2017年11月30日

歌詞和訳:"Let's make some plans" by The Wedding Present


The Wedding Present - Let's Make Some Plans


ザ・ウェディング・プレゼントの「レッツ・メイク・サム・プランズ」については以前に書いたことがあるので二回目になる(過去記事を改めて見返すと、もう五年前のもので懐かしい)。そのときはレコード・コレクションにまつわるものだったが、書きたかったことはほぼ書いていた。そんなわけで、さらに新しく加えるような事も特になく、今回は歌詞の訳だけに。というのもなにか寂しいので、少し簡単に紹介しておこう。この曲はウェディング・プレゼントのオリジナル曲ではなく Close Lobsters というバンドのカバー曲になる。1992年の一年間、ウェディング・プレゼントは「The Hit Parade(ザ・ヒット・パレード)」という名で、毎月一枚づつシングルを発表してゆくマンスリー・プロジェクトをはじめた。A面にオリジナル曲、B面にカバー曲を演奏するというスタイルで計12枚のシングルがリリースされ、「 Let's make some plans 」はちょうど、プロジェクトの折り返し地点になる6月にリリースした「California」という曲のB面に収録。
この「The Hit Parade」シリーズは、毎回、その月の数字をレコジャケに大きくあしらっていて、デザインも楽しみだった。どれもブラウン管に映しだされた数字のクローズアップ写真が統一フォーマットの中にレイアウトされていて、一点一点単独で見ると緩さのある少しラフな印象がしたが、12か月分、計12枚を通して並べると不思議にも現代美術作品やコンセプチュアル・アートのように見えてしまう。

サビ部分のメロディと "Let's make some plans " というフレーズが、妙に耳に残る曲だけれど、いま一つ歌詞の意味は捉えられなかった。特に Verse2 の " Twelve million ... the mountain, the light bulb and the lake " の箇所は何のことかさっぱりと分からずで、「万物には全て、存在する理由がある」といったことを言おうとしているんじゃないかと思った。


● "Let's Make Some Plans" by The Wedding Present
 (2012年12月07日)
http://tavola-world.seesaa.net/article/305669706.html


ザ・ウェディング・プレゼント「レッツ・メイク・サム・プランズ」歌詞和訳

The Wedding Present "Let's Make Some Plans" - lyrics (songmeanings.com)
http://songmeanings.com/songs/view/3530822107859519232/
メロディに合わせた詞の改行・分断はせず、なるべく意味の通る一つの文になるようにした。
またコーラス・パートやサビのリフレイン等で歌詞が重複する箇所は省いてます。


Let's make some plans because they can't go wrong
Getting there may be times three maybe not
To loosen your lips, you're talking rubbish
To loosen your whole mistaken tenfold

失敗しないのだから、計画を立てよう。
3倍、うまくいくかもしれないし、そういかないかもしれない。
君は秘密を喋るために、たわごとを言っている。
自分の過ち全てを10倍に薄めるために。

* loosen one's lips : 「秘密をしゃべる」の意味がある(ただ若干出所不明なところがある)。


Twelve million good reasons against the mountain, the light bulb and the lake
You mean to loosen your lips, you're talking rubbish
and loosen your neck, you're talking rubbish

山や白熱電球、湖に対する1200万のもっともな理由。
君は秘密を喋るつもりで、くだらない事を話している。
そして、首をほぐし、たわごとを口走っている。


Let's make some plans, make some plans...

さぁ、計画を立てよう…。




The Wedding Present "The Hit Parade" 7 inch singles set
下写真は「ザ・ヒット・パレード」のシングル・セット。1月にリリースされた最初の一枚が抜けているが、残り11枚をシンメトリーな絵になるように配置し、商品写真として上手く見せている。この構図をみて、ピンク・フロイド初期のライブ・アルバム「ウマグマ」の裏ジャケを思い出してしまった。
TheWeddingPresent-HitParade-12eps.jpg
* 画像は右リンクより: 
http://tagong-boy.tumblr.com/post/168013846631/

PinkFloyd-Ummagumma-1969-back-cover.jpg
Pink Floyd "Ummagumma" back cover
* 画像は discog より: https://www.discogs.com/ja/artist/45467-Pink-Floyd



これまでに歌詞を訳したミュージシャン一覧: だいぶタイトルが充実してきた。

The Cure(ザ・キュアー) / Jannine Weigel(ヤンニーン・ワイゲル) / SAHA(サハ)
Wire(ワイヤー) / New Order(ニュー・オーダー) / The Wake(ザ・ウェイク)
Porter Robinson & Madeon(ポーター・ロビンソン&マデオン) / Felt(フェルト)
Charity Children(チャリティ・チルドレン) / Angel Olsen(エンジェル・オルセン)
Robert Wyatt(ロバート・ワイアット) / Eno-Moebius-Roedelius(イーノ・メビウス・ローデリウス)
Anekdoten(アネクドテン) / The Wedding Present(ザ・ウェディング・プレゼント)



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2017年10月19日

歌詞和訳:"Gravity" by Anekdoten


Gravity - Anekdoten

北欧スウェーデンのプログレ・バンド「アネクドテン(Anekdoten)」。
Anekdoten は英語の Anecdote にあたるスウェーデン語で、話や奇談の意。バンドについてはあまり詳しいことは知らず、とくに追いかけて聴いていたわけでもないんだけど、この「Gravity」という曲がほんと好きで、聴きはじめるとけっこうエンドレスになっていることが多い。2003年6月リリースのアルバムより。
もし、全盛期のキング・クリムゾン(アルバムで言うと「暗黒の世界」から「RED」にかけて)が、タイムスリップをして、現在にやってきたらきっとこんな感じの音で演奏をしていたんだろうなと思ってしまう。メロトロンの大洪水をバックにして、歪んだギターと泣きのメロディが足踏み合わせ重戦車のごとく突き進んでいく感じがけっこうたまらない。
今回訳詞では、重厚でドラマチックな音楽に合った幻想SF風の神秘的な歌詞に合わせ、各単語もそれらに見合った意味合いになるよう、かけ離れない程度に少し強調してみた。例えば「fiery angels」は(燃え立つ天使たち → 炎をまとった天使たち)という風に。



アネクドテン「重力」歌詞和訳

Anekdoten "Gravity" - lyrics (songmeanings.com)
http://songmeanings.com/songs/view/3530822107858715614/
メロディに合わせた詞の改行・分断はせず、なるべく意味の通る一つの文になるようにした。
またコーラス・パートやサビのリフレイン等で歌詞が重複する箇所は省いてます。



Soon an angel's leaving, they're ruled by laws of gravity.
Soon this door is closing and you'll never know unless you go.
No, you'll never know if you won't go.
Wishing well of wonders, glitter box of dreams inside lie bitter pills.
You know I never wanted to sing for your lover,
but the angels sang of love and outside the night was falling.

間もなく一人の天使が去り、重力法の支配下となる。
すぐにこの扉は閉まり、君は行かなければ分からない。
そう、もし行かないのなら決して分からないだろう。
奇跡の願い井戸と、苦い薬の入ったキラキラ輝く夢の箱。
僕が君の恋人のために歌いたくなかったのはわかるだろ。
天使たちは愛を歌い、外はすっかり夜になっていた。

* laws of gravity : ニュートンの万有引力の法則の英語綴りは「Newton's law of universal gravitation」。歌詞では、laws of - となっているので、法律・法令の意味でとった。


Fly - fiery angels, kiss the sky, won't you shine your light down on me?
Fly - through the blazing cosmic eye, no, you'll never know if you won't go.
Eleven ways to lose your mind, seven ways to shine,
four doors that may take you in, one that's closed behind.
I should have seen you leaving but I never thought you'd go.
No, I never thought you'd walk away.

さぁ飛んでゆけ! 炎をまとった天使たちよ。限りなく空高くへ。その明かりで僕を照らしてくれないか。
さぁ飛べ! めらめらと燃える宇宙の目を突き抜けて。しかし、行かないのなら決して分からないだろう。
正気を失うための11の方法。そして輝くための7つの方法。
君を引き入れる4つの扉。後ろで1つが閉まった
君が去るのを気付くべきだった。しかし、行ってしまうとは決して思わなかったんだ。
そう、君がどこかへ行くだなんて考えはしなかった。

* 「11」と「7」と「3」 : 出てくる数字には何かの意味があるんだろうな、と思い考えてみたら、この三つはちょうど素数だった。三番目に登場する4つの扉は1つが閉まったわけだから、開いている扉は残り3つということになる。見えない法則だったり、神の定めた規律(逆らえない運命)みたいな意味合いを示しているのかもしれない。


It's getting dark, too dark to see and angel's a long time gone.
Too many things I can't combine with logic reason.
How can I tell the black from white if all is black and blue?
God knows where I'm going when the keeper waves me through...

暗闇が訪れ、何も見えない。帰りの遅い天使。
つじつまのあわないことが沢山だ。
もしすべてが黒と青(全身あざだらけ)なら、どうやって、善悪の判断をつけられるんだ?
番人が僕に手を振り通してくれるとき、僕がどこへ行くのかは誰もわからない。

* tell black from white : 「善悪の判断をつける」(直訳:白と黒を見分ける)
http://eow.alc.co.jp/search?q=%5Btell%5D+(A%7C%7B1%2C2%7D)+from
このイディオムと続く「black and blue(あざになるの意)」の箇所は、色と二つの意味がかかった言葉遊びになっているんだろうな。






Anekdoten - Gravity ( Live at Progressive Circus, Malmö, Sweden 2016 )
https://www.youtube.com/watch?v=EHGY8qknbmY
このライヴ・ヴァージョンもすごくいい。



これまでに歌詞を訳したミュージシャン一覧: タイトルが、だいぶ充実してきた。

The Cure(ザ・キュアー) / Jannine Weigel(ヤンニーン・ワイゲル) / SAHA(サハ)
Wire(ワイヤー) / New Order(ニュー・オーダー) / The Wake(ザ・ウェイク)
Porter Robinson & Madeon(ポーター・ロビンソン&マデオン) / Felt(フェルト)
Charity Children(チャリティ・チルドレン) / Angel Olsen(エンジェル・オルセン)
Robert Wyatt(ロバート・ワイアット) / Eno-Moebius-Roedelius(イーノ・メビウス・ローデリウス)
Anekdoten(アネクドテン)


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2017年08月21日

歌詞和訳:"Primitive Painters" by Felt



Felt (feat Elizabeth Fraser) - Primitive Painters
予備: https://streamable.com/p0w49

この曲に MV があったのかどうかは記憶にないのでわからないが、Youtubeを検索するとそれらしき映像がひっかかる。一応は観てはみたものの、(多分)古いVHSから起こしたものっぽく、画質が良くないし完成度もあまりいいものでもないんで、音源のみの動画埋め込みで。
また、上に貼ったその動画のサムネイル画像は、"Primitive Painters" の再発盤 Maxi-CD のジャケットを使用したもので、オリジナル・アナログ盤のカバーじゃない。「Primitive Painters」はフェルトの中でも特に人気のある曲だったが、この12インチ盤は(なぜか)長らく廃盤状態が続いて、けっこう入手しづらいレコードだった。なのでずいぶん経ってから、皆がレコードを探し疲れたような頃に突如再発され、そのこと自体は嬉しかったんだけど、その時、店頭に並んでいたリイシュー盤の「Primitive Painters」は、初回オリジナル盤のレコード・ジャケットとは全然違うデザインになっていて、その瞬間、喜びは半減してしまった。まるでプロモ盤の封入カードのような、そつなくまとまった味気ないジャケット・デザインにはがっかりするファンも多かった。本来なら「音」が聴ければ、その他の要素はさほど重要でないはずだが、レコードの時代はヴィニールの円盤と、それを包む正方形のジャケットの結びつきは相互に影響しあっていたところがある。フェルトのレコジャケについては歌詞訳の後で軽く触れてます。


「Primitive Painters」の英語歌詞のテキストについて少し
この曲、ヴォーカルを含め全体的にリバーヴがかかっている上に、アレンジの影響でヴォーカルが楽器の音に埋もれてしまっているため、歌詞が非常に聞き取りづらい(おまけにコーラスで参加しているエリザベス・フレイザーは英語ではない造語のような歌を唄うので余計に意味不明度が増している。もちろん、これがプロデューサーであるロビン・ガスリー特有の音作りなわけだが)。多分、ネット上にあるこの曲の英詞はヒアリングによるものだと思うが、主に参考にした「 songmeanings.com 」にあるものはコーラス・パートに一部歌詞の抜けがあったり、また若干違うだろうと思える箇所もあり、もう一つの歌詞サイト「 lyrics.wikia.com 」を見つつ、この2サイトにある歌詞を比較しながら、一部を補足・良いと思う方を選択した。「 lyrics.wikia.com 」に載っている歌詞を参照した部分は「茶色文字」で表記している。
*また、このBlog記事を下書きしている最中、ユーチューブの動画コメント欄に載っていた歌詞に Paul Whaleron さんが訂正箇所を指摘していたので、それも参照し追加訂正した。打消し線部分が訂正前のもので、(改めて聞き直し確認したあと)おそらく正しいだろうという英語を後ろに続けた。
さらに、この曲の詞を書いたローレンスが歌詞について答えているインタビューがあり、それを参考にしながら訳した。結果、意外と手間がかかってしまったが、いい新解釈版になっていると思う。



フェルト「見習い画家(プリミティヴ・ペインターズ)」歌詞和訳


Felt "Primitive Painters" - Lyrics ( songmeanings.com & lyrics.wikia.com )
http://songmeanings.com/songs/view/3530822107858590662/
http://lyrics.wikia.com/wiki/Felt:Primitive_Painters

メロディに合わせた詞の改行・分断はせず、なるべく意味の通る一つの文になるようにした。
またコーラス・パートやサビのリフレイン等で歌詞が重複する箇所は省いてます。



I just wish my life could be as strange as a conspiracy.
I hold out but there's no way of being what I want to be.
Dragons blow fire, angels fly, spirits wither in the air.
I'm just me I can't deny, I'm neither here, there nor anywhere.

僕の人生が陰謀のように予想のつかないものだといいのに。
僕はそう思い続けるが、なりたいものになる方法はない。
竜は火を吹き、天使は飛び立ち、精霊は大気の中で姿を消す。
僕は僕だから、拒めやしない。僕はここにも、あの場所にも、どこにもいないんだ。


* conspiracy : 歌詞の意味とは直接関係はないが、面白い表現があったので記しておきたい。
英語では「ワタリガラスの群れ」のことを " conspiracy(陰謀)" という風に言うんだとか。

What is a group of ravens called?: https://www.quora.com/What-is-a-group-of-ravens-called


Oh you should see my trail of disgrace,
it's enough to scare the whole human race.
This is a new trance, yeah, an entrance too.
And there's a look on your face, it's a human race
and if you just can't stand it you just keep saying 'I swear'.

僕を反面教師にするといいさ。全人類を怯えさせるには十分だ。
これは新たな恍惚の訪れで、そう入口でもある。
君の顔つき、それこそ人なんだ。
もし君が我慢できないなら 君はいつもの口癖を言う「僕は誓うよ」って。



I don't care about this life, they say there'll be another one.
Defeatist attitude I know, will you be sorry when I've gone?
but you'll be sorry when I've gone.
Primitive painters are ships floating on an empty sea, gathering in galleries.
We're stallions of imagery.

僕はこの人生を気に掛けちゃいない。また別の人生があるだろうから。
敗北主義者の態度だって分かってはいるさ。でも、僕がいなくなったら君は後悔するだろうね。
駆け出しの画家たちは画廊の常連で、干上がった海に浮かぶ船でもある。
僕たちは想像力に溢れているんだ。


* Primitive painters are.., gathering in galleries: この箇所は、画家の世界を海と船の関係に例えているように思った。"干上がった海に浮かぶ船" というのは、まだ航行する場所(=発表の場・あるいはマーケット)が存在せず、一艘の船(=一人前の画家)としての役割を果たせないでいる状況のことを言っているように思える。曲のタイトルにもなっている「Primitive painters」、これは最初どういう訳がぴったりくるのかけっこう悩んだ。もっとも単純に意味をとると「原始的な絵を描く人」になるがやっぱり何かが違う。しかし他の部分を訳していくうちに "Primitive" は "未熟な" や "初歩的な" という意味合いなんだなと思え、そこから "駆け出しの / 見習いの" という風にした。分詞構文 "gathering in galleries =画廊に集まって" の箇所は、前文と噛み合うようにするために少し名詞的に意訳し「画廊に集う=常連客」という風に訳した。



ローレンスのインタビュー記事:「Primitive Painters」について語る
「UNCUT」というイギリスの音楽サイトに、フェルトのヴォーカリスト、ローレンスのインタビュー記事があって「Primitive Painters」についてを語っていたので、以下歌詞に関する部分を少し引用、また今回の歌詞訳の参考にしている。とてもしっかりとしたインタビューで、「Primitive Painters」のレコーディング過程や、どのようにして歌詞や曲が出来たのか、またロビン・ガスリーがなぜプロデューサーとして関わるようになったのか、あるいはエリザベス・フレイザーとの共演にまつわるエピソード等々の制作秘話を、ローレンスが答えている。けっこう内容の濃い記事なので、そのうちに、他の部分も訳してみたい。

An interview with Lawrence: "'Primitive Painters' was this great big statement, Felt were going to be massive."
(UNCUT / Michael Bonner / Jul. 2015 )
http://www.uncut.co.uk/blog/the-view-from-here/an-interview-with-lawrence-primitive-painters-was-this-great-big-statement-felt-were-going-to-be-massive-69839


Q: どこで歌詞がひらめいたの、歌詞ノートを持っているとか?
ローレンス: モーズレー(バーミンガムの約5km南にある街)にあるキッチンに座っていたときに書いたんだ。どんなふうにひらめいたのかはわからない。他の曲はすべて書き終えていたから、あれは「 Ignite the Seven Cannons 」の最後の曲だったんだろう。だからあれは、(僕が書いた)最後の歌詞だっただろうな。何か特別なひらめきの瞬間があったとは言えないんだ。


Q: Where did the lyrics come in, do you have books of lyrics?
Lawrence: I was sitting in my kitchen in Moseley doing it. The lyrics, I don’t know how they come about. That would’ve been the last song on Ignite the Seven Cannons, because I had all the others written. So that would’ve been the last lyric I wrote. I can’t say there was any special moment that made me come up with it.



Q: この歌の説明してもらえる?
ローレンス:「Dragons blow fire...(歌詞部分省略)」 
これは、選ばれた集団の中に入りたいってことなんだ。
「Primitive painters are...(歌詞部分省略)」
パブじゃなく、ギャラリーにたむろしている本当にいかした連中を想像してごらん。僕の着想はそういうものだった。


Q: Can you explain the song?
Lawrence: "Dragons blow fire, angels fly, Spirits wither in the air / It’s just me I can’t deny I’m neither here, there nor anywhere".
It’s about wanting to be in a select group.
"Primitive painters are ships floating on an empty sea, gathering in galleries".
Imagine groups of really cool kids hanging out in galleries, not pubs.
That was my sort of conception.



Q:  君のことだったの?
ローレンス: ああ、僕のことだよ。僕はいつも気づいたら、一人でギャラリーにいるんだ。そんなとこかな。


Q: Was that you?
Lawrence: Yeah, that's me. I'd always find myself in a gallery on my own, y’know.



Japanese translated by Tagong-Boy
Original text by Michael Bonner (for UNCUT)


フェルトのレコジャケをデザインしていた「シャンハイ・パッケージング・カンパニー」について

Felt-PrimitivePainters.jpg
"Primitive Painters" のレコジャケ、初回盤。表面と裏面。(*画像はdiscog.comから)
PIL「Second Edition」のポスターや「時計じかけのオレンジ」のポスターが写っている。
デザインは Shanghai Packaging Company。何かふざけた名前だが、覚えやすいのでいいネーミングだと思う。これ、中国語で書くと「上海包裝設計公司」みたいになるのかな。
写真はミック・ロイド(Mick Lloyd / 1984年まで在籍していたFeltのメンバー、ベーシスト)。

The Durutti Column "Without Mercy" や Joy Division "Still" のレコジャケなどで使用していたボール紙に似た紙質のスリーヴにモノクロ1色だけを使った印刷で、ファクトリー・レコーズ風のざらっとした雰囲気があった。多分(酸度の強い)廉価な紙だったろうから、中古盤で流通していたものには端っこに黄ばみの出ているものが多く、コンディションの良いものに遭遇することがあまりなかった。
イギリスのe-bayを見ると現在 "Primitive Painters" の12インチは、だいたい30-35ポンド(約5,000円 / *1ポンド=142円で計算)の価格帯で出品されている。


上海パッケージング・カンパニー = ローレンス説(?)
ザ・シャーラタンズのヴォーカリスト、ティム・バージェスはフェルトの大ファンとしても知られている。「The Quietus」というサイトが、ティム・バージェスにフェルトの魅力についてを語ってもらうというインタビューをしていた。その中でティムはミュージシャン目線による、少し違った視点のフェルト像を語っていて、フェルトのまた新たな一面を知ることができる。今回、「Shanghai Packaging Company」の話が最後の方に出ていたので、少し気になった。このインタビューを読むと、ローレンスは「上海パッケージング・カンパニー」というペンネームを使って、フェルトのアートワークを手がけていたことになる(&他いくつか)。これは初耳だったし、(日本では)あまり知られていないことだと思うが、真偽のほどはどうなんだろう。もしそうだとしたら、プライマル・スクリームの「Come Together」のジャケット・デザインはローレンスが手掛けたことになる(* フェルトのキーボーディスト、マーティン・ダフィ(Martin Duffy)は、プライマルの最初の2枚のアルバムにキーボードで参加していて、フェルトが解散した1989年の終り、プライマル・スクリームに正式加入したので、マーティン経由で話が進んだ、という可能性はある)。ローレンスが実際に手を動かしデザインをしていたのか、それともディレクター的な役割で制作の指揮・統括をしていたのか、という部分にまで触れている情報が見当たらず判断の難しい感じはあるが、discog.com に載っている「Shanghai Packaging Company」のプロフィールを見るとやはり 'Artwork from Lawrence credited to the "Shanghai Packaging Company".' とあるので、ほぼローレンスの変名だとみて問題ないと思う。


Q: ローレンスは「上海パッケージング・カンパニー」という名でフェルトのアートワーク全てを担っていたね。君は今までに、自分の楽曲リリースのアートワークで彼を起用することを考えたことはある?
TB:  そのうちにね。


Q: Lawrence was responsible for all Felt artwork under the moniker Shanghai Packaging Company. Did you ever think of using him for artwork on your own releases?
TB: Maybe in the future.



Tim Burgess On Loving Lawrence & Felt, "Birmingham's Best Band"
(The Quietus / Wyndham Wallace / Jul. 2011)
http://thequietus.com/articles/06604-felt-lawrence-tim-burgess-interview


上海パッケージング・カンパニー名義でデザインされたレコジャケ
Felt.Crystal Spires-P.Scream.ComeTogether.jpg
Felt "Rain Of Crystal Spires" (Sep. 1986)
Primal Scream"Come Together" (Aug. 1990)(*画像はdiscog.comから)



英国のインディ・シーンとグラフィック・ムーヴメント
1980年代後半から90年代初めにかけてのイギリス音楽シーンは、個性的なインディ・レーベルが数多く現れ、また支持されていた。そこでは、主役のミュージシャンだけではなく、レコード・ジャケットや告知ポスターなどのデザインを手がけるグラフィック・デザイナーたちにも活躍する場が用意されていた。彼らは、クラシカルで職人的、そしてやや業務的で無難なデザインに陥りがちなメジャー・レーベル御用達のデザイナーたちよりも、世代がひとつふたつ若く、新しい感覚を積極的に打ち出し、自分たちと同じ世代の音楽を、レコード・ジャケットというフォーマットの中で上手に視覚化することで、より多くのリスナーの興味をひきつけることに成功していたように思える。レーベルごとに、音楽の傾向が違っているので、当然そこから派生し誕生するレコード・ジャケットのグラフィック・アイコンはそれぞれに特徴があった。ピーター・サヴィル、ネヴィル・ブロディ、そしてマルコム・ギャレット。この3人が、新しい時代のグラフィック・デザインを牽引する才能としてよく取り上げられ、デザインの世界では知られた名前だった。他にもヴォーン・オリヴァーやマーク・ファロウ、ミー・カンパニーなどの人気のあるデザイナーたちがいて、新しいレーベル、新しいミュージシャンが現れるたびに、新しいグラフィックも生まれ、いい刺激の循環が巻き起こっていた。リスナーはただレコードを聴くだけではなく、レコジャケと音、この両方を同時に楽しみながら、聴覚と視覚から受けるイメージの広がりや差異というものを個々に体験できていたような気がする。
この英国発のグラフィック・ムーヴメントの盛り上がりには、インディ・レーベルの存在が大事な役割を果たしていたのは確かだが、もう一つ大事な要素があった。それは、この頃からアップルのPC「マック」が、デザインの分野でも使われはじめ、この新しい道具のもとで、今まででは出来なかったような自由なタイポグラフィやレイアウトが可能になったことも大きい。

イギリスで起こっているこうした盛り上がりは、タイムラグもあまりなく日本にも届いていて、イギリスと同じような動きが日本でも起きていた。イギリスのインディ・シーンに影響を受け呼応した日本のミュージシャンたちがバンドや自分たちの小さなレーベルを作り、活動しはじめ、それはやがてメジャー・レーベル傘下で立ち上げられた新しいレーベルへと移って次々とリリースが決まっていった。そのレコード(このときはほぼCDだった)のジャケットは、やはり新しい感覚の世代が中心になってデザインをしパッケージングされてゆく。もちろん、音、ヴィジュアル共、まだ洋楽の模倣にはすぎなかった部分もあるが、新しいデザイン・ツールになろうとしていた「マック」を使って、グラフィック・デザインがどんどん進化していったのが、日々分かるくらいだった。渋谷系と呼ばれはじめる少し前の時期。
また日本独自の規格だった縦長8cmシングルのジャケットが、この頃から洋楽ではお馴染みの形態 MAXI-CD に変わっていき、カップリング曲にはインストゥルメンタル(カラオケver.)ではなく、リミックス・ヴァージョンが収録されるようになる(このときときはまだ通常CDの形態で収録曲数が少ないミニ・アルバムという扱いで、のちに薄型 MAXI-CD サイズに変わり普及してゆく)。これは、デザイン主導で規定のフォーマットが変わってしまったという珍しい例だった。もちろん楽曲をリリースするミュージシャン側からの強い要望があったからだが、英国のインディーシーンを聴いていた世代に、「縦型8cmサイズのCD」は全く魅力に欠けてみえていた。こうした需要側の意識、そして供給する側の意識を、デザインの力で改善していったようなところがあり、こういうこともあるんだなと、その変わってゆく様・変化のあり方を見ているのは面白かった。

デザインやアート系の限られたジャンルではあったけれども、この時期の英国のグラフィック・ムーヴメントは雑誌などでもいくつか特集が組まれていた。以下二冊紹介。当時巻き起こっていた時代の破片のようなものが、今もまだ目に(手に)することができて、かつ資料的な役割を果たしているのは、やっぱりいいもんだ。


「デザインの現場 No.47」1991年4月号・特集:レコジャケ天国
この号では、イギリスのインディ・レーベルから広がりを見せたレコード・ジャケットの特集をしていて、「上海・パッケージング・カンパニー」のデザインも少し載っていた(この本、実家に置いているため今は手元になく詳細を確認できない)。おそらく、日本の紙媒体で、「上海・パッケージング・カンパニー」のデザインが掲載されているのはこれだけだと思う。
Mag-DesignersWorkshop-Apr-1991.jpg
雑誌バックナンバー販売「art-blue」さんのHPにはこの号の表紙画像の他、目次も載っている。
http://www.art-blue.jp/dg/1991/047.html


今ではコンピュータもかなり進歩して、コンピュータでかける線の質も、従来のロットリングでかくよりもずっとよくなっているね。(ブレット・ウィッケンス )

ロットリングやら雲形定規やらいっぱい入っている大きな引き出しがスタジオにあって、以前はいつも使っていたんだけど、マッキントッシュを入れてこの一年はこの引き出しをあけてないよ。(ピーター・サヴィル)


「デザインの現場」1991年4月号 / ピーター・サヴィル・インタビュー "10%の哲学"より
http://guilty-partner.blogspot.jp/2013/02/19914.html
特集記事の一つ、Peter Saville のインタビューが上記リンク先で見れる。
サヴィル、そして彼と共に仕事をしていたウィッケンス、この二人がインタビューに応え、1990年前後のイギリスにおけるデザイン業界がどんな風だったかや、わりとテクニカルな事についてを語っていて今読んでも面白い。この時期はまだ今のような完全なDTPになっておらず、マックは版下作業と並存しながらぼちぼち導入されかけている頃だった。


Art Random No.66 "New British Graphic Gesigners" (1991)
アート・ランダム:66号「ニュー・ブリティッシュ・グラフィック・デザイナーズ」
Peter Saville, Malcolm Garrett, Neville Brody の3人を特集している。
ArtRandom-66-NewBritishGraphicDesigners.jpg
画像は右リンクより: http://tagong-boy.tumblr.com/post/164219113506/

京都書院から「Art Random」という名で刊行されていた、全102巻のアート作品集シリーズがあった。有名無名を問わず、この時代、話題になっていたアーティストの作品を取り上げていて、洋書店などのアート本を取り扱う書店で人気があった。都築響一さんが編集をしていたため、どっちかというとマニアック寄りで、アウトサイダー・アートなものが多い。結果混沌・ボーダレス・ジャンルなセレクトになっていたが、まだインターネットの普及してない時代、聞いたこともないようなアーティストの新鮮な作品が次々に見れて楽しかった。第1号の大竹伸朗で始まり、ウィリアム・バロウズのショットガンペインティング(キャンバスの前に色スプレー缶を置き、それをショットガンで打ち抜いて破裂によって出来るインクの広がりを絵にしたもの。アクション・アートのひとつ。Youtube にその様子を記録した映像がいくつかアップされている)が最終号となって締めくくられているのが、このシリーズの特異さ・新しさを意味しているようにも思う。
右リンク先にバックナンバー一覧がある。http://www.miyaobi.com/kyotoshoin/artrandom.html


他、参考にしたサイト等

Felt -tribute site-(フェルトのファン・サイト)
http://felt-tribute.webs.com/


Felt - Primative Painters (Live at ULU London, UK, 1987)
https://www.youtube.com/watch?v=MwyZqjMiGXI
チェリー・レッド・レコーズのオフィシャル・チャンネルに「Primative Painters」のライヴ映像がある。



