバラードをしっとりと歌う。僕はヘッズの曲をほとんど知らなかったので、このきれいなメロディにすっかり聴きいってしまった。そして、次はドラムスのクリス・フランツがやってきてハイテンポでパワフルなビートの「Thank You for Sending Me an Angel」の演奏。これが終わると、ギタリストのジェリー・ハリスンが入りクールなファンク曲「Found a Job」を演奏。ここでメンバーの4人が揃った。こうして次に、コーラス、パーカッション、キーボード等々、バンドの人数がどんどん膨れていき、それに従って演奏も熱く、曲が続く毎にステージが盛り上がってゆく。もちろん観ているほうも、それに合わせて高揚し、あっというまに時間が過ぎてしまう。ほんと一瞬も見逃せない。映像編集の上手さが際立っているのと、斬新な構成に見事にやられてしまい、全部を観終わったあと、もう僕はすっかりとヘッズ・ファンになっていた。



"Life During Wartime" Talking Heads LIVE
7曲目の「ライフ・デュアリング・ウォータイム」。この映画で最初に訪れる山場の曲。みんなが一斉にランニングする姿は、単独で見るとへんてこりんだけど、最初から通してみているとめちゃくちゃカッコイイ。
この曲の歌詞はすごくいいので、年内には訳もしてみたい。


posted by J at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | fav. - sound | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月03日

モービーと空しい平和の合唱団

MobyVPC-AreYouLostInTheWorldLikeMe.jpg
下動画のキャプチャー。ベティちゃんを思い出すキャラクター。


Moby & The Void Pacific Choir - Are You Lost In The World Like Me?
(Official Video)

去年「The Void Pacific Choir」名義で出していた曲。風刺のきいたMVと、ジョイ・ディヴィジョン(というよりも、ジョイ・ディヴィジョンに影響を受けたデヴィッド・ボウイの「Scary Monsters」の音だ)を連想する重いビートがすごくよかった。スマホに取り付かれた人々を皮肉っているわけだけど、これを見る人たちの多くがきっとスマホを介してだろうという事実もあったり。
アニメーションは、STEVE CUTTSというロンドンを拠点に活動しているイラストレーターが制作。1930-1940年代の漫画から影響を受けた作風の絵を描いている人で、モービーと同じくちょっと社会批判が入ったものが多い。
http://www.stevecutts.com/
今はただカワイイだけ、きれいなだけ、技法に長けただけ、といった表面的には見栄えはいいが味気ない絵(音楽も)ばかりだから、こういうのを見たり、聴いたりすると少し安心するところもあったり。やっぱ、どこかにピリッとした辛さがないといけないな。

このMV、気になるところがあって、以前に歌詞訳で紹介したポーター・ロビンソン&マデオンの「シェルター」と、(Youtubeでの)アップロードされた日が2016年10月18日で一緒だったり、他にも、本人と「&をつけた」名義になっているところ、またモービー、ポーター・ロビンソン共にDJであること、そして両曲それぞれオリジナルのアニメーションで映像を作っているところや(片や "A-1 Pictures" 制作による最新の日本のアニメ、片やディズニーのライバル"フライシャー・スタジオ"風の古典アニメという対照性もあり)、そのアニメがディストピアを主題にし強いメッセージを持っている点など、すごくシンクロする部分が多く、このあたりの同時代性というか、そういうものにも興味もった。

PorterRobinson-Shelter-cap1.jpg
歌詞和訳:"Shelter" by Porter Robinson & Madeon(* 画像はMVより)
http://tavola-world.seesaa.net/article/443597608.html



モービーの新プロジェクト
「Are You Lost In The World Like Me」のミュージックビデオを公開

http://amass.jp/79603/
posted by J at 13:00| Comment(0) | TrackBack(0) | fav. - sound | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月31日

西友へいこう


サディスティック・ミカ・バンド「ファンキーMahjang」
桐島かれんvocalの再結成ライヴ・ヴァージョン。もろ80年代風のアレンジで、めっちゃポップだった。ステージのライティングや電飾の演出と、桐島かれんの変てこりんな踊りががすごくいい。改めてみるとカンパネラのコムアイっぽいな。オルタナ姫。3rd album "Hot! Menu"にオリジナル・ヴァージョンが入ってる。こんな曲がスーパーでかかってたら嬉しいかも。




店舗BGMを強化したことで、なにか変化は起きましたか?
「SNS上でも弊社BGMが話題となり、より多くの方に“西友”を知っていただけたとは思います。大変うれしく感じております」



店内BGMが気になる:SEIYU編
https://www.kkbox.com/jp/ja/column/showbiz-251-1317-1.html


なんだか、西友でかかっているBGMがお洒落(というかマニアック)で話題だよ、と友達に教えてもらって、ネットを見てみるとけっこう盛り上がっていて面白かった。80年代のこのあたりの音を聴いて育った派って、けっこう少数派だと思うだけに、こうして今スーパー等で自分たちがよく聴いていた音楽がかかっているのを目の当たりにすると、嬉しいものがある。選曲は西友HPでも確認できて、3月はULTRAVOXの「SLOW MOTION」とか、ジザメリの「HAPPY WHEN IT RAINS」なんかがかかっている。ピーター・バラカンさんが選曲してるとか。


SEIYU / 店内BGM
http://www.seiyu.co.jp/campaign/bgm/index.html
posted by J at 13:00| Comment(0) | TrackBack(0) | fav. - sound | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月03日

Lordeの新曲「Green Light」


Lorde - Green Light

ひさびさにロードの新曲が出るみたいで、話題になっている(ニューヨーカーにもレビューがあったりして)。曲が最近のテイラーっぽく、ずいぶん印象が変わったなと思ったら、ジャック・アントノフ(Jack Antonoff)が作曲に関わってるみたいで、やっぱテイラーとつながっていた(こないだのZAYNとのデュエットやOut of Woodsも彼の名が共作者としてある)。おまけにMVの映像のトーンも「I Don’t Wanna Live Forever 」と通じるところがあって、もしやと監督の名を見るとGrant Singerという人で、これも同じだった(映像の中で印象的な、青い光の使い方がまるで一緒だ)。夜の街を走りぬける疾走感がすごくいい。にしても、アメリカの女性シンガーって車の上に乗るの好きだな、何かのメタファーなのかな? 
いろいろ情報を見ていると、フォトグラファーの彼と別れたらしく、それがけっこう心の痛手だったとか。で、次のアルバム「Melodrama」のジャケットは、「絵」を使ったものになるようで、写真はしばらく見たくないって心理があるのかなぁ。

Lorde-Melodrama.jpg
posted by J at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | fav. - sound | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする