2013年09月24日

Brick Fields in Dhaka (3) -Bangladesh-

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数百年前の世界に迷い込んだかのような光景だった。

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煙突と四角いブロック、煙突と四角いブロックの繰り返し。はてしなくレンガ工場が続く。

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これほどのレンガが日々造られ、消費され続けるということに驚く。ここダッカにある工場の規模は確かに大きいが、レンガ工場はバングラデシュ全土にあるので、この国で造られるレンガの総生産量となると想像すらつかないものになるのだと思う。

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焼きあがったレンガと天日干し中のレンガ。積み上げられたレンガ(在庫)は、まるで要塞か城砦のようなたたずまい。ここでピラミッドやバベルの塔のような巨大建造物をつくると面白いなぁと思った。

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青空に黒煙がもうもうとたなびく。

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レンガと白い川砂のコントラストが美しい。

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窯の上からの眺め。レンガ工場の一帯は、熱を帯びた砂塵が舞っているので肌がちりちりと痛む。長くいると皮膚呼吸ができなくなるせいか、息苦しさと脱水症状とで身体がしびれはじめる。

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夕日を浴び朱に染まるレンガ。この山(壁)は子供たちが積み上げたもの。

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夕暮れ景に浮かぶレンガ工場の煙突を見ていると、どこか懐かしい気持ちが芽吹いた。その種を探っていくと、子供のころに通っていたお風呂屋さんへ向かう一本道が思い浮かぶ。今では随分と数が減ったが、日本の街中にある煙突といえば、瓦屋根の連なりから突き抜けた風呂屋の大きな煙突がそうだった。

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焼き上がったレンガは工場のすぐそばを流れる川からバングラデシュ各地に運ばれる。船が沈む寸前までレンガが積み込まれている。大丈夫?


孟加拉国 | 達卡 (达卡)
バングラデシュ、ダッカ
Dhaka (Dacca), Bangladesh
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2012年11月12日

"SAVAR" Brick Fields in Dhaka -Bangladesh-

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レンガ運びの青年。なぜか風向きを気にしていた。

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大きい方の煙突は、120フィート(約36m)。小さい方は50フィート(約15m)。

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ダッカ郊外にあるレンガ工場「シャバールにて。ここでは一日に約十万個のレンガ・ブロックが生産されている。一基の窯(一区画)で一日に一万個のレンガが作られており、この工場は十基の窯を持っているので、一日に十万個の生産能力がある。僕がこの工場を訪ねた日は、ちょうど新しい機械を設置するところだった。そのため、夕方から搬入のため人手が割かれていた。機械を設置する場所は敷地の隅。レンガを成型する大型の機械で中国製だと言っていた。こんなところにもオートメーション化の波がやってきている。

バングラデシュのレンガ工場では、レンガ・ブロックは一つ一つ、人の手で木枠の箱に泥土を押し込んで型取り、原型がつくられている。この一連の作業をする職人の手さばきは、芸術的で本当に見事なもの。人の手で型取りし、焼き上がったレンガ・ブロックは一つが約2.8kgの重さがあり、6-7タカで取引される(include priceという言い方をしていた)。一方、機械で造られたものは、約3kgと手製のものよりも200gほど重い。さらに、一つあたり7-8タカと、取引価格も上がる。機械で成型したレンガブロックの方が、手製のものより強度があるとのこと。

この話を聞いて興味深かったのが、機械で作ったレンガブロックの方が手製のものより値段が高いということだった。人件費よりも機械の方がコストがかかるなんて面白い国だなぁと少し驚いた。人手が有り余っているのか、大型工作機械の普及が遅れているからなのかはわからないけれど、労働力と生産性の需給バランスが、日本とえらく違うんだなと感じた。

(バングラデシュでは、ミネラルウォーター・2リットルが22タカ、市内のローカルバス運賃が10タカ、チャー一杯が5タカ。おおよその物価から比較すると、6〜8タカのレンガの価格は日本で言えば5、60円くらいの感覚)

窯に付いた煙突から出る煙をろ過するフィルターというものがあって、これを取り付けると環境に影響のある有害物質を除去することが出来るのだそう。その営業でこの工場を訪れていた人がいたので少し話を聞いた。営業マンといっても、ビシっとスーツ姿できめていたわけでもなく、大きな幾何学模様の刺繍が入った黒の長袖のシャツを着ていた。どちらかというと普段着に近いラフな格好だったので、最初はここの工場の人かと思っていた。
バングラデシュには、全国で約16,000ものレンガ工場があるそうだ(バングラデシュの国土面積は、日本の約40%弱で、現在、日本の書店数がおおよそ15,000軒ほど。この数字からバングラデシュのレンガ工場が、どれくらいの密度であるのかがおおよそ想像つくと思う)。そのうちのわずか1〜2%(約200から300基)にしか、ろ過フィルターが取り付けられてないという。先進国が率先し、全世界的に環境に対する意識が高くなってきていることは、バングラデシュにも現れている。営業マン曰く、そういった機運が煙突のろ過フィルターの推進をわずかではあるけど後押ししているのだそうだ。ただ、設置にはコスト面でけっこうな費用がかかるので、それが足を引っ張り、まだ全体で1〜2%の普及率という数字になっている。煙突一基あたり、62,000ドル(多分、僕の聞き間違いか相手の言い間違いで、これより一桁少ないと思う)かかるのだそう。
このレンガ工場「シャバール」では、すでに一基フィルターを取り付けていた。ここはレンガ・ブロックのオートメーション化にも積極的だったし、設備投資には力を入れている様子で、けっこう儲かってそうな感じがした。


・国の面積順リスト
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E3%81%AE%E9%9D%A2%E7%A9%8D%E9%A0%86%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88

・書店数の推移 2001年から2011年
http://www.1book.co.jp/001166.html


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このレンガ工場で働く労働者。昼食前に身だしなみを整えているところ。

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焼き窯のすぐ隣にある労働者たちの住居。

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新しい木枠を持って、レンガ成型職人のもとへ向かう少年。

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焼きあがったレンガを窯から運び出し、外に積んでいるところ。

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夕日を浴びると、レンガブロックは燃えるような色に変わる。

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焼き上がったレンガの壁から。

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中国製のレンガ成型機。バングラデシュの国旗を模したカラーリングだけど顔色の悪い宇宙人みたい。

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粘土をレンガの型枠に押し込めるところ。

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掘り起こされた粘土の山。

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窯入れ前の、天日乾燥させたレンガブロックが果てしなく続く。

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主任だという人に、工場のひと通りを案内してもらい、さぁ撮影しようと張り切っていたところ、ちょうど昼飯の時間だから(写真なんか後回しにして)一緒に食おうと、まかないをごちそうになった。ここでは、ご飯をみんなで食べることの方が大事そうだった。主任の男は案内の最中、カメラを構えて立ち止まる僕を何度も諌め、やや機嫌が悪かった。あとで分かったのだけど、彼は昼飯のひと時をすごく気にしていたのだった。バングラの人は親切だなぁとしみじみ思う。バングラの人たちは皆、手で混ぜて食べるのだけれど、きっと僕がそれに不慣れなもんだからと、気を利かせてスプーンを用意してくれた。

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*別の工場で撮った写真だが、レンガの型枠を作っているところ。

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夜になっても作業は続く。

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孟加拉国 | 達卡 (达卡)
バングラデシュ、ダッカ
Dhaka (Dacca), Bangladesh
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2012年01月09日

Brick Fields in Kolkata -India-

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バングラデシュと同じ、パンケーキタイプの窯。
コルカタのレンガ工場では、この方式のものと、地中に焼き窯があるタイプのものがある。

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レンガの積み方が装飾的で、洒落っ気を感じる。

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レンガ運びのおっちゃん。真っ赤なシャツが似合ってる。

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乾燥したレンガを窯から運び上げるのは人力で、レンガブロックを10個運ぶと青のチップ、8個だと緑のチップを受け取っていた。

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窯焼きの青年。

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コルカタ郊外のレンガ工場。

(ここはインドですがベンガル地方なので、「バングラデシュのレンガ工場」のカテゴリに入れている)



印度 | 加爾各答(加尓各答)- 西孟加拉邦
インド、西ベンガル州・コルカタ (カルカッタ)
Kolkata (Calcutta), West Bengal State, India
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2011年12月17日

煙突

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年季の入った煙突。いったい何が染み出ているのやら。。

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この一帯に並ぶレンガ工場の煙突は、おおよそ200フィート(約60m)以上もあり、大きく迫力がある。


1 feetは約30.48cm

孟加拉国 | 達卡 (达卡)
バングラデシュ、ダッカ
Dhaka (Dacca), Bangladesh
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2011年12月11日

レンガ運び職人(2)ウパルプルとダッカ

■ ウパルプル(マイメイシンの北、フルプール -Phulpur- との間にある小さな村)のレンガ工場にて
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レンガの粉がドーランのように、顔に降りかかっていて彫刻のようになっている。

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ちょいと一服。

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「あいつ、いつも煙草ばっかりすって、さぼってばっかりなんだよな」と、同僚にあきれて怒っているわけではありません。

バングラデシュのレンガ工場をいくつか周っていて、ふと気づくことがあった。それは、レンガを運ぶ男たちの顔が皆似ているということだった。レンガから出る赤い粉を被りながら、黙々と運び続ける男たちの顔つきが、どこの工場に行っても同じように見えた。最初は「あれ、この人、前に行った場所にいた人じゃないか、奇遇だな」と、しげしげと顔を見入っていたのだけれども、相手は首をかしげたままだったので、やがて別人だと気がついた。そんなことが工場に行くたびに、毎度のようにあったので、人間の顔というものは職業によって、変わってくるんじゃないだろうかと思うようになった。あるいは、生まれついての顔つきといものは、その人物が何を成すべきなのかを表しているようにも思えた。


孟加拉国 | ウパルプル・麥門辛 (達卡 / 达卡地区)
バングラデシュ、マイメイシン・ウパルプル(ダッカ地区)
Upalpur, Mymensingh, Dhaka Division, Bangladesh

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■ ダッカにて
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かなり規模の大きい窯。

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運んでも、運んでも終わらネー。

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鉄錆色の粉が降り積もる。


孟加拉国 | 達卡 (达卡)
バングラデシュ、ダッカ
Dhaka (Dacca), Bangladesh
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2011年12月06日

レンガ運び職人 (1) チャパイ・ナワブガンジ

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脅威の14個乗せ(奥のひと)。

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レンガ工場での最後の仕事となるのは、焼き上がったレンガを窯から運び出し保管場へと移す作業になる。男たちは、レンガをひとつひとつ手に取り、焼き上がりを確かめた後、頭に乗せて運んでいく。不良品はその場で投げ捨てられる。デリケートなレンガゆえ、この行程は機械を使ってはできないだろう。

男たちは両手でレンガをつかみ、二つずつを頭の上に乗せていく。重心を崩さぬように慎重に、それも見事な早さでやってのける。レンガを三重、四重と積み重ねるにつれ、レンガくずがざらざらと、顔から肩へとなだれ落ちる。その度に、朱の煙が立ち上り視界をさえぎるが、何ごともないかのように、レンガを運んでしまう。

レンガを頭に乗せ運ぶ男。一見、なんなく乗せてるように見えるが、12個ものレンガ、約40kg弱を、頭と板で支え、落とさないようバランスをとり、運ぶのは難しい。この兄ちゃんは頭にレンガを乗せたあと、最後に両手に4個のレンガを持ち一度に16個運んでいた。
ここにいる男たちは皆、屈強な体格をしている。


孟加拉国 | 诺瓦布甘杰 (拉治沙喜区)
バングラデシュ、チャパイ・ナワブガンジ (ラッシャヒ地区)
Chapai Nawabganj, Rajshahi Division, Bangladesh

2011年11月22日

Portraits - "The Rolling" Men

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窯内は凹んでいて空気がこもってしまうので、サウナのように汗がびっしりと吹き出る。

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バンガリに積んだレンガを窯に並べているところ。

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レンガを100個運んでもらえる「チケット」。一枚が9タカになる。

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焼き釜とレンガ・ブロックを積んだバンガリ。

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午後の仕事が終わって暇そうにしていた兄ちゃん。


ノバブゴンジにあるレンガ工場で撮影していると、ここの工場長らしき男が現れ、工場を一周し、ひと通りをを案内してくれた。新しくなったばかりの煙突の前に立ち、見上げながら感慨深く嬉しそうにしていた。少し経ったところで「ちょっと見せたいものがあるからこっちへ来い」と腕を引っ張るので、あとをついていく。煙突の反対側へ行くとトラックと20人ほどの男が集まっていた。これから「ローリング」という作業が始まるとのだそうだ。ローリングとは、天日したレンガ・ブロックを焼き窯へ運び積み上げる作業のことを言う。ブロックを何度も往復して運ぶ様子から「Rolling」という名がついたのだろう。

間もなくして、トラックの荷台にぎっしりと乗った灰色のレンガ・ブロックを、バンガリという荷台車に積み直す作業が始まった。バンガリの荷台には100個のレンガが乗せられる。これを煙突を囲む窯へと運び入れる。積み終わり、窯を出るときに工場の印が押された「チケット」と呼ばれる小さな紙が、運び人に渡される。これが彼らの一回分の報酬になる。1チケットは9タカ。レンガ・ブロックは一個約3-4kgあるので、レンガを100個分を積んだバンガリは300〜400kgの重さになる。3回運び込むと約1トンの荷物を運んだことになり、その報酬は9タカ×3回で27タカだ。27タカというのが、おおよそどれくらいの金額かというと、バングラデシュの食堂でダルと呼ばれる豆のスープと、ロティを数枚頼むとおおよそ20 - 25タカほどになる。なので、日本で言えばトーストと目玉焼きの付いたモーニングのセットぐらいの感覚だろうか。1トンの荷物を運んだ労働の報酬が、軽食一回分というのは決して割りに合うものとは思えなかった。労働に相当する以上のカロリーが取れるほどの食事を、一日の報酬でまかなえているのだろうかと。

ブロックの乗った300kgの荷台車は、どれほどの重さなのだろう?一度、試しに、車を押すのを代わってもらった。しかし、僕がハンドルをにぎり、台車を前に動かそうといくらふんばっても、台車の細いフレームがかすかに震えるだけで、うんともすんともいわなかった。僕は、9タカ分の荷物を運ぶことすらできなかった。手の平を見ると真っ赤なハンドルの形がついていた。

このとき、ポケットの隙間から、一部始終を見ていた100ドル札が、力の足りない僕を見て笑っていたのを聞き逃さなかった。「なんで俺は9タカも手にできない情けない奴のポケットの中で、4つ折にされ、窮屈な思いをしながら入ってなけりゃいけないんだよ」と、持ち主に恵まれなかった自分の境遇に落胆し、さらに嘲笑するような笑い声だった。

後日、ドルからルピーへ両替しようと、このベンジャミン・フランクリンの描かれた100ドル札を銀行の窓口に差し出したところ、まだこの時のことを含んだようにニヤついていやがったので、思いっきりその面をひっぱたいてやった。そうしたら、ベンジャミンは仏頂面をして表情の失せた顔つきになった。窓口にいた係の男は、一瞬驚いた様子で、あわてて机の引き出しを開け、何か探しものをするふりをして目をそらした。紙幣は、逃げるように、この引き出しの中へと滑り込んでいった。引き出しの奥では、三角定規やコンパスたちにかくまわれていた。電卓の仲介でベンジャミンからガンジーへの引継ぎが行われていた。ベンジャミンと入れ替わるように、ガンジー(インド紙幣)が卓上に現れた。

両替を済ませ、銀行を出る。ベンジャミンに代わって、ガンジー(インド紙幣)が手の中にある。ガンジーは財布に入る前に僕に一言諭す。「さっきの様子を見ていたけれども、ビンタはいかんなぁ。たとえ、小さくても暴力では何も解決はしやしないんだから。あんたたちに何があったのかは知らないけれどさ」と。たしかに、少し大人気なかったなと反省した。いつか、どこかで、頬が赤くはれて不機嫌そうな顔をした肖像の100ドル紙幣と再会することがあったら、このときのことをわびよう。
「今度、会った時にはあやまっておくよ」と言うと、ガンジーはにっこりと微笑んだ。"使い古されたお札のような"しわくちゃな顔をしていた。


孟加拉国 | 诺瓦布甘杰 (拉治沙喜区)
バングラデシュ、チャパイ・ナワブガンジ (ラッシャヒ地区)
Chapai Nawabganj, Rajshahi Division, Bangladesh

2011年11月17日

Portraits - Workers of Brick Fields in Dhaka

■ 炭男 (Coal Miller)
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窯でレンガを焼くための燃料となる石炭を、細かく砕いているところ。粉砕機のまわりは、炭の粉塵が一面に舞う。空は晴れているのだけれども、ここから空を見上ると視界は真っ暗だ。もうもうと立ち込める粉塵に、まず、肺が拒絶し、気道をふさいでしまい、全く呼吸ができなかった。この場所にいるだけで窒息寸前になる。ここで働く男たちは、防塵マスクもつけずに、よくも、こんな場所で作業できるものだと思った。

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■ Beauty Beats Black's
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レンガ窯の燃料となる石炭を金づちで砕く女性。
石炭置き場には、膨大な量があるので、どう見ても手作業での粉砕が間に合うようには見えない。。

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■ レンガ工場へ向かう少年
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朝の深い霧が立ち込める中、レンガ工場の一角にある長屋の家に戻る少年。
寝癖でぼさぼさの髪が、かわいらしい。

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■ レンガ成型の職人
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レンガ工場の銘の入った木枠に、打ち粉として砂をまぶした後、泥土をその木枠に押し込めレンガの原型となるブロックを成型する。はみ出た部分は、弓のようにピンと張った針金で削り落とす。そして、最後は木枠を逆さまにしてレンガの形になった泥土を型から抜き出す。彼らは目にも止まらない速さ、わずか2、3秒でこの一連の作業を済ませてしまう。

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ある程度、平置きして乾燥したレンガブロックは積み重ね、さらに乾燥させる。
この後、窯に入れ焼き上げる。

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■ レンガ運びのおっちゃん
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レンガ工場の人曰く、このじいさんはカレーのチキン(肉)もろくに食わず、食事を我慢してもくもくと働き続けているので、ちょっと変わっているんだよ、と。太陽が高くなると、おっちゃんはレンガ壁の日陰になった場所に腰を下ろし、受け取ったチップを胸のポケットから取り出して数えはじめた。

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レンガ運びの仕事は、8から10個のレンガを頭に乗せ、所定の場所に運ぶ。一回につき2タカ分のチップ(服のボタン)が渡される。戻ってまた運ぶのを繰り返す。受け取ったボタンを一日の終わりに清算し、その日の賃金となる。
この日、おっちゃんの働いた分を見せてくれた。
チャーが一杯5タカ、朝食のロティとダル(豆のスープ)が15-20タカだから、一日の食費を稼ぐだけでも相当大変だ。

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レンガは一個約3kgの重さがあり、子供は4つ(約12kg)、男性は10個(約30kg)を頭に乗せて運ぶ。多い人は12個を乗せて運んでいる。子供から、女性、じいさんまでと年齢層は幅広い。
一回につき、10kgの米袋を3袋と同じ重さのものを、頭上に乗せ運んでいる事になるので、かなりの労働だと思う。
(ボタンの色で6、8、10個とレンガを運んだ数を分けていた。)

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レンガを乗せる為、頭に被るクッション。

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■ レンガを運ぶ子供たち
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「さぁ、がんばるぞ」と、レンガを乗せる為のクッションを頭に巻く少年。
きっと、おかぁさん似だろうなと思わせる顔立ちをしている。

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水を汲みにきていた女の子。

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焼きあがったレンガを積む女の子。レンガの粉がマスカラ代わりになっていた。

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子供たち総出で、レンガを積み上げる。
工場のすぐそばに、家族共同で生活をしている長屋がある。

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■ 泥土集めの青年
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深い霧の中、川岸に積もった泥土を集める青年。この泥土はレンガ・ブロックの原料として使われる。

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籠をバケツリレー式に受け渡すところ。重いので息が合ってないとバランスを崩してしまう。

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頭のクッション。

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Muddy Hand

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窯を泥で密閉しているところ。

日干し乾燥させたレンガブロックを窯の中に並べ終えると、焼きレンガで窯口をふさぎ、最後に空気が入らないように、泥で窯を完全に密閉する。その後、火を入れて焼き上げる。

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■ 火をあやつる男たち
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石炭を空気孔から投げ込んで、火力を強め、窯の温度を上げる。
タップダンスを踊っているかのように、非常にリズミカルな動きをしている。