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2017年07月09日

Chvrches in Ameslan


ASL Leave A Trace- CHVRCHES

最初、サムネをみたときは何だろう? キャラのある女の子がきっと何か面白いパフォーマンスでもして、これ、笑えるカバーなんだろうなと思いつつ再生してみると、アメリカ手話(AmeslanAmerican Sign Language)を使ったチャーチズのカバー・ヴァージョンだった。思わずじわりとくる。
アメリカ手話って、フランス手話から派生し成り立ったものらしく、イギリス手話とはまた違った表現形態なんだそう。ほぼ同じ英語を話すのに不思議だな。



Malibu Sign Language
by Libbey (thedailysign)
https://www.youtube.com/watch?v=WrCfJmi7ndM
Youtubeを見てみると、けっこう手話カバーの動画が上がっていて、知らないだけでほんと何でもあるんだなと軽い驚き。上リンクの、この子は今っぽいファッションで定期的に手話カバー動画をアップしていて人気みたい。マイリー・サイラスのカバー、緑キラキラで夏っぽい日差しがいい。


Leave A Trace, covered in American Sign Language.

http://chvrches.tumblr.com/post/153570751998
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2017年06月17日

歌詞和訳:"The Belldog" by Eno Moebius Roedelius


eno moebius roedelius - belldog - LP: after the heat (1978)
(* 歌詞和訳は最後に載せてます)


憧れのレコジャケ
暑くなってくると、野太いヴォーカルや歪んだギターをかき鳴らすような暑苦しい音よりも、透明感ある無機的な電子音の曲が聴きたくなってくる。そういうときに、ブライアン・イーノ周辺のアンビエント関連の音楽はとてもいい。どれもいい。イーノがクラスターの主要メンバー二人、メビウス(Moebius)とローデリウス(Roedelius)と組んで製作したアルバム「After the heat」は、レコジャケのイメージそのままの耳に涼なサウンドで、窓越しに見える、太陽が照りつけヒートアイランド化した都市の景観をまるで蜃気楼の幻影かのように変えてくれる。これは、ほんと夏になると良く聴いていた。だけども、僕の持っていたのはCDでレコードではなかった。そのおかげで、音により透明感があってその点では良かったんだけど、やっぱりジャケの大きなレコードで持っていたかったなぁ、というのがずっとあった。イーノとクラスター周辺のコラボレート作品を何枚かリリースしていたドイツ「SKYレーベル」のアナログ盤は人気が高かった為、なかなか中古市場に出回ってこず、店頭に並んだ瞬間にはもう誰かが買いさらっていくか、あるいはコンディションの良くないものがしばらく壁を飾っているかどちらかだった。値段はさほど高くもなく、それがすぐに店頭から消える原因の一つだったりした。コンディションの良いもので、4,800円前後が平均的な価格だった(ジャーマン・プログレものでは一桁ゼロの多い価格のものが珍しくないので、5,000円台付近のレコードは安い方だ、という錯覚に陥ってしまう)。僕がレコード・コレクションに夢中になっていた時期は、ほぼ日参といってもいいくらい、けっこうレコード屋に通ってはいたんだけれども、「After the heat」含むイーノ&クラスターものと巡りあうことは数回あった位で、どうしても手に入れることが出来ずにいた。なので、いつ聴けるかわからないでいるよりは、とりあえずはCDでもいいや、みたいになってSKYレーベルのものはCDで揃えることにした。そして、知らなかった音が聴けてしまうと、こだわりだったサイズの大きなレコジャケへの意気込みなんてものは次第に消えてゆく。それでも、心残りなレコードの一つとして、これらのジャケ画像をみる度に当時憧れた気持ちのようなものがわずかにだが、未だ残っているのは何でだろう。

EnoCluster-MoebiusRoedelius.jpg
Eno Moebius Roedelius "After The Heat" と "Cluster & Eno" のジャケット。
フォーマット優先のいかにもドイツ的なデザイン。*画像はDiscog.comより


曲名「The Belldog」の由来
この曲の歌詞訳をしようと思って、まず真っ先にクエスチョンだったのが曲名の「ベルドッグ」だった。造語っぽい感じもしたし、単にそのまま鈴を付けた犬なのか? とかも考えるが、英語での意味を知ろうと調べてみると、やはり造語だった。そして、その由来についての引用がネットに出回っていたので訳してみた。ただ、ひとつ気になるのが、この引用箇所の出所がどこからなのかがさっぱりと分からない点(にも関わらず皆、この曲の歌詞と一緒に併記していたり。このテキストが広く出回っている割に、誰も「これは違うぞ」といった指摘や書き込みがないというのも、ある意味信憑性があるのかも)。一応引用先が「Brian Eno in More Dark than Shark, quoted by Craig Clark」からだとは記してあるが、「More Dark than Shark」には、イーノとラッセル・ミルズ共著による本と、イーノのインタビュー等のアーカイヴをアップしているサイトの二つがあって、おそらくこの内のどちらかだろうとは思う。本は手元にないし、サイトを見てもテキスト量が膨大すぎて確認できなかった。ついでをいうと引用者のCraig Clarkって誰? というのもあるが、ここは一応ネット上にある情報を信じて僕も引用してみた。以下どうぞ。


「More Dark than Sharkでのブライアン・イーノ」クレイグ・クラークによる引用:
「僕は凱旋門風の記念碑に向かって、ワシントン・スクエア公園を歩いていたんだ。門の下には少数のグループがいて、満月が水平線上の低い位置に浮かび、門のてっぺんから見えた。さらに寄って近づくと、彼らの注視していたものが分かった。年齢不詳で薄汚れた格好の男が車の上に乗って、音程のズレた縦型ピアノを弾いてた。彼の演奏は上品なナイト・クラブにいるピアニストのそれだった。だけど、彼の使っていたコードは全く奇妙だった。その低い不協和音の繰り返しに負けないよう、彼は震え声で、何度も何度も歌っていたんだ。「ベルドッグよ、お前はどこにいるんだい?」と。彼の歌うベルドッグというものが、何なのかはさっぱり分からなかった。僕にすりゃ未知の神話に登場する出所不明な空想上のキャラクターだった(し、今もそうだ)。だからベルドッグについて僕が抱いた漠然とした感覚は、彼が不明慮な使者だということ。それが何であれ、歌の中ではまだ(ベルドッグが)現れてないか、もういなくなってしまったか…」


'I was walking through Washington Square Park, towards the "Arc de Triomphe" style monument there. There was a little group of people under the arch, and the full moon stood low on the horizon, visible through the top of the arch. As I got closer I saw what it was that had attracted their attention. A very grubby man of indeterminate age was playing an out-of-tune upright piano on wheels: his touch was that of a plummy night club pianist, but the chords he used were completely strange. Over this sequence of soft discords he sang, again and again, in a trembling voice: "The belldog, where are you?" I have no idea what he meant by the belldog. For me it was (and is) an unidentified mythical character from some unfamiliar mythology... So the vague feeling I have about the belldog is that he is a herald; of what is not clear. Whatever it is, in the song he has either not yet appeared or has gone away...'

from Brian Eno in More Dark than Shark, quoted by Craig Clark


enoweb-lyrics "THE BELLDOG"(上の英文の引用先)
http://music.hyperreal.org/artists/brian_eno/ATHlyrics.html
予備:http://archive.is/bm80d


EnoMills-MoreDarkThanShark.jpg
Eno & Mills "More Dark than Shark"(画像はAmazon.jp より)

MORE DARK THAN SHARK http://www.moredarkthanshark.org/
ブライアン・イーノのファンサイト。アーカイヴがすごく充実していて、特に過去の(雑誌)インタビューが書き起こしされていたりと、後追いファンとしては嬉しい。サイト内:brian eno >> interviews 。



イーノ・メビウス・ローデリウス「ベルドッグ」歌詞和訳

Brian Eno "The Belldog" - Lyrics ( songmeanings.com )
http://songmeanings.com/songs/view/3530822107858973053/
メロディに合わせた詞の改行・分断はせず、なるべく意味の通る一つの文になるようにした。
またコーラス・パートやサビのリフレイン等で歌詞が重複する箇所は省いてます。



Most of the day, we were at the machinery in the dark sheds that the seasons ignored. I held the levers that guided the signals to the radio.
But the words I received, random code, broken fragments from before.

我々は一日の大半を、季節感のない暗い小屋に篭り、機器の操作をしていた。
私は無線器に信号を誘導するレバーをつかんだ。
しかし、受信した言葉はデタラメなコードで、使いものにならない断片的なものだった。




Out in the trees, my reason deserting me.
All the dark stars cluster over the bay, then in a certain moment,
I lose control and at last I am part of the machinery. Where are you?
And the light disappears as the world makes its circle through the sky.

