2017年03月19日

2017年、三月の読書

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「ボディ・アーティスト」ドン・デリーロ
ドン・デリーロ作品の日本語訳で、現在、文庫で買える唯一のタイトル。アメリカの作家なのにどこか湿っぽさがあって、日本的な余韻ある文章。シンプルなんだけどイメージがふくらんでゆく。最新短篇もゆっくり訳しながら読んでいるが、同じように言葉と言葉の間に隙間があって、それが物語に深みを与えている感じがあっていい。処女作の「アメリカーナ」からやっぱりその兆しが見れたりして、文体って作家の特徴がよくでているなと思う。

「チョコレートの歴史」ソフィー&マイケル・D・コウ
これ先月の頭に、文庫で復刊したもの。チョコレートを語るなら絶対に外せない名著として有名みたい。人類がいつどうやってカカオからチョコとして食すようになったか、からはじまって、ヨーロッパ諸国の世界進出と同時に、争いの火種になりまた製法が洗練・改良され、今多くの人が知っている形になったあたりまでを詳しく書いてある。通貨としてのカカオなんかのあたりが興味深かった。

「世界飛び地大全」吉田一郎
これはディープな本。バングラデシュとコーチビハールに点在する無数の飛び地から、中央アジアの非常に入り組んだ飛び地なんかももちろん網羅していて、世界にはまだこんなにも飛び地があるんだ、とびっくりもしたり。ちょっとマニアックすぎて、あんまり実生活では役にたつことはないだろうなと、思いつつ読んでみた。

「増補:エロマンガ・スタディーズ」永山 薫
最初、表紙の絵が気になって手に取った本で、読んでみるとすごく面白かった。カタログや短い作品解説のようなものではなく、エロマンガに焦点を当て、そこから見える日本の大衆文化史(時代の流れや政治・法律とのからみなど)が軸になっている。手塚治虫から高橋留美子、劇画ブームに宮崎勤、などなど全部がちゃんとつながっていて、こんなふうにディティールからそのジャンル全体を俯瞰できるような視点がもてたら、説得力あるな、なんて思ったりもした。絵のタッチやストーリーが、読者の求めるもの(ニーズ)によって、時代ごとに変化してく流れは社会(=読者)そのものを現している。

で、この本の表紙画を描いているのが新堂エルさん。はじめて知ったんだけど、絵がめっちゃ上手く、ファンになってしまった。ただ、内容がけっこう過激なんだな、この人。なので無条件にはオススメできない感じはある。絵のタッチがどこかドライで日本のアニメと何か違う感触があるのは、半分アメリカ人だからなのかもしれない。エロいんだけど絵が上手いから、あまりそう感じなかったりして、何かカッコイイ。アメリカにいた頃は、練習のために描いた漫画は誰にも見られないよう(過激なため)、燃やしていたんだとか。

Comic-ShindoL-Henshin -emergence.jpg
http://tagong-boy.tumblr.com/post/158435590326/
画像は上アドレスより。(孫リンク)先記載のアドレスで漫画が読めます。

posted by J at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | - 書籍 - | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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