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窯の上は歩けないほどの灼熱になる。

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レンガ工場で行われる一連の流れの中で、もっとも神経を使うのが窯焼きの工程だ。この火加減によってレンガの仕上がりと品質が大きく変わってくるからだ。日が沈んだあとも、夜を徹してこの作業が続けられている。

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等間隔に空けられた空気孔を、開け閉めして窯の温度を調節している。
ゆらゆらと空気が揺れている。

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空気孔の鉄蓋を、フックで持ち上げて石炭をくべる。

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煌々と燃えている窯の中。

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夜になると使われるランプ。

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■ A Brick Crasher
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レンガの山を前に。白い歯がまぶしい。

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レンガを粉砕機に放り込むと、

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このように細かく砕かれて出てきます。(左のかごのものは二度挽きしたもの)

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小石大ほどに砕かれたレンガ。

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機械の修理道具。

バングラデシュのレンガ工場で作られるレンガには、大きくわけて3つの種類がある。
1つ目は、硬いもの(Hard)で、これは建築資材に使われる。
2つ目は、少し硬めのもの。(用途は不明だが、きっと建材用)
3つ目は、軟らかいもの。これはレンガブロックとして使うのではなく、後で細かく砕く為に、わざと強度を下げて焼き上げられている。砕かれたレンガ片は、アスファルト舗装等に混ぜる、砂利の代わりとして使われる。


孟加拉国 | 達卡 (达卡)
バングラデシュ、ダッカ
Dhaka (Dacca), Bangladesh
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2008年04月22日

シレットのレンガ工場・SUPER -2008-

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釜で焼き上がったレンガは、美しく積み上げられてゆく。夕日を浴び、さらにいい色に仕上がった。あとは、出荷を待つばかり。

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すすけて黒ずんだ煙突の土台は日干しレンガの焼き釜になっている。天井に開けられた空気孔からは赤茶けた砂ぼこりと煙が立ちこめる。この上で作業する男たちの影が蜃気楼のようにゆらゆらと揺らめく。

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レンガの原料となる粘土質の土を運ぶのは女性の仕事。水分が染み出た低い沼地から地上へと運び出す。大きなザルの中、目一杯に乗せられた粘土をしっかりと頭で支え、なだらかな傾斜を静かに踏みしめて登り、また降りては粘土を頭に積みまた登りをくり返す。すぐそばの詰め所になっている小屋の中では、大きな釜で熱々のご飯が湯気を立てたんと炊かれていた。

バングラデシュを移動していると、広がる畑の中に大きな煙突とそのすぐ横の敷地いっぱいにレンガを積み上げた工場を良く見かけた。クミッラからシレットへと向かう途中にもたくさんのレンガ工場が何ヶ所かあったので、シレットに着いたら、そのうちのどこかを訪ねてみよう思っていた。ただ、通りすがりに見ていたものの実際どこに行けばいいのかはさっぱり分からなかった。シレットの街外れに出れば見つかるだろうという、けっこういい加減な考えで、リキシャの運転手の溜まり場へ向かった。そこで、一番近くのレンガ工場へと連れていってもらえるよう声をかけてみる。メモ帳に煙突とレンガの絵を描いて見せると、口々に「イッテル・バッタ」だと言う。リキシャの運転手をひとりつかまえ「イッテル・バッタへ行きたい」と、メモに描いた絵を見せ交渉してみる。運転手は少し考えるそぶりを見せ、40タカという答えが返ってきた。さらに横にいたベビーの運転手に尋ねると80タカだったのでリキシャで行く事にした。

バングラデシュのレンガ工場は平たいパンケーキ状の釜の上に大きな煙突が伸びている格好をしている。ベトナムのものと比べると、形状や焼き釜の構造が違っていて面白い。どちらかというとバングラデシュの方が「工場」と呼ぶのに近くて、ベトナムのものは陶芸等の釜を大きくしたような形をしていた。それぞれに特徴のある形をしているので、どういう成立ちで今のような形状になったのかに興味があり、家屋の様式のようにその土地の気候風土から生まれたものであるとナカナカ深いテーマになるのでは?と考えていると肩凝った・テラコッタ。