森の中で、私は思考力を失った。暗黒の星団が山合いの上空で結集し、ある瞬間、私は制御不能となり、ついに機械の一部と化す。君はどこなんだい? 
世界が空いっぱいに円を描くと、その光は消滅する。



* dark star: wiki を見るとdark star or dark matterとあり、二つは「ダークマター星」の英語での同意語でいいようだ。これは、宇宙研究ではまだ解明されてない暗黒物質(ダークマター / dark matter)の呼び名違いなだけだと思うが、もしかすると細かな部分で違いがあるのかも。イーノはわりとテクノロジー、科学や哲学などの新しい話題に敏感なので、この曲を制作していた1970年代後半頃に話題になっていた最新宇宙のトピックスを歌詞の中に取り入れていた可能性が十分にある。訳では、宇宙用語から離れプログレっぽくしてみた。


* bay: 前行に "Out in the trees" があるので、湾や入江ではなく山側の近くだと思い、「山の懐」の意味で考えてみた。



これまでに歌詞を訳したミュージシャン一覧: だいぶタイトル、増えてきた。

The Cure(ザ・キュアー) / Jannine Weigel(ヤンニーン・ワイゲル) / SAHA(サハ)
Wire(ワイヤー) / New Order(ニュー・オーダー) / The Wake(ザ・ウェイク)
Porter Robinson & Madeon(ポーター・ロビンソン&マデオン)
Charity Children(チャリティ・チルドレン) / Angel Olsen(エンジェル・オルセン)
Robert Wyatt(ロバート・ワイアット) / Eno-Moebius-Roedelius(イーノ・メビウス・ローデリウス)





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2017年05月28日

歌詞和訳:"Soup Song" by Robert Wyatt


Robert Wyatt - Soup Song (* 歌詞和訳は最後に載せてます)

「Soup Song」は、1975年にリリースされた、ロバート・ワイアットの3rd.アルバム「Ruth Is Stranger Than Richard」のオープニング曲。ジャズバーでかかっていたら軽くステップでもして瞬時に和んでしまいそうな、ご機嫌でスウィンギングなトラック。いい具合に力の抜けた歌声と楽しげな演奏は、このアルバムの仕上がり具合を保障するアンティパスト的な曲としてもぴったりと合う。名曲・名演の多いワイアットだが、その中でもこの曲は特に好きで良く聴いてた。ワイアットのユーモラスな一面がよくわかる素敵な曲だと思う。歌詞を改めて見てみると、所々で韻を踏んでいるのもわかったりしてより面白さがわかった。ところで、この歌の主人公「僕(I)」っていったい何の野菜(具材)なんだろう? 黒焦げでも、パリパリして美味しくスープの隠し味になって、繊維質なものと言えば…と、思いつかず。
この曲、多分、プログレ・マニアのHPなどで和訳したものが一つくらいはあるだろうと思って、軽く検索してみるが、意外や訳詞は見当たらず。(誰もやってないのなら)早いうちにやってみよ、と思ってトライしてみた。ワイアットの他の曲でも和訳はあまりなかったんで、また別曲でもやってみよう。

このアルバムにはもう一つ大好きな曲「Song for Che」が入っているので、ついでに紹介しておきたい。インスト曲なので歌詞訳はできないし。「Song for Che」はA面(Ruth Side)の最後に入っている。チャーリー・ヘイデンのカバーで、タイトルどおり、チェ・ゲバラに捧げた曲。元曲は1969年リリースのチャーリー・ヘイデン「Liberation Music Orchestra」に収録されている。ヘイデンのアルバムでは、フリージャズ的なアレンジで9分近くもあり、けっこう長い演奏だが、どっぷりとラテンな世界へ誘ってくれる(同じくチェ・ゲバラに捧げ作られスタンダードになった「Hasta Siempre / アスタ・シエンプレ」のサビ部分が曲の後半にコラージュされていて幻惑的)。そして「Song for Che」にはもう一つ、オーネット・コールマンによる「Song for Che」もあって、これがまた素晴らしくいい。真っ青な空を突き破るような伸びやかなアルト・サックスと、緻密で緊張感あるリズム・セクション(ベースはもちろん C.ヘイデン)の対比に胸が熱くなる。これは1972年リリースの「Crisis」に収録。ただ録音は1969年3月で、ヘイデンのものよりも約1ヶ月早い。
ワイアットのヴァージョンはメロディアスに短くまとまっていて、4分弱の短い演奏。ヘイデンやコールマンの色彩感あふれる温情的な演奏とは対照的に、しみじみと静かで、むしろ沈痛さを帯びた楽器の音色。聴いていると、まるでレクイエムのようでもあって、ゲバラに対する深い敬意を感じさせる。ワイアットが「Song for Che」をカバーしていたことで、チャーリー・ヘイデンを知り、そこからフリージャズの世界にハマって、デレク・ベイリーやエンリコ・ピエラヌンツィ、ECMやINCUSなどに興味がいった。なので、このアルバムは僕にとってはジャズへの入口を開いてくれた思い出深いレコードなのだ。



ロバート・ワイアット「スープの歌」歌詞和訳

Robert Wyatt "Soup Song" - Lyrics ( songmeanings.com )
http://songmeanings.com/songs/view/3530822107858908859/
メロディに合わせた詞の改行・分断はせず、なるべく意味の通る一つの文になるようにした。
またコーラス・パートやサビのリフレイン等で歌詞が重複する箇所は省いてます。



There's a mushroom on my eyelid, there's a carrot down my back.
I can see in the distance, a vast quantity of beans.
To you, I'm just a flavour to make your stew taste nice. Oh my god, here come the onions and - I don't believe it! - at least a pound of rice.

まぶたの上にはマッシュルーム、背中には人参が転がっている。
遠くに巨大な豆の山が見える。君にすりゃ、僕はシチューの隠し味にすぎないのさ。
ああ、なんあてこった。ここで玉ねぎの登場だ(信じられない!)少なくとも、米1ポンドじゃないか。


* 1 pound = 約435g


There was a time when bacon sandwiches were everyone's favourite snack.
I'm delicious when I'm crunchy, even when I'm almost black.
So why you make a soup with me. I just can't understand, it seems so bloody tasteless not to mention underhand.

ベーコン・サンドウィッチがみんなのお気に入りスナックだった頃があったね。
僕はパリパリしてるときが美味しいんだ。真っ黒焦げだとしてもね。
だからさ、なんで君は僕をスープの具材にするんだろう?
まったく理解できないよ。内緒にするわけじゃないけど、本当不味いと思うよ。



Now there's no hope of getting out of here.
I can feel I'm going soft, dirty waters soak my fibres.
The whole saucepan's getting hot, so I may as well resign myself make friends with a few peas, but I just, I can't help hoping that a tummy ache will bring you to your knees.

どうやら、ここから脱出する見込みはないようだ。
にごったスープが僕の繊維に染みこんで、フニャフニャになってる感じがするぞ。
ソースパンがまんべんなく熱くなってきた。もうエンドウ豆と仲良くするのは諦めたほうがいい。
こうなったら、腹痛になって君が降参するのを願うばかりだ。


* bring someone to one's knees : 〜を屈服させる、ひざまずかせるという意味。
最後の一文の直訳は「腹痛で君が屈するのを期待するしかない」になる。




「Soup Song」のピール・セッション

RobertWyatt-PeelSessions.jpg
ロバート・ワイアットの「ピール・セッションズ」のジャケ。*画像は discog.comから。
12インチ(左側)は1987年に、CD(右側)は1989年にリリース。

「Soup Song」はピール・セッションズでも演っている。鬼気迫るピアノの伴奏と(多分)メロトロンのバッキング・サウンドが、スープの具材になった悲哀を擬人化した歌詞と妙に合っていて、シンプルな演奏だけど聴きごたえがある。これは1974年9月10日に録音された音源。そして同月26日に最初のラジオ放送があった。「Ruth Is Stranger Than Richard」のレコーディングが1974年10月に始まったので、約1ヶ月前に初披露目されたもの。アルバムのアレンジとを比較してみると、まだ前作「Rock Bottom」のサウンドを残している感があって興味深いものがある。




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2017年04月30日

歌詞和訳:"Carbrain" by The Wake


The Wake - Carbrain (Audio)
サラ・レコーズ移籍後初のシングル "Crush The Flowers" のB面曲が "Carbrain"。この曲は、A面よりも力みないメロディが心地よく、The Wake の曲の中では一番好きな歌だった。動画コメント欄にも「This song is so much better than the A side...」(by C. Hulsey)なんて書き込みがあったりする。B面がタイトル曲よりも良かったりすると、さほど期待していない分何か得した気分になる。


ザ・ウェイクについては、以前に少し書いていた。今回は歌詞訳と追加分を少し。

The Wake "Talk About The Past" FAC 88 ( 02 Apr. 2014 )
http://tavola-world.seesaa.net/article/381936032.html
けっこう地味なバンドやったんで、メディアで取り上げられることも、またインタビューなどの情報もなく、ゆえエピソードらしいエピソードが生まれるということもほとんどなかった。なもんで、目新しい話がこの先出てくることは多分ないだろうな。そうしたものを望んでいる人も、ほんのわずかにいるだけだろうし。プライマル・スクリームのボビーが一時在籍していた、という話やドゥルッテイ・コラムのヴィニ・ライリーが楽曲に参加といったことが一番の話題やったりして。




ザ・ウェイクの簡単なプロフィール:
wiki や "Shadowplayers: The Rise and Fall of Factory Records" を見ると、ザ・ウェイクは1981年の4月グラスゴーで結成。ザ・ウェイク結成の少し前、リーダーのジェラルド・マクイナルティ(Gerard McInulty)は、ノートルダム・ハイスクール(Notre Dame High School)に通っていて、在学中の1979年に学友クレア・グローガンらとバンドを始めた。そのバンド名はオルタード・イメージズ。ジェラルドはこのバンドの初期メンバーだった(彼は、彼女らの最初の2枚のシングル "Dead Pop Stars" と "A Day's Wait" を作曲している)。オルタードを辞めたあと、すぐにザ・ウェイクを結成する。そしてオルタード・イメージズは1981年秋にリリスしたデビュー・アルバムがヒットしてしまった(バンシーズの Steven Severin によるプロデュース)。ジェラルド在籍時のオルタード・イメージズの演奏は、1980年10月7日("Dead Pop Stars"他を演奏)と1981年3月2日(""A Day's Wait"他を演奏)のジョン・ピール・セッションで聴くことができる。

ザ・ウェイクは1983年から1987年までの間、ファクトリー・レコーズから2枚のアルバムとシングルを何枚かリリースするも、レーベル側はまともなプロモーションもせず、バンドに興味を示す様子が全くなかった。その態度に彼らメンバーは不満を抱き、やがて自分たちが契約したレコード会社に幻滅してゆく。そして1988年、彼らは所属するファクトリーを離れることした。そして、次に移った場所がブリストルを拠点にしたサラ・レコーズという小さなインディ・レーベルだった。ここで2枚のシングルと2枚のアルバムをリリースするのだが、1995年8月にサラ・レコーズは解散。これによってザ・ウェイクも事実上、活動を停止する。

サラ・レコーズに移籍し、最初にリリースしたのが「Crush The Flowers」というシングルで、この曲のB面に収録されていたのが「Carbrain」という曲だった。A面曲よりもメロディが素直で、それを引き立てるさわやかなアレンジ。なんでこっちをA面にしなかったんだろうと僕は不思議に思いながら、A面をかけずこの曲をよく聴いていた。どこかプリファブ・スプラウトを思わせるキラキラとしたキーボードの音色と、甘く寄り添う女性コーラスは、木漏れ日の中で小鳥がさえずり戯れているようで、耳がくすぐられるような感覚になる。さほど印象に残る曲のないザ・ウェイクだけれども(と言ったら怒られそう)、「Carbrain」は彼らの楽曲の中でも一つ飛びぬけていい曲だと思うし、数あるネオアコ・ソング達の中でも決して他に負けない魅力があるように思うが、これは僕の贔屓目が幾分入っているかも。


TheWake-2EPs-Sarah.jpg
* 画像は右リンクより: http://tagong-boy.tumblr.com/post/159978150691/
"Crush The Flowers" (1989) / "Major John" (1991)
サラ・レコーズからリリースした2枚のシングル。ファクトリー・レコーズ時代のデザインを少し意識したレイアウト。所属する他のバンドは手描きイラストと手書き風の文字の組み合わせが多かったので、ザ・ウェイクのジャケット・デザインはサラではちょっとだけ浮いていたように思う。サラ・レコーズのレコジャケは、予算を抑える為にほとんどが一色刷り、多くても2色刷りだった。写真もコントラストを付け、階調を飛ばしているためプリントごっこで刷ったようなトーンになってしまい、それがまた手づくり感をより印象付けていた。レーベル初期の頃は、オマケのポストカードがリリース毎のシングルそれぞれに封入されていて、どんなのが入っているか楽しみだった(バンドによっては、封入ポストカードの絵柄が異なっていて、何枚かを集め、組み合わせてゆくとミニポスターになるような工夫もあったりした)。サラはあるとき突然ブームのようなものが起きて、最初期のシングル(カタログ番号が一桁台)いくつかは一万円近くの値が付いていた。それがさらにネオアコ・ファンを惹きつける結果になったのだろう、さほどプレス枚数があったわけでもないのに、熱心なリスナーがつくようになって、未だにこのレーベルは人気がある。



ザ・ウェイク「 カーブレイン 」歌詞和訳

The Wake "Carbrain" - Lyrics ( songtexte.com )
http://www.songtexte.com/songtext/the-wake/carbrain-7396f609.html
* 歌詞は「 Songtexte.com 」から。
メロディに合わせた詞の改行・分断はせず、なるべく意味の通る一つの文になるようにした。
またコーラス・パートやサビのリフレイン等で歌詞が重複する箇所は省いてます。



A stream from your mouth of filth gave me dog's abuse and I was so indifferent. I was set apart and I was so ungrateful, had to change my voice just to get a part.
Once you had the taste of cold lemonade, in those days you were made

君の口からとめどなく放たれる悪態は、犬の虐待を受けている気分だったよ。だから僕はまったく知らんぷりだった。僕は距離を置いていたし、ほんと恩知らずだった。歌のパートを得るためにも、声を変えなきゃならなかった。昔、君は冷えたレモネードの味見をしたね。君がうまくいってたあの頃の話さ。



I used to climb that tree, you got the better of me with your Carbrain
あの木によく登っていたね。君の町「カーブレイン」で、君は僕を打ち負かした。



Fell from a stool in a pub where they played punk rock.
The floor in the punk rock club always flattens your hair.
The floor in the friendly club, like revolving doors, fake cheap flashing lights and a new wave track spins in your sore head, that's the best of things

パンク・ロックを演奏してたパブのスツールから落っこちてさ。そのパンク・ロック・クラブの床で、君の髪はいつもぺちゃんこになってたわけだ。気さくなクラブの床は、回転ドアみたいで、偽物っぽい安物のフラッシュの光とニューウェーヴの曲が、君のひどい頭の中でぐるぐると回り続ける。あれは最高だった。




* 歌詞の中に登場する「レモネード」について:
レモネードという飲み物は、ノスタルジーと結びつきやすいんだろうか? 子供の頃にそんなものを飲んでいた記憶なんてないけれど(日本ではカルピスがこれにあたるのかも)、なぜか僕でも少年時代を思い出させる響きを感じてしまう。ザ・ウェイクと同じネオアコ系グループに入る、ドリーム・アカデミーの「Life in a Northern Town (1985)」という曲の冒頭にも「レモネード」という言葉が登場し、曲名どおり「北国の町での暮らし」を回想するように歌詞は続いてゆく。

" A Salvation Army band played and children drunk lemonade, and the morning lasted all day. "

( Lyrics from "Life in a northern town" The Dream Academy )

この曲を書いたニック・レアード=クルーズの幼少時代が歌詞に反映されているのか、あるいは全くの想像によるものなのかはわからないが(彼はロンドン生まれ)、この歌の詩は、どことなくスコットランドのうらぶれた地方都市の光景を想像させる。それともMVの映像が潜在的に残っていて、ただそういう風に思わせているだけなのかも。下記事によると、「Life in a Northern Town」は早逝した英国のフォーク・シンガー、ニック・ドレイクに捧げたものだったそう。ただ、直接ニック・ドレイクについてのものではない。
Pop: Apprentice to the stars (Independent / March 1999)

http://www.independent.co.uk/arts-entertainment/pop-apprentice-to-the-stars-1083050.html
http://www.songfacts.com/detail.php?id=6790



「カーブレイン」

曲名にもなっている「カーブレイン」は、スコットランドのほぼ中央、ノース・ラナークシャーの「カンバーノールド」というニュータウンの中にある町のひとつ。グラスゴーとエジンバラのちょうど中間あたりにある。この曲が出た当時は、そんな事わからないので「Car - Brain」って、車の脳みそ(重要な部分)? なんて思っていた。
「カンバーノールド」は、1955年にニュータウンに指定され(スコットランドでは3番目)、翌年に建設が始まり、1958年に最初の住宅が販売となった。1996年まで開発と管理(プロモーション等)が続く。「カーブレイン」地区の住宅は1960年代に多くが設計され、1963年に建設が始まり1970年代初期にはほとんどのエリアで入居完了。もしザ・ウェイクのリーダー、ジェラルドがこの町で生まれ育っていたのなら、おそらく第二世代にあたるんじゃないかと思う。

SnakeBridge-CumbernauldTownCentre.jpg
カンバーノールドにある Snake Bridge とカンバーノールド・タウン・センター。(画像は下記wikiより)
整地された景観の中に建てられた"新しい"スタイルの建造物は新興住宅地特有のにおいがする。


CDからデジタル、そしてダウンロードの時代になってもうずいぶんと経つ。レコードにはA面とB面という表裏があり、その二つはそれぞれに意味を持っていて役割があったということなんて、もうすっかり忘れられ、意識すらしなくなってしまった。A面はセールスへとつながる期待がかかるため、作る方も力が入るし、その他営業的な思惑やいろんな要素が絡んでくる。一方B面はというと、そうした条件や制約をさほど気にすることなく、わりと自由に作った曲を並べることができる。なもんで、実験的なことや、何か曲作りで試行錯誤している様が出ていたり、あるいは作りこまれていない分、本来の実力が垣間見えたりと、ファンにとってはミュージシャンの素の部分に近いものを感じることができた。CD時代のカップリング曲には、まだそうした名残が少しあった気はするが、曲のばら売りの時代になると、もうそうした要素は一切見えなくなってしまった。その分を Web や blog などから出てくる情報が補完しているとは思うが、あまり多くを知ってしまうのもまたリスナーの想像力が開かない。


ここからは「カーブレイン」を書いたきっかけって何だったんだろう? という事から巡った推察になる。
「カーブレイン」の歌詞を見ていると、ジェラルドが自分の育った町、そして青春時代(多分、バンドの結成前後)を回想しているようにしか思えない。実際どんな店で、誰のことを歌っているのか全くわからないけれど。ハイスクール時代にバンドを結成した彼、ひとつ当ててやろうという意気込みはそれほど大きくはなかったかもしれないが、やはりミュージシャンをやっているくらいだから、そうした期待を少しくらいは持っていたようには思う。ニュー・オーダーのマネージャーの口利きで、ファクトリー・レコーズと契約しレコードを出したところまでは順調だった。しかし、自分が初めの頃に在籍していたバンドが有名になり、また短い期間だけれども自分のバンドで演奏をしていた仲間(プライマル・スクリームのボビー)もまた別のバンドで売れていくのを見て、何か焦りのようなものを感じはじめていただろうとは思う。スコットランドにある人口約7万人弱のニュータウンで若い日を過ごし、やがてイギリス第二の都市マンチェスターでインディ・レーベルとは言え、名の知られたレコード会社に属するまでになった。しかし、バンドの現在はといえばどうだろう、所属レーベル、ファクトリーを支えている先輩格にあたるバンド(ニュー・オーダー等)を越えることはどうにもできない。レーベルも彼らにはお構いなし(もともとそういう無関心な傾向のある会社だった)。いろんなものが積もってゆく中、彼らはファクトリーを去ると決め、新しいレーベル「サラ・レコーズ」へと移った。振り返ってみると、このあたりがバンドとしてのピークだったように見える。
サラでの移籍後第一弾シングル、そのB面曲のタイトルを、誰も知らないようなローカルな地名から取り、その場所での良き日々を振り返るような歌詞を書いたということは、無意識だったのかもしれないが、何か象徴的なものがあるようにも思えてくる。ここで、B面のセオリーというものを考えてみる。ミュージシャンの素の一面が見えるB面曲というあれ。"Crush The Flowers" をリリースした1989年あたりから、英国ではのちに「Madchester」と呼ばれるようになる、マンチェスター・ブームの兆しが始まっていた。自分が見切りを付けたレーベル、ファクトリーがその渦の中心だった。彼はザ・ウェイクを結成し間もない頃のことを、また思い出す。自分から離れていったものが、なぜかうまくいってしまうという不思議。同じことが二度起こっているような錯覚を、サラでの日々で受け止める。そして、サラから出した最初のアルバム「Make It Loud(1990)」は、マッドチェスター・ブームを意識し、そのダンス・サウンドを思いっきり取り入れた音だった。愛想を尽かし自ら去った、かつての古巣、ファクトリー・レコーズ時代の音を再び演じているようなレコード。決して新しいタイプの音ではなかった。
1990年、ザ・タイムスというバンドが「Manchester」という、ほとんどマッドチェスター賛歌といっても過言じゃないくらいの街名を冠した歌をリリースする。ザ・ウェイクの「カーブレイン」とはまた違ったアプローチの音と歌詞だが、何かが細くつながっているような感じがある。


Carbrain - wiki
https://en.wikipedia.org/wiki/Carbrain
https://en.wikipedia.org/wiki/Cumbernauld