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釜焼き職人の手。

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高さが3.5m、半径が15mほどのパンケーキ状の形をした煙突の土台。本当は、煙突の土台ではなく釜の上に煙突が建っているのだけれども。木の板のはしごを登り土台の上へ。天井屋根を隔て炎の真上に立っている事になる。煙突を撮ろうとして、釜のふちに向かって歩こうとするとそっちはダメだ!と制止される。もう少しで、釜が一番熱する場所に足を踏み下ろすところだった。足の裏が溶けるぞとおどされた。これを見ろ、と青いシャツを着た男に手招きされ寄っていくとL字型の長い鉄棒でくいっと蓋を開けて中を見せてくれた。こうこうと燃えたぎる炎がちらりと見える。すると、スコップで石炭をすくってその中へと放り込んだ。バラバラバラッ。蟻じごくのような釜の口に転がり落ちてゆく。同じような穴が規則正しく配列されていた。青い服の男はひとつひとつの穴に同じように石炭を投げ込んで温度を調整していく。釜の上は、熱せられた空気で蜃気楼が揺らいでいる。あまり長くいると、カメラのフィルムが溶けてしまいそうなので、煙突の全景を撮るとすぐに降りた。

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三銃士現わる。

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レンガ工場では、レンガの素となる粘土を掘り上げる人、その粘土を型にはめ、レンガを形づくる人、それを日干しにし積み上げる人、乾燥したレンガを釜に入れ焼き上げる人、出来上がったレンガを運ぶ人。すべて分業されていて、効率良く大量に生産出来るようになっている。最後の行程は焼き上がったレンガを竹で組んだかごに積み、煙突横の釜から完成品置き場へと運んで終わる。皆、軽々と持ち上げ運んでいるが、これがものすごく重くて、一度、彼らが運んでいたレンガの乗ったかごを持たせてもらったが1ミリすら持ち上げる事が出来なかった。

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レンガ工場で働く男達。
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粘土を掘り起こし、やわらかくこねたあと木枠の型に隙間なくはめ込んでいく。トントンと揺らし空気を抜いて、ひっくり返し型から取り出して、最後は天日干しするためにきれいに並べる、という作業が繰りかえされる。粘土を型に入れ取り出すまではわずか5秒ほど、リズミカルで正確な動きに見入ってしまう。

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14時すぎ、レンガ工場に向かうためシレット駅前の広場からリキシャに乗る。運転手は目的の場所がどこだか知ってるかのような振るまいだったけれども、街の中心から少し出ると、行く先々で人に聞いて回る始末。その度にリキシャを停めて一服が入る。道を間違え、引き返したりしながらもなかなか目的の場所へは辿りつかない。約1時間ほど走って、15時頃に念願のレンガ工場へと到着した。手前で大きな煙突が見え始めた時には、2人して大きな歓声を上げる。おっちゃん、長い道のりご苦労さん!嬉しくて、リキシャを降りるとはやる気持ちを抑えきれずまっしぐらに煙突へと走った。


☆バングラミニ情報:
レンガには真ん中に大きな文字が刻まれていて、工場ごとにそれが違っている。たいがい5文字のアルファベットになっている。この工場のは「SUPER」という文字だった。「TOKYO」と刻印されたレンガも見かけた。

バングラデシュの大地は西からのポッダ(ガンジス)川、北からのジョムナ(ブラフマプトラ)川、東から流れてくるメグナ川、この3つの大河から形成されるデルタ地帯の中にあり、そのほとんどが土砂の堆積による地盤になっていて、岩盤層がなく泥の上に家が建っているようなものだという。このような地層の為、バングラデシュでは「石」がどこからでも採掘出来るというわけではない。シレットの上にあるジャフロンという場所で唯一採掘されているだけである。そのため「石」が非常に希少で高価なものとして扱われている。建築資材で「石」が使われる事はほとんどなく、その代わりに「レンガ」を細かく砕いたものが一般的に使用されている。アスファルトなどに混ぜるのも「石」ではなくこの「レンガ」を砕いたものだそうだ。泥の地盤と言われるとズブズブと沈んでいきそうだけれども、振動を吸収しやすい利点もあり地震には強いと言う事だ。


孟加拉国 | 錫莱特
バングラデシュ、シレット(シレット地区)
Sylhet, Sylhet Division, Bangladesh
Brick Kiln, Brick Factory, Pottery