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2017年03月27日

歌詞和訳:"Some Things Cosmic" by Angel Olsen

AngelOlsen-PitchforkMusicFes-2013-Capture.jpg
*下動画のキャプチャー画像。*最後に歌詞の和訳載せてます。

下の埋め込み動画は、エンジェル・オルセンの「Some Things Cosmic」、2013年ピッチフォーク・ミュージック・フェスティヴァルでのライヴ演奏。彼女の穏やかな歌声に浸り、静かに聴き入る観客の姿が映しだされる瞬間はこの動画のハイライトの一つだと思う。オルセンの歌声は誠実だ。今日もし100人の観客を目の前にし歌っていたとしたなら、明日は101人の人に聴いてもらおう、そしてあさっては102人の人に、という風に、決して先を急がない。自分の届けられる歌声を、一人一人本当、大切に伝えているように見える。ステージではギター片手に、マイクの前にりりしく立つ。派手で奇をてらったパフォーマンスをして、短い注目を浴びることなんて決してしやしない。そんな事をしなくても、自分の歌がちゃんと皆の心の奥に響くことを知っているんだろうな。いつまでもつい口ずさんでしまう歌ってそういうものなんじゃないかと。

この曲はオルセンの中でも一番好きな曲で、歌詞の訳をしたかった。歌詞の中で使っている言葉自体はシンプルで、難しい単語なんかはないけれども、どうにも意味が深く読めるせいで色々考えはじめてしまった。和訳の下に記した(グレー文字の)注釈にもあるように、"cosmic force" のところで止まったり、" I don't mean my body" の mean や、冒頭の "draw" の意味合いが難しくて、そのまま放置した状態になっていた。見てみると、下書きをしたのが一年前の二月だった。




Angel Olsen - "Some Things Cosmic" - Pitchfork Music Festival 2013

エンジェル・オルセン「Some Things Cosmic(宇宙にちらばるもの)」歌詞和訳
* 上の邦題は歌詞の内容からイメージして、僕が勝手に付けたもの。
メロディに合わせた詞の改行・分断はせず、なるべく意味の通る一つの文になるようにした。
またコーラス・パートやサビのリフレイン等で歌詞が重複する箇所は省いてます。



Before we draw my dear dear friend, I promise you my word. If we should part my dear dear love, you know you're in my heart. And though I may be getting older, know that I'm going with you, know that I'm hanging on to the things that you said.

大切な友を思い描く前に、僕は君に約束するよ。
もし、ぼくの大事な愛が引き裂かれたとしても、僕の心の中には君がいる。そしてそう、僕は年をとっていくんだろう。それでも君と一緒にいるんだろうね。そして君の言ったことに捉われ続けるんだ。


* my word: "You have my word" で「約束する / 保障する」って言い回しがあって、いいフレーズだなと思った。他 "on my word" で「誓って / 必ず」というのがあったり、英語圏では「自分の言った言葉(my word)」が、その人の「責任」や「信頼」を表すものとして捉えられているのかな? キリスト教文化による、神との契約が何よりも先にあることも背景にありそうだし。言葉や文字の記録が人を定義し、社会を形成・発展させてきた文化がこうしたところに滲み出ているような気がした。


I've felt my soul rise up from my body when I look into your blue eyes.
If cosmic force is real at all, it's come between you and I...
I want to be naked, I don't mean my body, I don't need my body, I'm floating away.

君の青い瞳をのぞきこむと、僕の身体から魂が湧き上がるのを感じるんだ。
もし宇宙の真理が存在するとでもいうのなら、それは君と僕とを隔てるもの。
僕はありのままでいたい。身体は重要じゃないんだ。身体なんていらない。僕はどこかへと漂い消えてゆく。


* cosmic force: 単純に訳すと「宇宙の力」になるけれど、精神的・スピリチュアルな深い意味がやっぱりあるように思う。宇宙の法則というかそういう感じのもの。宇宙論の言葉を使うと「人間原理」に近いんじゃないかと思い、少しそのニュアンスを残した造語で "宇宙原理" というのも考えてみたり。そして、母に聞くと「運命みたいなものかな?」という返事があって、ああ確かにその言葉はすごくしっくりとくる。それをヒントに天命や宿命のような意味合いも考えてみた。結局今回は僕のファースト・インプレッションだった "宇宙の真理" にした。と、けっこう真剣に訳してるんだな。


"Some Things Cosmic" - Lyrics (*歌詞は「 Songmeaning.com 」から)
http://songmeanings.com/songs/view/3530822107859446129/


"Some Things Cosmic" by ANGEL OLSEN (at NYC, Apr. 2011)
Cap-AngelOlsen-SomeThingsCosmic-16.Apr.2011.jpg
http://tavola-world.seesaa.net/article/434028332.html
以前、この曲のインストア・ライブを紹介していた。リンク先にある動画では「Some Things Cosmic」のあとに「Drunk And With Dreams」を続けて歌っている。


ピッチフォークでの貫禄を見せたライヴ演奏ももちろんいいけれど、上リンク先のインストア・ライヴ・パフォーマンスは、よりエモーショナルだ(観客の数はずっと少ないとは思うが)。まだこの曲を発表して間もない頃、そしてデビューしたての時期ということもあってか、オルセンは、最近のあくの抜けた歌い方とは違った特徴的な歌い方をしている。抑揚的な声、そして何か魂の奥底から湧きあがるものを観客にぶつけているようなところがあり、心震えるものがある。
"Some Things Cosmic" は2010年にカセット・テープでリリースした彼女のデビューシングルに収録されている。このカセットは6曲入りでミニアルバムといった趣、2011年にBathetic Recordsよりアナログ盤で再発された。カセット・ヴァージョンの "Some Things Cosmic" はエコーが効いていて幽玄的、歌詞をほんと大切に歌っている感じがして新鮮だ。がらんとした廃墟の中で録音したかのように乾いた音で、マジー・スターのデビューアルバムが思い浮かぶ。

"Some Things Cosmic"のオリジナル・ヴァージョン:
https://www.youtube.com/watch?v=W0f6c9BYI48

Angel Olsen ‎– Strange Cacti (オリジナルのカセット・テープと再発盤のレコジャケ)
AngelOlsen-StrangeCacti.jpg
https://www.discogs.com/ja/Angel-Olsen-Strange-Cacti/master/327460
(画像は discog.com より)



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2017年02月08日

歌詞和訳:"A Forest" by The Cure


The Cure - A forest *最後に歌詞の和訳載せてます(+PDF版も)。

TheCure-AForest-7inch.jpg
https://www.discogs.com/ja/Cure-A-Forest/release/237453
*画像は discogs.comより

「A forest」のレコジャケとコレクター話
この曲のシングル盤カバー・ジャケットにはデザインのクレジットが載ってないが、2ndアルバム・アルバム "Seventeen Seconds (1980)" からシングルカットされたものなので、アルバムのデザインを担当していたビル・スミスによるものだと思う。写真のポジ・ネガ像を表と裏に配置し、バンド・ロゴを入れただけのシンプルなデザイン。ここしか置く場所がない、という位絶妙な場所にレイアウトされた白抜きのロゴは、正方形の枠内で、写真下半分の暗くなった部分と上の明るい部分との濃度バランスを保っている。そして、曲名が(良く見ないとわからないくらい)すごく小さくなっている点からも、全体のデザインを優先して作られたんだと思える(メジャー・レーベルだと曲名を大きくしろなど、営業優先的な意見の方が強くあって、デザインとしてバランスの悪い仕上がりになることが多い)。この雰囲気たっぷりな森の写真は、想像力を引きたてる何かがあるような。ポジ像反転した裏ジャケの黒い部分を拡大しよく見ると、そこには写ってはいないはずのものが…ギャー! てなことはありません。

ザ・キュアーのスリーヴ付・初期シングル(1980年はじめ頃まで)は、僕が学生時代、レコードをよく買っていたときからすでにレアだったため、なかなか手が出なかった。なので、こうしてweb上でこの時期のジャケを見ただけでも、条件反射で思わずオオッ! とため息が出てしまう。刷り込みって怖い。「A Forest」のアナログは見かけなくはなかったが、店頭では5,000円位してた。日本の中古レコード屋で値付けされていたレコードの価格を、今一度考えてみると、数の少なさに対する欲しい人の割合、つまり需要と供給からくる適度な価格調整はもちろんあっただろうし、それが一番反映されるものだは思うが、もう一つ、海外買い付け費用が上乗せされていて、それが大まかな価格ラインを保ち底上げしていたのはもっと想像つく。今のように航空運賃は安くはなかったし、為替の手数料、滞在費は当然のこと、日本への送料だって重量あっただろうからバカにはできない(特にユーロ誕生前のヨーロッパのローカル・カレンシーと日本円の交換には相当手数料がかかっていたように思う)。現地のレコードはまだ安くても、日本に送られ店に並ぶとどうしても、倍々くらいにはなっている。値段がそういうもんだと一度認識してしまえば、それがいわゆる相場価格になって、買う側にも定着してしまうし、また基準にもなってしまう。僕たちが店頭で見ていたレア・レコードの値段っていうのは、どこまでが本来のものだったんだろう? 最近のネット・オークションなどでの落札額をみていると、当時も今もさほど変動ないものが意外とあって、このあたり、状態のいいレコードの希少度はより増してはいるが、今度は求める人が微減してきている表れなのかなとか、まぁケースバイケースにはなるんだと思うけれども、価格の変遷を色々想像し見ていくと面白い。
そういえば、イギリス盤の7インチ・シングルは初回プレス分にだけ紙のジャケットが付いている場合が多い。これにはひとつ理由がある。シングル曲の売れる期間というのはよっぽどのヒット曲でない限りそう長くはないため、レコード会社は早々と売り切って、在庫を抱えたくはない。そのため(特にインディ・レーベルの場合は)プレス数は多く見積られない。初回生産分は捌けたものの、売れ行きの勢いが続くとは期待できないがバックオーダーがある程度あった時など、シングルの再プレス盤にはたいてい(印刷コストを抑えた)内袋だけしかない、ジャケなしのレコードが市場に出回る。


「A forest」のちょっとした思い出
僕にとって「A Forest」は、けっこう思い出ある曲で、聴くとその当時、学生だったときの記憶が甦ってくる。その昔、クラスメート3人とバンドを組んでいたことがあって、そのときに演奏していたのがザ・キュアーの曲だった。確か「A Forest」と「The Walk」という2曲を最初に演っていた。皆ビギナーだったから難しくない曲を、という理由でまず選んだ。僕たちのバンドは楽器のパートでもめることは無く、ドラムス、ギター、ベース、キーボードとそれぞれ第一希望の楽器ですんなりと振り分けできた、誰がヴォーカルを取るかという問題だけを残して。思春期の自意識過剰さから遠慮を口にしながらも、誰もが「お前やれよと」いう一声が自分に向けられるのを待っていて、引き下がりすぎないようにわずかな自己アピールも忘れず見せるのだった。そうして、いざスタジオに入り練習していくうちに、ちょっと別な問題が出てくる。僕のいたクラスは女子の数が3/4ほどと、男子の割合が少ない状態で、ごく一般的な学級構成とは違っていた。その数少ないクラスメートの中でメンバーを集めたものだから、音楽の趣味とバンドへの真剣度合いがどうにもかみ合わず、僕を含めた手探りでのんびりやって行こう派と、いや、テクを追求して学校で一番になろうぜ派の二つに分かれるようになってしまい、段々と方向性が合わなくなってゆく。結局この小さな溝は埋まらず、学園祭のステージに出ることを最初の目標にはしていたものの、バンドは夏休みになる前に自然消滅した。僕にとっては、自分に楽器演奏の才能はないという事がはっきりと分かったので、とてもいい機会だった。

今回改めて歌詞を見てみると、ザ・キュアーの詞ってシンプルだけど、想像力膨らむというか、頭の違ったところで別なイメージが湧くところがある。この曲は不思議の国のアリスとカフカっぽい雰囲気があって、シュールな世界へと入っていけそうだ。


ザ・キュアー「 A Forest(少女喪失の森)」歌詞和訳
* 上の邦題は歌詞の内容からイメージして、僕が勝手に付けたもの。キュアーの歌が持つファンタジー性やユーモアがうまく出てるような感じがして、個人的には気に入っているんだけど、どうだろう。

* 歌詞は「 Songmeaning.com 」から(アドレスは最下記に)。
メロディに合わせた詞の改行はせず、なるべく一つの文になるようにした。またコーラス・パートやサビのリフレイン等で歌詞が重複する箇所は省いてます。



Come closer and see, see into the trees, find the girl while you can
Come closer and see, see into the dark, just follow your eyes
I hear her voice calling my name, the sound is deep in the dark
I hear her voice and start to run into the trees

近づいて見てごらん、茂みの中をじっくりと。女の子を見つけてみて。
近づいて見てごらん。暗闇の中を覗きこんで、視線をたどるんだ。
僕の名を呼ぶ彼女の声が聞こえる。その声は低く暗闇の中で漂う。
彼女の声を聞き、僕は茂みの中へと走り出す。


* 参照した歌詞サイトでは下線部の箇所が "if you can" と書いてあるが、アルバム・ヴァージョンを含め他いくつかのヴァージョンを聴いてみるとロバート・スミスは「while you can」と歌っている。


Suddenly I stop but I know it's too late, I'm lost in a forest all alone
The girl was never there, it's always the same
I'm running towards nothing again and again and...

僕はふいに立ち止まる、もう手遅れだと分かっているけれど。
僕はたった一人、森の中で迷ってしまった。
女の子はそこにはいなかった。いつも同じだ。
僕はどこを目指していいのかわからず、ただ走っている、何度も何度も…。



The Cure "A Forest" - lyrics (Songmeaning.com)
http://songmeanings.com/songs/view/7498/


ローリング・ストーン誌が行った「読者が選ぶザ・キュアーのベスト・ソング」で「A Forest」は2位に選ばれている。ザ・キュアーにはメロディのいいポップな曲が他に沢山あるし、さほどポップでもなくまた大ヒットをしたわけでもないこの曲がなんで人気なんだろ? と、この結果にはちょっとビックリしたが、まぁ、ファンはちゃんと分かってるということか。
Readers' Poll: The 10 Best Cure Songs (Rolling Stone, June 2016)
http://www.rollingstone.com/music/lists/readers-poll-the-10-best-cure-songs-20160629/a-forest-20160629



PDF版(*上記事のテキストをPDFにしたもの / A4 / 0.2MB):
A4-BLOG-TheCURE-Forest-LyricsTranslate.pdf



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2017年01月10日

歌詞和訳:"Finish Line" by Jannine Weigel


Jannine Weigel - Finish Line (Official Video)
*最後に歌詞の和訳載せてます。

この曲、メロディも歌詞もアレンジもすごくいいのに、第一印象で、音と MV の映像がいまひとつかみ合ってないような気がした。何だろう、ショーケースの中に生身のお人形を閉じ込めるスタジオ・セットは、90年代頃のエイベックス系 MV を連想させるし、K-POP 風のダンサーを従え踊りを見せるところなど、特に目新しいものでもなくそこがちょっと惜しいように思うも、何度か見ているうちに慣れてしまったり。まぁでも、きっと腕利きのヘアメイクがばっちりといい仕事をしてくれたお陰で、赤紫の髪やPearlyなメイクは主役をより大人っぽくみせているし、彼女の歴代 MV の中では断トツにカワイイ。この曲のMVは全部で3バージョンあって、上の埋め込みがオフィシャル、もう一つは引いたカメラアングルで全体の踊りを見せる「Dance version」で、残り一つが歌詞だけを載せた「Official Lyric Video」。リリースは2016年の5月。去年の夏によく聴いていた。




ヤンニーン・ワイゲルという女性シンガー。彼女をタイのテイラー・スウィフト、というと大げさかもしれないので、歌姫ぐらいで止めておいた方がいいのかもしれないけれど、まぁでもタイを中心に東南アジアではけっこう人気があるのは確かだと思う。日本でも彼女を紹介している記事は沢山あるので、知ってる人も多そうだ。 "Jannine" という名前はタイ語なのかと思っていたら、ヘブライ語が由来らしく "God is gracious(神は慈悲深い)" の意味だそう。僕は、テイラー・スウィフトの「Blank Space」をカバーした動画を見て彼女のことを知ったんだけれども(タイ語アクセントのあるねちっこい発音で歌っている)、「アナと雪の女王」の主題歌をカバーした You Tube での動画が多分一番有名だと思う。縞々のフードをかぶって、けな気な表情で歌うやつ。

JannineWeigel-LetItGo-capture.jpg
Let It Go (OST.Frozen) - Demi Lovato cover by Jannine Weigel
https://www.youtube.com/watch?v=k9YDgOM2who


about Jannine Weigel(簡単なプロフィール):
ぎりぎり20世紀の2000年にドイツで生まれたタイとドイツのハーフ。"Millennials" と "ジェネレーションZ" の両方にかかる世代(あるいは狭間か)になるのかな。その後、2010年にタイへと移り住み、モデルやコマーシャルの仕事を始めるも、歌手に興味が向き、約3ヶ月ヴォイス・トレーニングを受けたあと、タイで人気の子供向け歌番組「Singing Kids」に出演し3位を獲得。2012年、タイの有名なエンタメ企業 GMM Grammyと契約する(日本のAvexみたいな感じかな?)。アーティストになるまでの訓練期間を経たのち、ソロ・シンガーとしてデビューする。ひとつ今の時代だなと思ったのは、デビューに至るまでのインターン(プロモーション?)期間に You Tube で沢山のカバー曲をアップし、彼女の歌声を浸透させる方法をとってファンを増やしていったところ。

Jannine Weigel (official & wiki)
https://www.jannineweigelofficial.com/
https://en.wikipedia.org/wiki/Jannine_Weigel



ヤンニーン・ワイゲル「フィニッシュ・ライン」歌詞和訳
*歌詞は「 Musixmatch.com 」から(アドレスは最下記に)。
コーラス・パートやサビのリフレイン等で歌詞が重複する箇所は省いてます。


Right now I wanna feel my feet on the ground
Somehow I know I'm moving but I won't look down
Though my heart is racing it won't stop, I'm breathing strong but I won't drop, and every corner that I turn, I'm Pushing harder feel the burn, but I'll never fall

今は地に足をついていたいの。前に進んでいるのはわかっているけれども、下を見ないでいよう。
心がはやって止まらない。息を強く吸いながら、でも落ちないように。
そして、曲がり角に来るたび、熱い気持ちを感じていっそう自分を急き立てる。だけど屈しはない。


* 「I'm moving」は引っ越すよ、だと思うけどトライリンガルのハーフの女の子が使うタイ・イングリッシュのように感じるので(日本でもネイティヴ英語とは違った意味に変化し定着した和製英語があるように)、ここは広い意味合いでの「Move」なのかと。


Even though you're tired push on through, don't give up you'll get through
People always say what you can't do, but just stay true push on through
Oh I tried and I tried and I tried and I tried
Couldn't see where it begins, couldn't see how it would end, but I know oh I know yeah, I know the victory's mine, when I cross the finish line

たとえ疲れていても、自分を押し通して、あきらめないで乗り切るの。
君には出来ないだろう、なんて人はいつも言うけれど、前進し続ける気持ちに忠実でいて。
ああ、何度も何度もやってみた。始まりがどこなのかわからない、どう終えるのかもわからなかった。
でも、分かる。ゴールラインを越えたときが、私の勝ちなの。


*「Victory is mine」=私の勝ち、勝利はもらった、の意味。


Look up the sun is coming out from the clouds above
The rain is gone there's no stopping now
Though your heart is racing it won't stop, you're breathing strong but you won't drop, and every corner that you turn, you're Pushing harder feel the burn, but you'll never fall

ねえ見上げて。上空を漂う雲から太陽が顔を出している。
雨はすっかりと止み、もう邪魔するものはない。
君の気持ちははやって止まらない。息を強く吸いながら、でも君は落ちはしないだろう。
そして、君が曲がり角に来るたび、熱い気持ちを感じていっそう自分を急き立てる。
だけど君は屈しない。


*「fall」は歌詞の流れから、降伏、降参の意味合いでとった。


"Finish Line" Jannine Weigel - Lyrics (Musixmatch)
https://www.musixmatch.com/ja/lyrics/Jannine-Weigel/Finish-Line

JannineWeigel-FinishLine-MV-Capture.jpg
*MVから取ったキャプチャー画面。


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